「若さ」は「美しさ」じゃない。56歳のトップモデルが証明した“老いの美しさ”

Text: SHIORI KIRIGAYA

Photography: Harry Were unless otherwise stated.

2017.4.1

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世間は「若さ」こそが美しさだと言う。もてはやされるのはいつも若い世代だからだ。でもそのような人生の一時期にしか「美しさ」を人々は持てないものなのだろうか?

「若さ」が「美しさ」だと言われる社会とその問題

商品の宣伝をする雑誌の広告やテレビCM。それらに起用されているのモデルやタレントの年齢層に注目して欲しい。多くは若い女性ではないだろうか。彼女たちが宣伝に繰り返し使われることで「若さ」はブランド化・商品化され、私たちは美しさや人の魅力は「若さ」にあると思い込み、若さを追い求めてしまうのだ。

この「若き美しさ」の追求は、時には問題となってきた。最近では、高級ブランド「クリスチャン・ディオール」の2015年の「顔」に14歳のモデル、ソフィア・メシェトナーが採用されたことに波紋が巻き起こっている。このようなファッション業界の「若さ」の商品化に対する対応として、ロンドン・ファッション・ウィークの契約デザイナーは16歳以下のモデルを起用してはいけないという方針を打ち出した。(参照元:ロイター

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Photo by Lonely

そんな「若さ」と関連づけられるような「美しさ」に50代のモデルと、ニュージーランドのランジェリーブランドが警笛を鳴らした。

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「年を取った美しさ」を世間に気付かせるキャンペーン

ニュージーランドのランジェリーブランド、「ロンリー(Lonely)」が2017年の秋冬ラインのモデルに起用したのは56歳のモデルのマーシー・ブリュワー。彼女は90年代当時、爆発的な人気を誇っていたケイト・モスやナオミ・キャンベルなどの若き売れっ子モデルと共に仕事をするようなモデルだった。「強く、自信があり、社会の規範に挑戦する女性像を賞賛する」というブランドポリシーを持っているロンリーは、マーシーが「ロンリーの世界観」を体現する存在だと考え、キャンペーンのモデルに起用したという。

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“美容やファッションの業界は、若さに取り憑かれている。でも実際のところ、すべての人は老いていくもので、年を取ることで経験できる素晴らしいこともたくさんある。年齢という、自然で避けられない過程を「避けられないもの」としか言わないなんて…。”(Lonly Autumn/Winter 2017 Portrait series featuring Mercy Brewerより)

人間はなぜ避けられない「老い」というものを、わざわざ否定的に考えているのだろうか。私たちは「若い人が美しい」という社会的価値観にとらわれてしまっているのだ。

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「年を取る自分」をどう楽しむのか

若いときの「美しさ」は永遠のものだろうか。おわかりの通り、多くの場合それは永遠に続かない。続かないからこそ人々は「若き美しさ」を追い求めるのかもしれない。だが、年を取った「美しさ」には若い人にはない、その人の歩んだ人生の反映された美しさがある。

いつかはなくなってしまう「若さ」ではなく、自分で作り上げていく内面にこだわっていってはいかがだろうか。マーシーが証明したように、若さだけが美しさなのではない。本キャンペーンは「老いた美しさ」を見せることで若いモデルばかりを目にする多くの人々に新たな“ビジュアル・ボキャブラリー”(視覚的な語彙)を提供し、それぞれの心に響かせていくのだろう。

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※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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