80%は埋立地か海か焼却炉へ。平均寿命約6ヶ月の「プラスチックおもちゃ」を“家具”へアップサイクルする起業家が描く社会|GOOD GOODS CATALOG #027

Text: TOMOKI KANEKO

Photography: ©ecoBirdyb

2018.10.7

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飽きてしまったり、適正な年齢を過ぎていららなくなったおもちゃを家具に変える取り組みをしているブランドがあるという。その名も「ecoBirdy」。

当ブランドが扱うのは、いらなくなったおもちゃをリサイクルして生成したプラスチックから作り出したイスやテーブル、ランプ、コンテナ。名前からも想像できるように、地球環境に対する問題意識が端を発しているブランドであるが、なぜおもちゃに目を向けたのだろうか。

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90%のおもちゃはプラスチックで出来ている

地球規模でささやかれているプラスチックゴミの問題。プラスチックは陸地では自然に分解されることなく残り続け、海では魚などの生物をおびやかし、やがて小さく砕かれたプラスチックは魚などを介して私たちの身体に取り込まれ、悪影響をもたらしているといわれている。

そんな事実があるなかで、実は子どもたちの身近に存在するおもちゃは90%がプラスチックで作られているというのだ。0歳から3歳ごろの子どもが使うおもちゃは成長に合わせてすぐに使われなくなっていくため、それらの寿命は平均6ヶ月ほどだという。それらの役目を終えたおもちゃ達の80%が向かう先は埋立地か海か焼却炉だ。

そんなおもちゃの行く末に目を向けた2人の起業家が始めたのが今回紹介するベルギーのブランド「ecoBirdy」である。

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2人の名前はジョリスとヴァネッサ。集めたプラスチック製のおもちゃをリサイクルし、生成されたカラフルなプラスチックから可愛いまだら模様のイスやテーブル、コンテナ、ランプを提供している。プロダクトはすべて丸みを帯びた形をしており、サイズ感も子どもが使うにはちょうどよい大きさになっている。コンテナとランプに関しては絶滅危惧種であるキウイという鳥とサイがモチーフだ。

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おもちゃはリサイクルすることが難しい

ecoBirdyのプロダクトを作るためには、質の高い純粋なプラスチックをおもちゃから生成してくれるリサイクル業者の協力が不可欠だった。だが、協力してくれる業者がなかなか見つからず困難を極めたという。理由は、おもちゃは布やバッテリーなどのプラスチックではない異素材が含まれていることだった。

そこで彼らはヨーロッパ中のリサイクルフェアに行き、会社訪問を重ね、数え切れないほどのメールを交わし、ようやくecoBirdyが求めていた質の高い選別を行ってくれるリサイクル会社と出会うことができた。

彼らの「どうにかしてこの罪深いプラスチックという素材を持続可能性に近づけた存在にできないか」という想いが労に報いる成果を出してくれたのだ。

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作るだけではなく子どもに教える

彼らは教育的な活動もecoBirdyのプロジェクトの中に組み込んでいる。学校に訪問し、より多くのおもちゃの寄付を集めるとともに、プラスチックの有害性、リサイクルの意義について大きな絵本を使って子どもたちに広める活動をしている。また、寄付してくれた子どもたちにはその後、寄付したおもちゃがどのような姿になって生まれかわったのかをメールで伝えてくれる。

もし、彼らのプロダクトを子どもたちが使うことがあれば、生活空間のなかで何か持続可能性についての気づきを与えてくれるだろう。

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持続可能性の高い消費活動

プラスチック製のおもちゃは見た目こそ可愛いが、環境への負担は非常に大きいものだ。

そんなおもちゃにもう一度命を吹き込み、持続可能性の高いecoBirdyが提供する家具は、子どもたちと一緒にいい消費とは何なのかについて考えさせてくれるプロダクトだった。持続可能性を考えるからこそ、環境問題を大人の事情で終わらせず、これからの未来を作っていく子どもたちに近いところから課題解決に踏み込んでいる姿勢が素晴らしい。

持続可能性の高い消費について子どもたちと一緒にecoBirdyを通して考えてみてはいかがだろう。

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