多方面で活躍する9人の20代に聞いた、“老い”に対する考え方|エイジング、プリーズ vol.3

Text: SHIORI KIRIGAYA

Photography: Daikichi Kawazumi unless otherwise stated.

2019.2.18

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エイジング、プリーズ

2月のNEUTの特集は「エイジング、プリーズ」。
“歳をとること”ってネガティブにとらえられがちだけれど、本当にそうなのかな?

▶︎プロローグ

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若者の視点から「歳をとること」や「老い」について考える、NEUTの2月の特集「エイジング、プリーズ」。この記事ではNEUTがこれまで取材してきた人や制作をともにしてきたクリエイターなど20代・全9人の、「歳をとること」に対するポジティブな見方や考えさせられる意見を彼らのポートレートとともに紹介する。その前に、NEUTが20代を対象に実施した「老い」に関する価値観の調査データを提示しようと思う。実際のところ、みんな「歳をとること」についてどう思ってる?

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「歳を重ねること=ポジティブ」と回答した人は、81.7%

2018年12月から2019年2月にかけてNEUTは、読者とNEUTに関わりがある人を対象に「歳をとること」や「老い」に対する調査を行った。回答してくれたのは、平均年齢23.6歳の82名で、主な質問への回答は以下の通り。

Q.若いままでいたいですか?それとも歳をとりたいと思いますか?
若いままでいたい 48.8%(40人) 歳をとりたい 51.2%(42人)

Q.「老い」を防ぐことに興味はありますか?
はい 57.3%(47人) いいえ 42.7%(35人)

Q.「老い」を防ぐために何かしていますか?
はい 32.9%(27人)いいえ 67.0%(55人)

Q. 歳を重ねることをネガティブに考えていますか?それともポジティブに考えていますか?
ネガティブに考えている 18.3%(15人) ポジティブに考えている 81.7%(67人)

回答者の性別*1
女性 64.6%(53人)
男性 28.0%(23人)
Xジェンダー 3.7%(3人)
バイセクシュアル 1.2%(1人)
選択しない 1.2%(1人)
? 1.2%(1人)

(*1)回答をそのまま記載しています

ここで注意してほしいのは、調査の質問文で使用していた「歳を重ねる」は「歳をとる」と比べて肯定する意味合いが強いこと。それでも世に出回るアンチエイジングの広告などで「歳をとること」の否定的な側面ばかりに注目があたりがちなのを考慮すると、NEUTのアンケート回答者は想像するよりも歳をとっていくことに対してポジティブに考えられる人が多い印象だ。それから回答者の65%近くが女性だったけれど、それは女性のほうがアンチエイジングを勧められることが多いなど社会的なプレッシャーが強いことから、関心の高いトピックであったのがうかがえる。これをふまえて、アンケートの回答者のなかでも老いに関して興味深い価値観を持った人たちを紹介し、「歳をとること」や「老い」の多様なとらえ方をみていきたい。

「歳をとること=変化があって楽しい」

歌代ニーナ(アーティスト/PETRICHOR編集長、24歳)

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取材記事はこちら

ー若いままでいるより、歳をとりたいと思うのはなぜですか?

ずっと若かったらつまんなさそう。いい意味でも悪い意味でも「若さ=バカ」だから、無鉄砲なバカさも楽しいけれど年齢を重ねていくことには洗練されてていく楽しみがある。それぞれの年代でしか経験できないことがあって、「肌にシワができはじちゃった!」とか思わなかったら人間ぽくないし。

ー歳をとることに対してネガティブに考えていますか?ポジティブに考えていますか?その理由も教えてください。

ポジティブに考えてる。「自分が歳をとるのは嫌」っていう自然の流れに対する反発ってナルシスティックでネガティブな思考であって自分本位の幼いもの。特別な人なんてひとりもいないし、単純に時が経って成長するとともにそれが少しずつ抜けて、受け入れることに慣れてくると思うからポジティブになってると思う。

 
 

Cho Ongo(写真家、29歳)

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撮影を担当した記事はこちら

ー若いままでいるより、歳をとりたいと思うのはなぜですか?

変化していく自分を楽しみたいから。

ーなぜ歳をとることをポジティブにとらえているのですか?

現在までに積んできた経験から自分のできることが増えて、どんどん人生が楽しくなると思うから。

ーあなたにとって「老い」とはなんですか?

ただの体での変化でしかないからどうしようもないと思う。だから「老い」を防ぐことはそんなに重要じゃない。

 
 

「年齢が上がる=歳を重ねた」ではない

Fujigara(写真家、25歳)

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ー若いままでいるより、歳をとりたいと思うのはなぜですか?

自分のなかで「歳を重ねることができている」と思う人は、みんな若いと感じるから。ただ年齢だけが上がっても、“若い”とも“歳をとっている”とも思えない人もいる。

ーなぜ「老い」を防ぐことに興味があるのですか?またはなぜ興味がないのですか?その理由も教えてください。

「老い」を防ぐべきものだと考えたことがなかったから、興味はないです。

ーこれから20代が終わり、30代を迎えることについてどう感じていますか?

ドキドキわくわくする。

 
 

「老けている=視野が狭い」

清水文太(アーティスト/クリエイター、21歳)

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ー人は何歳から「歳をとっている」と思いますか?

年齢は関係ない。「老い」というものは、フィジカル面においては存在するのかもしれないが、実際に「若い」といわれる年齢の人間にも老いを感じるときがあるし、死んでから最も「若い」瞬間を迎える人だっていると思う。

ー「歳をとっている」と思う年齢は、ご自身の年齢が上がるとともに変化してきましたか?

はい。自分との比較対象が少なく、狭い視野でしか物事をとらえられなかったときには自分が「老けている」と思っていましたが、あらゆる他者と関わるようになって「若さ」を手に入れられたと思っている。

ーなぜ「老い」を防ぐことに興味がないのですか?

「老いを防ごう」と考えている人は、心ではなくフィジカル面について言っていると思いますが、作り込んで「若くなろう」とする人に本当の若さは手に入れられない。
 
 
中山紗彩(SHE株式会社代表取締役、27歳)

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ー人は何歳から「歳をとっている」と思いますか?

年齢というよりは価値観を知って、この人は歳をとってるなぁと感じることがあります。

ー「歳をとっている」と思う年齢は、ご自身の年齢があがるとともに変化してきましたか?

どんどん上がっています。自分自身に関しても、小さい頃に想像していた年齢の姿より実際幼いし、両親やおばあちゃんなどを見ていても、年齢をふまえて想像する姿よりずっと若い。

 
 

「老い=挑戦的に生きられなくなること」

中村元気(環境デザイナー、26歳)

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ーあなたにとって「老い」とはなんですか?

挑戦的に生きることができなくなること。

ー歳をとることを「ネガティブ」にとらえていると答えていましたが、それはなぜですか?

自分の「いつも挑戦的に実験的に、ふざけて生きていきたい」という立場を否定したくないし、同じ時間は二度と訪れないから。考え方に変化が訪れることに対して、無駄なプライドとか抵抗を感じるときがあるはず。

ー「老い」を防ぐために何をしていますか?

今を目一杯生きる。
 
 
下田将太(10YC代表、27歳)

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ーあなたにとって「老い」とはなんですか?

新しい考え方、自分が知らないことを受け入れなくなること。

ー「老い」という言葉について思うことを教えてください。

物理的な老いと精神的な老いって違うと思うんだけど、精神的に豊かな人って若くみえるじゃん。それってなんか関係あるのかなあ。

 
 

「年齢=ただの数字」

Makoto(アパレル販売員/薬剤師、28歳)

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ー人は何歳から「歳をとっている」と思いますか?その理由も教えてください。

人それぞれだと思います。個人的にティーンの頃は30歳が大台って思っていたけれど、年齢を重ねるにつれて、年齢はただの数字って思うようになった。

ー「老い」を防ぐことに興味がないのはなぜですか?

自然なことだから。

ーなぜ歳をとることをポジティブに考えているのですか?

また一年歳を重ねるということは、その一年で経験したことが積み重なると感じているから。
 
 
草野絵美(アーティスト、28歳)

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ーなぜ歳をとることをポジティブにとらえているのですか?

不可避なものをネガティブにとらえる理由なんてありますか?経験や知識をみんなで前向きにシェアしていきたいです。

ーなぜ「老い」を防ぐことに興味があるのですか?

常に知的好奇心を絶やさず、自分の体を大切にして、好きな仕事して、最愛な人たちを大切にして生き生きしていたいという理想があります。それに近づいている人たちの秘訣を知りたいです。人工的に老いを防ぐことにはSF的な興味はありますが、自分の体では試したいとは思いません。

ーこれから「老い」を防ぐために何かしたいことはありますか?

常に後悔ない選択する!

 
 

「精神的な老い」に焦点を当てる若者たち

上記で紹介した9人の意見をみてもそうだけれど、「歳をとること」をポジティブにとらえられる人は「老い」と聞いたときに、身体的なものではなく、精神的なものに焦点を当てて考えている傾向がある。「老い=視野が狭くなること、新しいことに挑戦できなくなること」と考えたなら、内面的に意識することで、もしかしたらいつまでも「若く」いられるかもしれない。回答者のなかでは「歳をとる=その分の経験を積み、自分自身を豊かにすること」という考え方も強かった。常に自分を成長させていきたいという意欲がみられたのも特徴だ。

今回の調査で回答してくれた人たちも、20代人口を全体からみれば一部にすぎないのは確かなのだけど、「歳をとること」を肯定できる人たちが存在するのだということを知っていてほしい。それに加えて、そんな人たちのなかでも「歳をとること」や「老い」に対するとらえ方や、そう思わせる理由は決して一つではないということも。アンチエイジングの広告が押しつけてくる価値観を真に受けず、自分なりの「歳をとること」や「老い」に対する受け止め方を見つけていくのはいかがだろう。

 

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