「No.」のオーナーであり、「No.」を運営するクリエイティブチームの「301」の代表でもある大谷省悟とNEUT Magazine編集長・平山潤が対談

Photography: Takanobu Watanabe unless otherwise stated.

Text: Kefa Cheong

2020.12.19

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デザイン・フード・コーヒー&カクテルーー代々木上原にあるクリエイティブオフィスの融合No.(ナンバー)がメニューをメディアと捉え雑誌のように毎回違うチーム・切り口・表現でMENU BOOKを作っていく新しい試みを始めた。その第一弾としてNEUT Magazineとコラボレーションが実現。本記事は、NEUTが手がけたMENU BOOKに収録されている対談記事です。

「No.」のオーナーであり、「No.」を運営するクリエイティブチーム「301」の代表でもある大谷省悟が、第一回のMENU BOOKの監修を務めた『NEUT Magazine』編集長の平山潤と対談。“ツイスト”をキーワードに、バーカルチャーやクリエイティブについて考える。

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海外のバーカルチャーを日本へ

2020年9月で1周年を迎えたカフェ&バー、No.(ナンバー)。お店に入るとバーカウンターが私たちを迎え、香ばしいコーヒーの香りとカクテルグラスの中でツイストされる氷の涼しげな音が響く。そしてナチュラルで心地良い空間を見渡せば、広々としたオープンキッチンとガラス張りのワークスペースが。初めて訪れた人は、きっと、ここがどんな場所なのだろうと思うはず。

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大谷省悟(以下、大谷):“海外にあるようなクリエイティブかつカジュアルなバーカルチャーを日本にしっかりと作りたい”という目標を一つのゴールにNo.は生まれました。

現代のバーは、自分たちの特徴を出すために昔からあるクラシックカクテルではなく、新しいクリエイティブなカクテルを提供する文化がありますが、No.はそういったスペシャルな場ではなく、みんなにとって日々生活するような場所でありたい。コーヒーシーンからカクテルシーンに繋げたり、今までカクテルを飲んだことがないような人たちがメニューを気軽に手にとって飲みやすい状態を作ろうと、あえてカフェ&バーという形にしています。単に新しいものを次々と生み出すのではなく、既存のものに別の視点を盛り込んでいくということの方がクリエイティブだと思うので。

昔からあるカクテルをどう“ツイスト(アレンジ)”して意味を与え、人々の生活や人生に盛り込んでいくのか、No.を始めたときから考えていることです。さらにもっと先の話をすれば、数年かけてメニューを全てクラシックカクテルにしていきたいというビジョンがあります。海外でもほとんどそのような取り組みはしていないんじゃないかな?

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平山潤(以下、平山):クラシックカクテルやトラディショナルなものを提案する過程で、ツイストという手法を使ってハードルを下げつつ、数年後にはお客さんがクラシックなものを常に飲んでいるという構想ですか?

大谷:そうですね。原点から螺旋状に上昇している状態を“ツイスト”と表現するとしたら、全てクラシックカクテルにしたいというのはその逆。螺旋して上昇したものから起点に回帰する、究極的には戻るということです。理想は、“戻るけど提案としては新しい”ということ。オーセンティックバーでしか飲めないようなカクテルを、No.のようなとてもカジュアルな空間で若者たちが昼から飲んでいたらかっこいいと思うし、海外から見ても日本すごいなってビビるのではないかな。そこまで日本のカクテルシーンを変えられたら楽しい。

そもそも、海外だと“バーに行くこと”や“カクテルを飲むこと”は産業やビジネスではなくカルチャーなんです。例えば、ロンドンは世界トップレベルのカクテル文化があり、もはやそれはクリエイティブなシーンの一躍を担っている。だけど、日本では断絶されてしまっていてカルチャーシーンの中心にはないので、バーが一つの文化として成り立つように、飲食シーンとクリエイティブシーンを引き寄せていきたい。その二つを繋ぐブリッジの役目ができるのがソランくん(野村空人さん。No.のカクテル監修を行っているパートナー)で、彼の存在は大きいです。

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平山:今のお話で“螺旋”という言葉がありましたが、まさに今回のアーティストnico itoさんに描いていただいたカバーは、“ツイスト”から着想を得て螺旋をイメージしています。バーカルチャーの話に戻ると、カジュアルな雰囲気で美味しいカクテルを楽しめるバーがこの数年で都内に増えましたが、大谷さんから見てこれからバーシーンが変わる気配はありますか?

大谷:僕自身の実感としてはまだそこまで感じていない。だから、日本の飲食シーンを、もっとクリエイティブシーンと密接な場に変えていきたいし、そういう空間作りのプロデュース、ディレクション、コンセプト開発の場に携わっていきたい。No.の“コーヒーからお酒を繋いでいく”というコンセプトに心地良さを感じてもらえたら、この場所自体がプレゼンテーションにもなるのかな。

大谷省悟(おおたに しょうご)

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クリエイティブチーム「301」代表兼「No.」オーナー。各分野のプロフェッショナルを統括しつつ、さまざまなプロジェクトに携わる。「301」のオフィスでありながら「No.」としてカフェ&バーとギャラリーが融合した新しいコミュニティと空間作りを目指す。

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