「“普通の人”だった僕は、自分で進む道を決めている現代のヒッピーに話が聞きたい」。ALL YOURS木村の“よりみち見聞録”スタート

Text: YUUKI HONDA

Photography: YUUKI HONDA unless otherwise stated.

2018.10.19

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「おれは“普通の人”だよ」。

言葉の主は、24か月連続クラウドファンディングに挑戦すると言ったり、毎日ファッション大賞を獲るために1000人の共犯者を求めてみたり、“普通じゃない”活動で世間の注目を集めてきた、ライフスペックな(ストレスを取り除いた、ちょうどいい機能性のある)服を作るファッションブランド「ALL YOURS(オールユアーズ)」共同代表の木村昌史(きむら まさし)さん。

「いやいや、全然普通じゃないじゃん」と思ったあなた、筆者も同じ気持ちだ、間違っちゃいない。

そう、彼は完全に“普通じゃない人”だ。

あくまでALL YOURSでの活動を通して見れば、だが。

「おれは一般的な小中高大学を卒業して、企業に就職して、そのまま10年ぐらいそこでサラリーマンしてたからね。これ言うと結構びっくりされるんだけど、普通でしょ、おれ。よくあるパターンだし。確かに今やってることは普通じゃないかもしれないけど、これって誰にでもできることなんだよ、ちゃんと考えればね」。

意外と知られていないALL YOURS木村昌史の原点と、彼が世の中に中指を立て続ける理由について聞いてきた。

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自称“普通の人”にぶっ飛んだ思考を与えてしまった叔父と親父

1982年に生まれ、群馬県の片田舎で日々を過ごしていた木村少年。彼が初めてカルチャーに触れたのは、小学5年生のとき。洋服屋を営んでいた叔父から、大量のレコードを譲り受けたときだった。

CDが主流になりつつあった当時、黒く大きく丸いレコードから流れてきたローリングストーンズ、ビートルズ、ニルヴァーナ、オアシスらのロックミュージックは、木村少年に多分な影響を与え、彼を音楽の道に引き込んだ。

やがてギターを抱え、バンドを組んで弦をかき鳴らすようになった当時に受けた影響は、今も大きいという。

パンクロックとか、世の中に反抗的なスタンスの音楽が好きなんだよね。ロックってジャンルは70年代ぐらいまで親に聞くなって言われてたの。不良の音楽だって言われて。でもパンクロッカーたちの姿がパワーになったし、それは今もそうだね。

これまでの連載で、めくるめくトレンドに忠実な服作りに疑問を呈し、短いサイクル消費に踊らされる消費者に新しい選択肢を示し、オーガニックコットンの無駄遣いに物言いし、思想のないデニム作りに異を唱えてきた原動力は、かつて、定型化したロックミュージックへのカウンターとして生まれたパンクロックにあった。

パンクロックの思想は、ALL YOURSの“当たり前を当たり前にしない”という思想と合致している。

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もう一つ、木村少年に大きな影響を与えたのが、アウトドアウェアとミリタリーウェアの“合理性”だった。

ミリタリーウェアが大好きだった父親が、東京出張のたびに買い込んできたそれらの服は、泥にまみれた戦場や気圧・気温の変化が著しい戦闘機の操縦席など過酷な環境に備えて作られており、その細部に宿る創意と工夫に木村少年は惹かれた。

同じくアウトドアが趣味だった父親が所有していた大量のアウトドアウェアも、過酷な環境を想定して作られており、そのシンプルな構造の裏にある技巧に目を輝かせたという。

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どっちも機能に徹して、かっこいいものを作ろうと思ってないのがいいよね。アップルもそうだけど、機能に従った末にできるデザインだからシンプルで、結果的にそれがかっこいい。「本質に近いほど優れたデザインになる」が僕らの考えだけど、これはアウトドアウェアとミリタリーウェアの影響が大きいね。

パンクロックの反抗的な姿勢をクラウドファンディングを使ったマーケティング手法、アウトドアウェアとミリタリーウェアからインスピレーションを得た合理性をライフスペックにそれぞれ置き換えると、幼少期の影響がいかに大きいか浮かび上がってくる。

自称“普通の人”のぶっ飛んだ思考回路は、叔父と父親から受け継がれたカルチャーをブレンドした、一家相伝の結果なのかもしれない。

自称“普通の人”がアウトサイダーに憧れる理由

十数年後、ぶっ飛んだ未来がくるとは夢にも思っていなかった木村少年の転機は20代前半、インターネットが市民権を得た時期にある。年齢、国籍、性別など、あらゆる属性に関係なく、しかも物理的な距離を飛び越えるインターネットの登場は衝撃的だったという。

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誰もが声を上げられる場ができた衝撃はすごかったね。だからあのときのインターネットに救われた人は多いと思う。それにインターネットには既存の体制を壊す破壊力もあったらから、そこにもワクワクしたなあ。おれが“アウトサイダー”に憧れるのは、インターネットの登場に震えた感覚と似てるかもしれない。

続けてこう言う木村さん。

「じゃあ自称“普通の人”であるおれが、憧れのアウトサイダーたちに話を聞くって連載やろうよ!」

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というわけで、そんなアウトサイダーたちの一見自由な生き方の裏にあるロジックやその原点を、自称“普通の人”である木村さんが紐解いていく新連載がスタート!

その名も、「ALL YOURS 木村昌史の“より道”見聞録」

自称“普通の人”がアウトサイダーに立ち向かう新連載がスタート

高校や大学を卒業して企業に就職というルートを王道とすると、そこから外れた人がアウトサイダー…ではなく、木村さんに言わせれば「自分で進む道を決めて、かつ人の道を外れた人」がアウトサイダーであるとのこと。またの名を「現代のヒッピー」。

そんなアウトサイダーたちの、一見自由な生き方の裏にあるロジックやその原点を、自称“普通の人”木村さんが紐解いていくのが新連載の趣旨。

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加えて。

「今って意識高い人向けの記事が多いからさ、サクセスした人の無名時代、まさに“より道”してる時代のダメな話を中心に聞いていこうよ。意識の差に関係なく、みんなが楽しく読めるようにさ」。

情報化社会の到来で、良くも悪くもインターネットが生活に浸透した現在、不幸な側面として木村さんが挙げるのが「意識を高く持たなければダメみたいな風潮」だ。

いまは「やりたいことがない」で悩んでいるって子が多すぎると思うんだけど、やりたいことがあるやつなんてそういないからね。みんな変な自己啓発系の情報を見過ぎなのよ。「やりたいことがない」ならまず目の前の仕事をやりきるか、共感する人を見つけて手伝えばいいじゃん。

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この連載で木村さんが伝えたいのは、「人のサクセスストーリー見て凹んでもしょうがないじゃん。最初からやりたいことがある人なんていないからさ」ということ。

付き合って徐々に好きになることもあるじゃん。まあ逆もあるけどさ(笑)。とにかく、すごい人も最初からすごいわけじゃないし、生まれたときからやりたいことがあるやつなんていないからねって、そういうこと。

そんな連載になる予定。連載一発目は来月掲載する予定。面白い連載になる予定。

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乞うご期待。

ALL YOURS CO.,LTDライフ・スペック伝道師

Masashi Kimura(木村 昌史)

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