「女の子は脱毛すべき」という常識を変える、“女の子による女の子のため”の脱毛ブランド、Billie|世界のGOOD COMPANY #004

Text: SHIORI KIRIGAYA

Photography: ©️Billie

2018.10.4

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「経血がブルーの生理用品のCM」とか、「体毛がまったくない状態なのにかみそりを滑らせているシェーバーの広告」っておかしいんじゃないかという声を最近少し聞くようになった。赤い色をした経血や、ふさふさとした体毛って、そんなに人目に触れさせるのが不適切なのだろうか。特に体毛なんて、多くの人にとってかなり身近なものであるはずなのに。

今回はそんな状況を製品自体や広告で変えようとする、アメリカのボディケア・脱毛製品のブランド「Billie」(ビリー)を、世界の社会派な企業を紹介していくシリーズ「世界のGOOD COMPANY」で紹介したい。

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「体毛を剃ることは選択」というメッセージを込めたキャンペーン動画

「体毛はないことにされているけど、実際あるよね?」と、既存の脱毛製品やサロン広告の“不自然さ”を指摘しているのが同社だ。「Project Body Hair」と名づけられたキャンペーン動画には、こんな言葉がある。

体毛、それは誰にでもある。女性にだって。社会はそれがないもののように扱っているけど、実際あるよね?さっき自分で見たし。いつでも、どんなふうにでも、もし剃りたいときがあったら、私たちがいるよ。

※動画が見られない方はこちら

彼らが伝えたいのは「体毛は生やしたままがいい」というメッセージではなく、それを剃るか剃らないかは「あくまでも個人の選択」だということ。動画には体毛を生やしている女性たちが映るのはもちろん、わき毛を生やしている人と処理した人のふたりが手をつなぐシーンがある。

日本でよく見かける脱毛サロンの広告には、「女性が体毛を生やしたままにするなんてありえない」と“脅迫”してサービスを購入させようとするものも少なくない。そのような、まるで根拠のない「女性は脱毛するべき」という社会的な圧力から人を解放することを、企業の果たせる役割のひとつだとBillieは考えているのだ。

“女性向け製品”だけ高いのはなぜ?

同社の起源には、「似たような製品でも、なぜ“女性向け”のものは“男性向け”の製品と比べて価格が高いのか?そしてなぜピンク色のことが多いのか?」*1という疑問があった。Billieを立ち上げたのは、広告業界でのキャンペーン作りのバックグラウンドがあるジョージーナ・ゴーリーと、社会起業家だった家族を見てきたジェーソン・ブルーブマン。ジョージーナはピンク色をしているだけで少し価格の高いシェーバーは選ばず、“男性向け”の青色のシェーバーを使用していたという。

(*1)この事実を批判する言葉に「pink tax」(ピンクタックス)がある

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Billieの脱毛スターターキット

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左からボディローション、シェービングクリーム、ボディウォッシュ

そんな経緯もあり、Billieは「女性第一の脱毛ブランド」を掲げる。それには“女性向け”のブランドであっても、企画しているのは男性であることが多い業界の現状への批判も込められているといっていいだろう。自社で製造したものを、そのままEC経由で消費者に販売していることもあり、同社の製品はリーズナブルな価格で買える。Billieのスターターキット(5枚刃の石鹸付き替え刃ふたつと、マグネットホルダー入り)は9ドル*2で、彼らによるとこれは競合他社の男性向けのシェーバーの半額だ。ちなみにシェーバーの色は、ベージュがかったピンクを含む4色。

(*2)約1,296円(2018年10月4日現在)

製品自体の中身や質にもこだわる

価格が手ごろなだけでなく、製品の中身やその品質にもこだわっているのが同社。シェーバーについている石鹸やシェイビングクリーム、脱毛後のボディケアに使えるローション、そしてボディウオッシュはビーガン、グルテンフリー、GMOフリー、低刺激性でもある。さらに使用している原材料はすべて天然のもので、その一覧を製品の紹介画面に明記するなど透明性も追求している。

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また安全・衛生面を考慮し、自分の選んだ頻度で新しい替え刃を届けてもらえる「シェイブプラン」がある。これは消費者にとって便利なだけでなく、企業側にとっても継続的に製品を使ってもらいやすくする工夫であることは間違いない。

製品や広告の存在の持つ影響力

残念ながら、現在のところBillieの製品を日本から購入することはできない。そこで国外進出を視野に入れているという彼らを待つ選択肢もあるが、日本に彼らの理念と似た考えを持った人たちがいるなら、ためらわずに日本で暮らす人たちに向けてブランドを始めていい。

先の広告の話に戻るが、脱毛製品を売る企業が「女性のムダ毛なんてありえない」というようなコピーを使うことは、その企業にとっては儲けを得られるという意味での利益があるかもしれない。しかしその反面、社会に偏った見方を植えつけてきたという意味で人々に不利益をもたらしているのは事実だ。企業は製品自体にこだわるだけでなく、製品やその広告の存在が持つ影響力の大きさを理解することが、今後はさらに重要となってくるだろう。

Billie(ビリー)

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