「黒人の髪の毛や髪型は真面目ではない」。白人のように“さらふわ”ではないから起こる「ヘアー差別」とは

Text: Noemi Minami

2017.6.8

Share
Tweet

たかが髪、されど髪。

中学生の頃、自分が癖っ毛なのが嫌でストレートアイロンを親に頼んで買ってもらった記憶がある。誰かに言われたわけじゃなかったけれど、真っ直ぐな髪が美しいと空気で感じていた。ただ単純に2000年前半の流行りだったのかもしれないけれど。

もしあなたがアフリカ系の女性だったとしたなら、あなたが感じるその「空気」は時代の流行りの問題ではない。なぜならあなたの髪は「差別」の対象だから。髪が差別されるってどういうこと?と疑問に思う人もいるかもしれないので、まずいくつかビデオを紹介したい。

自然な髪は禁止。美しくない。

※動画が見られない方はこちら

学校ではなんでそんな髪してんの?とイジめられた

道端で私の髪について侮辱的な言葉を叫ばれた

白人みたいになって受け入れられたかったから、私は髪を真っ直ぐにしていた

これはハンガーゲームでブレイクしたアマンドラ・ステンバーグを筆頭とするアフリカ系の女優やミュージシャンたちが共有した体験談の一部だ。

※動画が見られない方はこちら

私の髪が鳥の巣みたいで、あなたは羊みたいに見えるわよと先生に言われた

南アフリカにあるPretoria High School では校則でアフリカ系の人の自然な髪が禁止されていた。教師は生徒たちに対して髪にストレートパーマをかけることを命令したり、髪の毛を編み込む伝統的なヘアースタイル、コーンロウを禁止していたそうだ。我慢できなくなった生徒たちは2016年の2月に大規模なプロテストを行い、その実情が世界に知れ渡った。(参照元:The Washington Post)これもアフリカ系の人の髪に対する差別の氷山の一角にしかすぎない。

「学校の校則で禁止される」というのは異常だが、どうやらアフリカ系の人の髪や伝統的なヘアースタイルは「真面目ではない」というステレオタイプが世界的に根付いているそう。Micの記事によると、Googleで「プロフェッショナルな髪」と調べると大多数が白人女性で、「プロフェッショナルではない髪」と調べると、アフリカ系女性の自然な髪が出てきたそうだ。世間の持つ偏見を反映しているといえるだろう。

こういった差別的なステレオタイプのせいで、アフリカ系の女性たちは髪に自信が持てず、「自分らしい美」に対して自信が持てなくなることも少なくない。この一連の差別は「白人的な美」が多くの国で美の基準となっているからといえるかもしれない。日本も例外ではない。雑誌や広告をみれば白人モデルを多く目にするのではないだろうか。

美しいナイジェリアの女性の髪を存分に見せつけるGIF

そんな歴史をふまえて、今最も紹介したいGIF(ジフ:若者の間でインターネット上で大流行りのアニメーション画像)がある。

1968年から40年間以上にわたってナイジェリアの伝統的で美しい千以上のヘアスタイルを撮り続けた写真家J. D. Okhai Ojeikereに(ジェイ・ディー・オカイ・オージェクイエ)にインスパイアされたアメリカ人アーティストMedina Dugger(メディーナ・ダガー)のプロジェクト、「Chroma(クロマ)」でフランス人のアーティストFrançois Beaurain(フランソワ・ボーハー)がコラボレーションして作ったGIFだ。

J. D. Okhai Ojeikereは2014年に亡くなられたが、そのレガシーは現代のアーティストによって引き継がれたのだ。極めていまどきなGIFという形で。

FBMG-1-500
Images via Chroma

FBMG-2-500
Images via Chroma

FBMG-4-500
Images via Chroma

FBMG-5-500
Images via Chroma

FBMG-6-500
Images via Chroma

冒頭でも述べたが、たかが髪、されど髪。日本では気づきにくいかかもしれないが、髪には歴史的、政治的意味合いがある。自分の髪が気に入らない朝もそのことを思い出して、自分の髪も、他人の髪も自然のままを愛してあげよう。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

Share
Tweet
★ここを分記する

series

Creative Village