欧米のワークスタイルを真似するのではなく「日本人らしい働き方改革」を考える【PR】

Text: Reina Tashiro

Photography: MISA KUSAKABE unless otherwise stated.

2017.9.28

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Sponsored by リクルート ホールディングス

長時間労働、過労死、残業代未払い、有給未消化。連日ニュースを賑わせているのは、日本の過酷な労働状況だ。「汗水垂らして遅くまで働くこと」を美談とする時代は、いつ終焉を迎えるのだろうか。

社会全体が不安に包まれるなか、近年「働き方改革」という言葉が社会に定着し、これまで多くの企業や組織で「働き方」が見直されている。この国は、もしかしたら変わりつつあるのかもしれない。

「働き方改革」にソリューションを生み出そうとしている会社、Laboratik。彼らのミッションは「働き方を変革することで人の創造性と生産性を躍動させること」だ。

今回Be insipired!は、「働き方改革」にテクノロジーで挑戦するスタートアップ企業LaboratikのCEO三浦豊史さんと、その活動を支援したリクルートホールディングス(以下、リクルート)が運営するTECH LAB PAAKのコミュニティマネージャー岩本亜弓さんに「働き方改革」と「オープンイノベーション」について話を伺った。(「オープンイノベーション」については後編)。

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会員制コミュニティスペースTECH LAB PAAK

生産性・創造性を上げるサービス、「A;」

オープンイノベーションとは、企業の内部と外部のアイデアを結合させ、価値を創造すること。TECH LAB PAAKは、スタートアップを支援するオープンイノベーションスペースで、Laboratikはそこで設備やリソースを利用するスタートアップのひとつだ。TECH LAB PAAKは起業を目指す人や起業したての人を、実質的な面だけでなく精神面でもサポートしている。

Laboratikがサービスのアイデアをプレゼンした際には、細目にコミュニケーションをとり緊張を和らげてくれたそうだ。些細なことに思えるかもしれないが、ストレスや人間関係のこじれから起業に失敗する人は多い。そんなときにTECH LAB PAAKの存在が大きな支えになったとLaboratikのCEO三浦さんは語る。 

Laboratikが提供するサービスは、仕事の生産性・創造性を上げるサービス、「A;(エー)」。「A;」 は、社員がオフィスから離れる「分散型ワークスタイル」が一般的になりつつある時代に、自然言語処理を通じて組織やチームの関係性をリアルタイム解析することで理解・促進をサポートするボットだ。文脈や単語から人間の感情を可視化する。それにより、これまで見えなかったチームメンバーの感情やエンゲージメントが分かるようになる。

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写真提供:Laboratik

三浦:僕がニューヨークにいたときに同時多発テロが起こったんです。その時に、惨事を前にして何もできない自分の無力さを痛感したことがきっかけで、社会貢献の重要性を強く意識するようになりました。人間の根本的な課題を解決するためには、どうすればいいか悩みました。テクノロジーを通してワークスタイルを変革できるようにすれば、まずは多くの企業やビジネスパーソンの課題解決ができると感じました。それがA;開発の背景です。

リクルートのTECH LAB PAAKは、三浦さんのサービスが「働き方改革」を可能にするだろうと、ずっとサポートを続けている。岩本さんがその理由を語る。

岩本:わたしが最初に三浦さんにお会いした2016年10月当時は、まだサービスの構想段階で、リリース前でした。Slackを中心としたコミュニケーションツールは今後活用の幅が確実に広がると思っていたことに加え、その反面の課題とされるチームワークや人の温かみ等を感じられないことを解決できるツールであることは、働き方改革を進めるなかでとても重要だと思ったのがサポートしようと決めた理由です。あと、三浦さんの本気度がすごかった(笑)!他のTECH LAB PAAKの会員のみなさんも、三浦さんの入居をきっかけに他のチームとの混じり合いやコミュニケーションが刺激になっているんじゃないかと思います。

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TECH LAB PAAKのコミュニティマネージャー岩本亜弓さん

日本の「働き方改革」は真面目で勤勉な国民性に合ったものがよい

「働き方改革」が叫ばれて久しいが、政府の方針とは裏腹に、「働き方」に対するマインドセットは依然として変わらぬままだ。他国に比べ生産性(GDP)がずば抜けて高いわけではないのに長時間労働を強いられている日本人。しかし、過酷な労働状況問題がニュースに上がっても「たまにニュースでみるけど他人事」のような扱いで、実感が湧いていない人も少なくない。まずは日本人の働き方、または生産性についてどう思うかを、海外での勤務経験が長い三浦氏に聞いた。

三浦:「長く働いている人が偉い」「働くことが美学」といった固定観念が日本にはいまだにあるんだと思います。日本では、一般的には週休2日制、9ー5時労働が「常識」として企業文化に染み付いています。その常識をマインドセットするには相当時間がかかると思うんですよ。だから日本の企業や組織はそれを変えていこうとしてるけどスピードが遅いように感じます。

海外では、周りに遠慮しすぎることなく、毎日決まった時間に退社したり、3〜4週間ほどの休暇を定期的に取ったりすることはごく当たり前。

とはいえ、協調性を重んじる勤勉な日本人という国民性。即座に「海外のように」とは言えないのが現状だ。

岩本:たしかに、私たちがサポートしているサービスにも「働き方改革」に取り組まれているものもありますが、単純に海外の働き方を日本に導入するだけではうまくいかないという話をよく聞きますね。

三浦:今、私を含めた日本人の多くに必要だと思うのは、力を「入れる時」と「抜く時」のバランス感覚だと思います。仕事に集中する時と休む時のメリハリ。仕事をしている間ずっと気合入れっぱなしで全力投球する必要はないし、そもそもそれは無理。「勤勉さ」や「ルールを忠実に守る」といった日本人の長所を活かすためには、メリハリをつけるために「制度ごと変える必要もあると思っています。

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LaboratikのCEO三浦豊史さん

日本では働き方に関連する先進的な取り組みをしている企業も増えている。例えばZOZOTOWNは2012年から1日6時間労働を導入し、岩本さんの働くリクルートホールディングスでは試験期間含めて2015年から始まったリモートワーク推進やオフィスのフリーアドレス化がある。

岩本:オフィスに自分の席がないんです。出勤場所も決まっていないし、リモート勤務でもOK。日本人には昔から、真面目だし、言われたことをやるという国民性があります。だから、制度を作ってしまって、「そういう決まりです」にしちゃうのはありですよね。

「働き方改革」という言葉を唱え続けるだけでは人は動かない。それならば、自由に働けるルールを決めてしまう。リモート勤務の仕組みは「社内で仕事をしなければならない」という固定観念を崩すための第一歩と言える。

では、日本人の国民性にあった「働き方改革」を進める中で、「働く側」としては、どのような変化が求められるのだろうか。

多様化する働き方。そもそも「働く」とはなんだろう

世界中で、働き方が多様化している。日本では未だに優秀な人は大企業にいくのが当然だとされているが、欧米ではむしろ、「大企業に属すのはダサい」という風潮がある。「企業勤めをするのが当然」という価値観は古いのだ。

三浦:現在アメリカの労働人口の約35%が、会社に属さないで働くフリーランサー。2020年50%になるとの予測もあります。日本でも同様の傾向があり、フリーランサーの数は年々増加しています。大企業と普通に仕事をするフリーランサーも周りにたくさんいますね。

日本でも、スタートアップが大手企業と手を組んで仕事をすることが増えている。企業が個人にアプローチし「個人のスキルで稼ぐ」ことがどんどん主流になっていっているのだ。

岩本:今後プロジェクトベースで仕事が進んでいくようになると思います。「シェアリングエコノミー」という考え方が知られ始めていますが、一社に所属するという形式ではなく、自分の持つ力を“シェアする”時代が進むと思います。

「働き方改革」が進むにつれ、日本でもそれぞれのライフスタイルに合わせて「短時間勤務」や「副業解禁」といったことに取り組む企業が増えてきている。更に、勤務時間・勤務地に加え、勤務形態まで自由に選べる仕組みは、スキルを活かして働く多くのフリーランサーを生み出してきた。一方で、会社に所属せずに“働きたいように働く”ためには、多くの責任が伴い、自らのモチベーションコントロールも必要だ。自分で責任を負いながら、モチベーションを維持するためには、自分が何のために働くのか、一人一人にとっての「働く意味」が問われている。

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日本でも2011年の震災以降、「生きる・働くの意味を考える人が増えたのでは」と三浦さんは語る。かつての「仕事はかくあるべきだ」という固定観念が崩壊しつつある世界で、三浦さん、岩本さんにとっての「働くことの意味」とは何なのだろうか。

三浦:社会の役に立とうとすること、だと思います。日本だと2011年の震災以降、働く意味を考える人が増えたと思います。僕自身ニューヨークで同時多発テロを経験して、考え方が180度変わったし。“自分のためだけに生きている人”がいらない世界に、お金が二の次になる世界になっているのではと思います。仕事を通して、少しでも社会貢献する。社会にも必要とされる人材になる。そんな人が増えるんだと思います。

岩本:私にとって働くことは自分と、自分に関わる人の“自信形成”。自分に自信がないと人に優しくできないし、価値を提供できない。人は、仕事を通じて価値を社会に返せていると思います。一流企業に入ることや、女性であれば結婚して子供を生む、など昔ながらの成功や幸せの形はどんどん形を変えてきていると思います。みんなそれぞれの幸せがあって、そのときに「自分は今幸せだ」と思えるようにするためには、自分が自分に対して自信を持てるかどうかが重要だと思います。働き方が変われば、新たな気付きやインプットがあり、それが新たなイノベーションを生むきっかけになる。リクルートはそれを実現する会社になると考えています。

政府の掛け声で始まった働き方改革は、「働く意味」という問いかけを生み出した。そして、まさに働く意味を自問することこそが一人一人にとっての「働き方改革」につながるのである。

TECH LAB PAAKは、社会貢献に働く意味を見出した数多くの起業家を支援している。社会をより良くしたいという想いが集まるこの場所では、様々な分野のアイデアやノウハウを組み合わせることでサービスを生み出す「オープンイノベーション」が推進されている。後編では、この「オープンイノベーション」について、三浦さんと岩本さんに伺っていく。

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TECH LAB PAAK
TECH LAB PAAK は、リクルートホールディングスが運営する会員制コミュニティスペース。テクノロジーをベースとした、 社会課題解決に取り組むオープンイノベーション活動を支援する場で、“この社会をよくするイノベーションの創造”を応援している。

Laboratik
Laboratikのミッションは、働き方を変革することで人の創造性と生産性を躍動させること。チームワークを自動で可視化するサービス「A;」をリリース。シンプルで、効果的なプロダクトを開発することで、ビジネスパーソンが最大限生産的な仕事をするためのサポートを提供する。

 

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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