「今こそ立ち上がれ」。生ける伝説ロックシンガー ニール・ヤングから学ぶ、現代におけるサイレンスマジョリティとその危険性|kakihatamayuが紐解く、社会派ミュージック・ヒストリー Neil Young/Ohio #001

Text: KAKIHATA MAYU

Artwork: KAKIHATA MAYU

2017.6.6

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Photo by Misa Kusakabe

Photo by Misa Kusakabe

皆様、こんにちは。MAYUです。
連載では私の音楽への愛をみなさまにひたすらぶつけ倒していこうかと思っています(笑)早速ですが、今回は私が尊敬する人物の一人であるニール・ヤングの名曲の中から思い入れの深い一曲を選びました。ニール・ヤングは皆様、ご存知でしょうか。SUPREMEの ポスターやフォトTでもお馴染みかな?若い世代は彼を知らない人もまだまだ多いとたまに感じます。しかしロック史では坂本龍馬並みに超重要人物!!だからこそ知ってほしい!ぜひ記事を読んで興味を持っていただけたら大変光栄でございます。21歳のペーペーが知恵絞って書きましたのでどうぞお手を柔らかに願います!(笑)
これからよろしくお願い致します。

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ニール・ヤング

北米を代表するシンガーソングライターであり、CSN&Y、バッファロー・スプリングスフィールド、ニール・ヤング&クレイジー・ホースとしてバンド活動を通し数々の名曲を生み出したニール・ヤング。『Harvest』、『After the Gold Rush』などソロ名義の名作も多数存在する。社会問題に目を向けた多くのプロテストソングを作曲し、勢力的な社会活動も行なっている。主に近年では自身も障がいを抱える子どもを持つ経緯もあり、障がい者に向けたチャリティー・コンサート『ブリッジ・スクール・ベネフィット・ライブ』なども行なっている。

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※動画が見られない方はこちら

オハイオ(1972年)

アメリカ合衆国では長期に渡るベトナム戦争が泥沼化する中、当時のアメリカ大統領リチャード・ニクソンはさらなる戦闘を繰り広げようとしていた。実際、当時のアメリカ国民の多くは戦争に対して肯定的であり、戦意を煽るメディアの効果が目立っていた。その反面、政府への不満から辛い現実から逃れようと”LOVE&PEACE”を主張したヒッピームーブメントが若者を中心に広がる。それでもそのような若者をはじめとした戦争反対派の社会的立場は圧倒的に低かった。

「グレート・サイレント・マジョリティ」=「声なき大多数派」という言葉をニクソンが1969年に行った演説中に使ったように、反論しない者は戦争賛成派と見なされ圧力から異議を唱えることのできない多くの国民が「大多数」の対象となったのだ。

1970年、そのような社会情勢の最中歪んだ民主主義の基盤を正すべく立ち上がった若者たちによる反戦デモがオハイオ州ケント州大学内で行われていた。しかしそのデモの最中で問題の発端となった痛ましい悲劇が起きた。

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Photo by Cliff

反戦デモに参加していた学生4人を州兵が突然射殺したのだ。さらに州兵等はデモ参加者に向かって発砲したものの亡くなった4人のうち2人は大学内を移動中の一般学生であった。学生等が非武装であった点も大きな問題である。この事件の報道に強い怒りを持ったニール・ヤングは、事件からわずか10日後に「OHIO(オハイオ)」をシングルリリース。戦争への怒りと事件に対して沈黙を続ける「大多数」の国民に訴えかけた。

事件の背景には、民主主義を掲げながらもその法則に反したアメリカ社会を作り上げてしまった見えない政治の圧力が働いているように見えた。
 
 

What if you knew her
And found her dead on the ground
How can you run when you knew?

もし君の知っている彼女が地面に死んで横たわっていても
それを知っていて君はその場を逃げ出すのかい?

 
 
「OHIO」の一節には、「いつまで見て見ぬふりを続けるのか、今こそ立ち上がれ」と言わんばかりの強烈なメッセージが込められている。まるでニール・ヤングが国民ひとりひとりの肩を揺さぶっているかのようだ。「グレート・サイレント・マジョリティ」、民主主義さえ崩れ始めた社会の中で、重苦しい沈黙を守り続けていた国民たちは自身を正当化し自らの意志すら押し殺していたのではないだろうか。この事件をきっかけにようやくアメリカでも戦争に対する疑問、不信感が渦巻き始める。曲を聞いた多くの国民が自分達に迫りくる危機を察し、心を動かされた。

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以前は選挙で投票したくても限られた人しか投票できない時代もあった。しかし現代二十歳以上に選挙権があるにもかかわらず選挙に行かない若者が多いとテレビや新聞などで取り上げられているのを度々目にする。“”たかが一票”と考える人が少なくないように見える。私自身も一票で世の中が変わるとは思えない。しかしその”たかが一票”への無関心がいつのまにか声なき多数派へとなり得てしまうのかもしれない。大切なのは意思表示をするかしないかにある。

しかし私にとっての主張すべき本題はこの曲がいかにドラマティックであり、アツい曲であるということだ!この曲の中身を知っているのと知らないので聴き方が変わってくる感覚が私にはたまらなく興奮するのである。この曲を知っていても知らなくても中身を知った上で興味があれば是非聴いてもらいたい。音楽の底知れぬ魅力に吸い込まれる感覚があれば、次の連載も覗いていただきたい!

KAKIHATA MAYU

InstagramHIGH(er) Magazineディスクユニオン下北沢クラブミュージックショップ

1995年生まれおとめ座のAB型、女子大生。
中学生の頃にアナログレコードに出逢い、高校2年の終わりにディスクユニオンに入社。昨年9月までは60s-70sロックのレコードをメインに扱うディスクユニオン新宿ロックレコードストアに勤務。それ以降、クラブミュージックを専門に扱う下北ユニオンのクラブミュージックショップへ移動。
今年4月まではマガジンハウスでデザイナーアシスタントとして活動。
インディペンデントマガジン、HIGH(er)magazineでは音楽コラムを担当。暇さえあればレコード屋を巡る。最近集めているのは70sSOUL/FUNK/RARE GROOVE/和モノが中心。

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※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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