「ゆるいアクティビズム」によって動き出す、25歳会社員女性の“プラスチックさよなら活動”

Text: TOMOKI KANEKO

Photography: Noemi Minami unless otherwise stated.

2018.9.26

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昨今、環境汚染の問題が話題となっているが、私たちができる地球環境への取り組みといえばどんなことが思いつくだろうか。

CO2排出量の削減、節水、省エネなど、よく耳にするようなワードが頭に浮かんだかもしれない。でも、どのくらい電力を節電したらいいのか、そもそもCO2はどこから排出されるのか、知識として覚えておくには難しかったり、あいまいな部分が多くて、どこから始めたらいいのかわからないという人も多いはず。あるいは、日々の生活が忙しくて環境への取り組みにまで手が届かないという人もいるだろう。

そこで今回は、東京で会社員として働きながら、プラスチックで作られたストローに焦点を当てた地球環境への取り組み、「No Plastic Japan(のーぷら)」を始めたノイハウス萌菜(のいはうす もな)さんに話をうかがってきた。

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ノイハウス萌菜さん

No Plastic Japanって?

私たちの身のまわりに大量に存在する使い捨てプラスチック製品は自然に分解されることはなく、最終的には埋め立てられたり、投げ捨てられたペットボトルやビニール袋は海に流れ込む。その結果、海に浮かんだプラスチックは長い年月を経てもろくなって壊れ、ほかのプラスチックと摩擦おこして小さくなっていく。海の生物はその小さくなったプラスチックを食べてしまい、その海の生物が人間の口に運ばれることによって、知らず知らずの間に私たちの身体はプラスチックによって悪影響を受けているという。

また、現状のままだと近い将来には海に生息する魚の量を浮遊するプラスチックの量が超えると予測されており、世界でも大きな問題となっている。

そんな現状を変えるための、きっかけづくりを身近なところから提案し、より多くの人に使い捨てプラスチックの有害性に気づいてもらうために始まったのが「No Plastic Japan(のーぷら)」である。

いま現在、のーぷらが人々に広めようとしているもの、それはステンレス製のストローだ。一度使ったら捨ててしまうプラスチックのストローとは違い、洗って何度も使えるため資源を無駄に使うことなく、環境への影響も少ない。2種類の太さから選べ、カラーも3種類で展開しており、単体もしくはブラシとのセットでも購入することができる。

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Photo via No Plastic Japan

そんな環境に配慮したグッズを提供する当ブランドを立ち上げたのがノイハウス萌菜さん(以下、萌菜さん)である。

紙を作るために木を切らなきゃいけないことにショックを受けた12歳

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萌菜さんは、普段は大手企業を相手とするコンサルタントとして働きながら、ヨガを教え、そしてのーぷらの運営をしている25歳。ドイツ人の父と日本人の母の間に生まれた。東京には、およそ2年前にイギリスから引っ越してきた。

なんとも忙しそうな生活を送る彼女なのだが、その振る舞いや出てくる言葉からはその忙しさを感じさせない余裕を感じることができた。彼女が環境に対して考えるようになったきっかけは子どもの頃までさかのぼる。

一番最初に環境について関心をもったのは12歳のときだった気がします。ストロー関係ではないんですよ。紙を使うためには木を切らなければいけないっていう話をどこかで聞いて、それがめっちゃショックで。家とかでも紙に絵を描かないで、手とか腕に描いたりしてました。あの頃の私めっちゃ変わってるなって最近思い出してました(笑)

2年前に日本に来てから、おしぼりやストローなど使い捨てのモノで、なくても困らないような、いってしまえばいらないモノが過剰に提供されることに違和感を持つようになったという。これらを使い続けることは環境にも人の身体にもネガティブな影響を与える。

やはりいらないものはいらないのだ。そんな思いから、彼女はステンレスストローを活動をメインの商品として採用した。

仕事も普通にしていて給料も入るから、余裕がある方だと思うんです。自分が生きていく分だけ稼ぎがあれば大丈夫だから、なんかそのなかでできた余裕をほかのどっか使いたいなって思って、のーぷらを始めたっていうのもあるかな。

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できることからはじまった「ゆるいアクティビズム」

はつらつとした雰囲気で話す萌菜さんのステンレスストローを通した地球環境に対する思いを聞くなかでも、「私じゃなくてもいい」という言葉が印象に残った。その言葉からは、お金が欲しいのではなく、心から地球環境を改善していきたいという思いが伝わってくる。

私が!(売りたい)とかではないんです。大きい企業が売っているステンレスストローのほうがもちろん安いので。ただ、私としては、ストローを売るだけではなく、それこそ私が時間をつくって啓発活動していることとか、メーカーから私に送られてくる段階でも一切プラスチックは使っていないことをチェックしていることとか、私がお客さんに送るときにも包装は全部プラスチックなしとか、そういう大きな企業にはないような要素もいっぱいあると思います。だから、そういうところをサポートするっていう意味を含めての値段として受け取っていただきたいです。

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しかし、このような形にするまでにもさまざまな苦悩があったようだ。

これまでいろんな人と話をしていて、「プラスチックの問題ってあるよね」「じゃあ一緒になんかやろう」っていうのは何度もありました。ただ全然進まないし、とりあえず自分でやってみなきゃなっと思って。もちろん最初はちょっと壁がありましたね。すごいいろいろ考えちゃって、商品どうしようとか、ウェブサイトとかロゴとか。でもいろいろな部分で完璧ではないと思うけど、もうやってみるしかないかなって。今振り返ると、壁っていっても、自分の作った壁だったんだと思います。

最初の一歩が踏み出せなかった。そんな彼女がたどり着いた答えは、できるところからはじめてみることだった。のーぷらの企画が始まるまでにも、ロゴのデザインや値段、また、活動が実際に環境改善にどのくらい貢献できているのかなど、気になってしまう点はあったという。しかし、彼女は細かな点を気にして行動することが遅れるよりも、人々に環境について考えるきっかけを作り出すことが大切であると気づき、自身のできることから活動を始めた。

できるだけ多くの人に環境問題について考えるきっかけを作りたいなって思っています。イベントのサポートとかでもいいし。本当は、はじめに調査とかして、私がやったことで何か変わったかとか調べたほうがいいんでしょうね(いろんなお店で販売する前に)。でも実際そこまでみせなくてもいいっていうか、なんか「ゆるいアクティビズム」をし続けたいっていう感じで、仕事やりつつもできるような活動にして、興味がある人を増やしたり、コミュニティを広げたいなっていうのがありますね。

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楽な気持ちで環境について考えてみてほしい

筆者自身、エコな活動はお金がかかるし、人に説明できる十分な知識が必要だと思っていたのだが、萌菜さんへのインタビューを通して、少し考えが変わった。「ひとりでやってもしょうがない」という考えを持ってしまう人もいるかもしれないが、身近なものであれば実践できることが本当に多い。気軽に始められるものなのだ。

あんまりプレッシャーかけなくてもいいかなって。もういろんなところから始めたらいいと思います。ちょっとずつでいいんで。

そう話す彼女のストーリーを読んで、より多くの人が環境について考える機会を持つことができたら嬉しい。これから自然とよりいい関係を続けていくために、なにか小さなことからゆるっと始めてみてはどうだろう。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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