工事現場の仮囲いをギャラリーへ。渋谷の“人”を写す『BAG@渋谷二丁目ストリートギャラリー』が全面公開

Text & Edit: Jun Hirayama

2026.3.6

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2025年10月に東京・京橋での営業を終了した、東京建物株式会社運営のアートギャラリー「BAG – Brillia Art Gallery –」が、特定の拠点を持たず、プロジェクトごとに展示場所を変えながらその土地の特性に応答する“サイトスペシフィック・ギャラリー”として再始動した。その第一弾として、解体工事が進む渋谷の工事現場の仮囲いを展示空間へと転換するプロジェクト『BAG@渋谷二丁目ストリートギャラリー』が、2026年2月27日より全面公開された。

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建物竣工までの空白期間に、アートを通して渋谷の価値を再発見する

『BAG@渋谷二丁目ストリートギャラリー』は、特定の空間を持たず、プロジェクトごとに展示場所を変えながら、その土地の特性に応答する表現を探るサイトスペシフィック・ギャラリー構想の第一弾。建物竣工までの空白期間を活用し、工事現場の仮囲いを屋外ギャラリーへと変換することで、まちを行き交う人々の日常の延長線上にアート体験を組み込む試みだ。

テーマは、渋谷区基本構想「ちがいを ちからに 変える街。渋谷区」に基づく「ヒューマニティ / 多様性」。開発が進む渋谷という都市の現在地を、人の存在を通して可視化する。

本プロジェクトに参加するのは、世界各地の少数民族やドラァグクイーンなど、多様な個性を撮影してきた写真家・ヨシダナギ。彼女は渋谷に暮らし、働き、訪れる人々を被写体に、渋谷を舞台としたポートレートを制作することで、まちを形づくる“人”の存在そのものを可視化し都市の日常とアートが交差する風景を生み出した。

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2025年10月31日のプレオープンでは、渋谷観光協会の観光大使を務めるHip Hop ActivistのZeebraら、渋谷にルーツを持つ個性溢れる人々を起用した作品10点を展示。そして今回の全面公開では、一般公募から選出された12組と、同じく渋谷区観光協会観光大使である小林幸子を加えた計13点の新作を発表。渋谷を彩る“人”の肖像に新たな仲間が加わった。

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アーティスト支援やアートイベントを通じて、住宅・施設開発にとどまらないまちづくりを推進してきた東京建物。本プロジェクトもその延長線上にあり、都市の更新とともにあるアートのあり方を提示する試みといえるだろう。

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鹿島 康弘

東京建物株式会社 住宅事業企画部 マーケティンググループ
私たちデベロッパーの仕事は、建物を建てて終わりではありません。そこを利用する方、住まう方、もともと暮らしていた方、つまり“人”が満足できるまちをつくることこそが、本当のまちづくりだと考えています。
大規模開発では、どうしても工事期間が長くなり、空白期間が生まれてしまいます。今回のプロジェクトは、そのまちづくりにおいて最も重要な“人”にフォーカスした企画です。
場所を特定しない取り組みには、継続の難しさもあります。しかしその一方で、場所を選ばないからこそ、どこでも挑戦できるという魅力があると感じています。
今回のような工事現場はもちろん、既存の建物においても、そのまちを利用する方々の体験がより豊かになるような取り組みを、今後も積極的に進めていきたいと考えています。
最後に、私が今の渋谷を一言で表すなら、「完成しないからこそ面白いまち」。開発の過程も含めて楽しめる。それが渋谷の魅力だと思います。

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小林 幸子

渋谷区観光協会 観光大使
このプロジェクトに参加させていただき、とてもうれしく思います。
昨年、渋谷区観光協会観光大使に就任し、改めて渋谷というまちについて考えるようになりました。10歳でデビューした頃、恩師・古賀政男先生のご自宅が渋谷区にあり、その後も日本舞踊に通い、原宿に住んだこともあります。そうして私は、渋谷の変化を長年見てきました。
そして今もなお、渋谷は変化し、進化を続けています。常に人々に魅力を与え続けているまちだと感じています。
今回のプロジェクトの面白さは、工事中の仮囲いにアートを施すことで、これまでデッドスペースだった場所をエンターテインメントへと変化させ、人々をワクワクさせる点にあります。
また、“人”にフォーカスを当て、渋谷に暮らし、働き、学ぶさまざまな方々を撮影した写真が、それを見る人との新たなつながりを生み出す、とても素敵な取り組みだと思います。
これからも渋谷が、世界に向けて刺激を発信し続けるまちであってほしいと願っています。

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ヨシダナギ

写真家
今回の撮影では、まちそのものを写すというよりも、その人がどんな空気をまとっているのか、そしてその空気が渋谷というまちにどう重なるのかを意識しました。撮影を進めるうちに、渋谷というまち自体が、行き交う人々を自然と受け入れ、どんな人でも不思議とマッチしてしまう、器の大きさを持っていると感じるようになりました。
そもそもギャラリーは、目的を持って足を運ぶ場所だと思っています。しかし、この仮囲い(『BAG@渋谷二丁目ストリートギャラリー』)は、通りすがりに偶然出会う場所です。その偶然性がとても面白いと感じました。刹那的であること、そして偶然の出会いが生まれること自体が、とても渋谷らしいと思います。
渋谷は、常に動き、変化し続けるまちです。時間帯によって表情が変わるように、そうした変化を内包した展示があっても面白いのではないかと感じました。
最後に、今の渋谷を一言で表すなら「交差」。時間と人が絶えず交わり続けているまち、という印象が強いですね。

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