Google、Hyper Islandらが仕掛ける最先端・最速の起業家育成プログラム「30Weeks」とは?

Text: Jun Hirayama

2016.1.19

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「アイディアだけで、実際にモノを創れないヤツに価値はない!」

そう言わんばかりにクリエイターやプログラマーさらには、イノベーティブなマインドを持ったビジネスマンや学生が、こぞって参加しているハッカソン。しかしこのハッカソン、もはや過去の産物になろうとしているのだ。

「超短期間でアイディアを形(モノ)にする」。その超最先端だと思われた「ハッカソン」の考え方は、もはや古い。これからは「超短期間でアイディアを元に、実際に起業する」、そんな“次世代のハッカソン”が出現している時代なのだ。

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Photo by Kuo-Heng Huang

次世代型ハッカソンとは?

ここで言う「次世代型ハッカソン」とは、超短期間でアイディアをプロダクトにするだけでなく、実際に起業しちゃう取り組み。そんな取り組みの一つとして30 Weeksというグーグルと、一流のデザイン学校がコラボレートしたプログラムが存在する。

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Photo by 30weeks

参加しているデザイン学校は、ニューヨークのパーソンズ美術大学やプラット・インスティテュート、そしてスウェーデンを本拠として米国や英国、シンガポールにもあるデジタル教育研修機関「ハイパーアイランド(Hyper Island)」など。その名の通り30週間(210日間)でデザイナーを起業家に変えてしまうというぶっ飛んだプログラムだ。

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最先端で最速。起業家“近道”プロジェクト「30Weeks」

MITのジョン・マエダやIDEOのデイビッド・ケリーなど。デザイン思考やクリエイティブな起業家と知られる人がこぞってサポート。そして、今年の3月からは第三回目のプログラムが始まる「30 Weeks」。このプログラムとコラボレートしている教育機関ハイパーアイランドのマリアンナ・アーニ氏は「30Weeks」についてこう語る。

とにかく『30Weeks』は“起業家精神”で満ち溢れているこのプログラムです。2014年に開催された第一回目には参加した16人のデザイナーが参加しました。彼らは、30週間後に様々なスキルを身につけ、素晴らしいプロダクトやサービスをローンチしました。様々なスキルとは、プロジェクトマネジメント能力や、プレゼン能力、マーケッティングスキルなど。デザイナーには欠けている起業するための能力をたった30週間で、身につけることができるのです。

そんな彼女が注目している「30Weeks」から生まれたプロダクトは、アメリカ・カリフォルニア州出身のカイラ氏がローンチしたMOTI

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Photo by MOTI

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Photo by MOTI

MOTIは、持ち主の習慣を観察し、「ある3つの習慣」が不規則になると光ったり、音を鳴らしたりして知らせて正してくれるというデバイスだ。正してくれる習慣とは「水分の補給量」「睡眠時間」「毎日のランニング」の3つ。

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Photo by Kuo-Heng Huang

30 Weeks」は、起業の知識など全くないデザイナーがビジネスを始め方を実践しながら学ぶ“最先端かつ最速”の起業家育成プログラム。そして、このような教育方法を「Learning by Launching」というのだとか。

超高速に学んで、実践!合言葉は「Learning by Launching」

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「Learning by Launching」(会社を立ち上げることで、学ぶ)。上の「30Weeks」の紹介映像でも言われており、プロジェクト自体の教育方法を表しているこの言葉。現在の日本教育や一般的な学校が行う教育では、たくさんの「知識」は与えられても、それを実際に「実行」に移す場がない。日本の学生たちは大学を卒業し、会社に就職するまで、実際に学校で学んだ「知識」を実際の経験として生かす手立てはないのだ。

そのような状況の中で注目されている最新の教育方法は、「Learning by doing」。ハイパーアイランドやカオスパイロットをはじめとする北欧のイノベーションビジネススクールで実践されている教育方法だ。これらの学校では「知識」を学んだあとすぎに「実践の場」を与えられるため、学びのスピードが通常の学校教育の場よりも高速に、かつスムーズに進むと考えられている。

そして今回紹介した「超短期間で起業する」という次世代型のハッカソンは、この「Learning by doing」をさらに一歩踏み込んだ考え「Learning by Launching」なのだ。とりあえず、起業するために必要な知識を学んで、知識を実際の経験に応用するために「起業」してみようという考え方だ。

ただ「考えられる人」は無価値。「行動に移せる人だけ」が生き残る。

かつては「考える人」、いわゆるホワイトカラーと呼ばれる人々は世間から一定の地位を約束され、彼らはエリートと呼ばれた。しかし今やそんな「考える人」は無価値だ。「考えられて、行動に移せて、会社を創れる人」、そんな人だけが、2016年以降社会で生き残っていける人材になっていくのかもしれない。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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