「日本人男性は生真面目で草食」。自分の性格に関係なく、アメリカで決めつけられてしまう日本人の姿|アメリカで“日本人“として生きることとは。VOL.2

Text: Noemi Minami

2017.7.19

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VOL.1に引き続き、今回Be inspired!はアメリカで育った“日本人”*1の若者に「アメリカで“日本人”として生きることとは」について話を伺った。日本では義務教育で英語を勉強するし、映画や音楽、食などの文化面でも多大な影響を受けていると言えるだろう。しかし、アメリカは日本をどう見ているのか?アメリカで“日本人”として生きるとはどういうことなのか?今記事は4人のインタビューを受けてくれた人のうちの残りの二人のストーリー。

(*1)彼らのアイデンティティが日本人でも、アメリカ人でも今回は容姿的観点からアメリカ社会で「日本人」として見られたことがあるのを考慮してインタビューを行った。そのため、本人のアイデンティティとは関係なく、文章内では“日本人”と表記する。

溝口香純【25歳】

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ーどれくらいアメリカに住んでいましたか?アメリカのどこですか?

ニューヨークに1〜5歳、カリフォルニアに10〜15歳で合計10年弱いました。

ーアメリカの好きなところはどこですか?

人、多様性、音楽と芸術カルチャー。

ーアメリカの嫌いなところはどこですか?

人種・政治周りの緊張、たまに行き過ぎる個人主義。

ーアメリカで“日本人”でいていいことは?

外国人として見られないこと、言葉が通じる限り「日本人」を意識することがないこと。

ーアメリカで“日本人”でいるのが嫌なときは?

(個人的に経験することはほとんどありませんでしたが)アジア人差別。

ーアメリカにいて自分が“日本人”だと強く感じるときはどんなときですか?

学校にお弁当やおにぎりを持って行ったとき。家に友達を呼んだとき。(土足禁止、親と日本語での会話、和食や日本のお菓子がある、等)

ーあなたにとってアメリカで“日本人”でいるとは、どういうことですか?

「日本人」として生きなくて良いということ。アメリカは移民で成り立っている国だから特に意識することはありませんでした。

ーあなたにとってアメリカで“日本人女性”でいるとは、どういうことですか?

「日本人」を意識することがなかったのと同様、住んでた当時自分が「日本人女性(女子)」であることを意識することはありませんでした。

Tumblr:https://kasumimizoguchi.tumblr.com/

岡田佑亮(ジミー)【25歳, フリーランス】

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ーどれくらいアメリカに住んでいましたか?アメリカのどこですか?

アメリカのイリノイ州、シカゴ郊外のネーパービルという所に9年ほど居ました。

ーアメリカの好きなところはどこですか?

選択肢が多いことだと思います。普段の食事から娯楽、進路、どこで誰と何をするかまであらゆるオプションが用意されています。もちろん日本でこのように選ぶことができないわけではないですが、明らかにバラエティが違うと思います。アメリカがこのようになったのも、多民族国家だからだと感じます。

ーアメリカの嫌いなところはどこですか?

差別や偏見は他の国より多く見受けられると思います。様々な人種が集まるなか、「自分が一番」という国民性によってお互いに対する差別はかなり感じます。

ーアメリカで“日本人”でいていいことは?

良くも悪くも、日本人は真面目です。アメリカで真面目に仕事や遊びに打ち込むと、一際目立ちます。これこそ偏見かもしれないですが、適当に物事を進める社会で日本人っぽく真面目に仕事をすると、「そこまでやってくれるのか!」と喜ばれる気がします。

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ーアメリカで“日本人”でいるのが嫌なときは?

日本人に対する差別は、小さい頃は少なくとも私が住んでいたところにはありました。白人、黒人、メキシコ人が圧倒的に多い国では、アジア人はマイノリティーです。肌の色でいじめられたり、アジア人だから勉強ができるだろと言われたりもしました。

ーアメリカにいて自分が“日本人”だと強く感じるときはどんなときですか?

私自身は割と不真面目な方だと思いますが、アメリカ人に比べてしまうとかなりシリアスな人だと思われる気がします。アメリカのテレビ局と仕事をすることがあるのですが、彼らは「まあ、どうにかなるだろ」とかなり適当に仕事をしている気がします。そのなか、私は普段通りに手配や連絡などをするのですが、比較すると仕事に対する意識や態度が180度違うな、と感じます。(それで普通にアメリカでかっこいい番組が作れるのは、もはやセンスの違いなんでしょうね)

ーあなたにとってアメリカで“日本人”でいるとは、どういうことですか?

日本人としてアメリカにいるということは、他の国や人種の人々と共存しなければいけないということです。力強く、自分を持って生きないと多様な文化や風習に飲み込まれてしまいます。

ーあなたにとってアメリカで“日本人男性”でいるとは、どういうことですか?

アメリカでは、日本人の男性は他の人種に比べて草食的で控えめなイメージがあると思います。上の設問と同じですが、己を信じてガツガツとしないと、取り残されてしまいます。
 
 
今回Be inspired!はVOL.1、VOL.2と2部で、アメリカで育った4人の“日本人”にお話を聞いた。これはあくまでも個人の体験だから、全てのアメリカに住む日本人、日系アメリカ人、アメリカ人に当てはまるわけではない。それどころか、インタビューを受けてくれた4人ですら、とても違う経験と意見を持っているように感じた。性別、セクシュアリティによっても体験は変わってくるのかもしれないし、性格、環境、アメリカのどこか、によっても異なってくるのかもしれない。

4人の体験を読んだみなさんのこれまでの経験によっても、共感するところや、新しい発見は違うだろう。それでも日本を今生きるみなさんが彼らのストーリーを通してそれぞれの形で、「日本人でいることは何か」を見つめ直すきっかけとなり、それ以上に何かを考える機会となっていれば幸いだ。
 

VOL.1

へ:入江 嶺、biki

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※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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