「エコ」で「クール」なだけじゃない。 スイス発のバッグブランド、フライターグが提唱するこれからの社会を良くする「3つの糸口」

Text: Noemi Minami

Photography: Reo Takahashi

2018.10.26

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「アップサイクル」という言葉が世に定着する前から、捨てられる運命のトラックの幌(ほろ)を使い、デザイン性の高いスタイリッシュなメッセンジャーバックを一つひとつ手作りし続けてきたスイスのバッグブランド、フライターグ。

世界中にファンが存在し、東京でも銀座と渋谷に2店舗展開する。

今回、銀座の東京1号店が5周年記念ということで、創設者そして現役デザイナーであるフライターグ兄弟の兄、マーカス・フライターグが来日。Be inspired!が単独インタビューを行った。

フライターグと日本文化の意外な類似性や、ブランドの哲学、今後の動向についてお話しを伺った。

フライターグの信念は「侘び寂びの心」。

クリエイティブなビジネスに特化した世界トップレベルのビジネススクール、ベルリンスクールで講義も行ったことがあるフライターグ兄弟。その講義で、ブランドの信念のひとつを、日本語の「侘び寂び」と挙げていた。マーカスは日本は特別な場所だと言う。

日本文化のいい所は、伝統を大切にしていることだと思います。そして、過去からの影響も受けつつ、未来へも目を向けている所。歴史と未来のギャップが、日本に初めて来た時にとても印象的でした。だから東京はとても興味深いです。

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Photo by Reo Takahashi

マーカスにとって、「侘び寂び」とは何なのか。

侘び寂びの哲学は素材の中に存在していると思います。不完全なものの中に見つける『美』という日本のコンセプト。例えば、古いテーブルはどんどん年を重ねる毎にもっと美しくなる。それは人間も一緒ですよね。歳を重ねる毎に内面の美が深くなる。そして外面も。日本はそういったことにリスペクトがあるように感じます。それは他の文化には中々見られないもの。フライターグには似た哲学があると言えます。

また、フライターグの広告には永遠に循環し続ける意を表すかのように「Circle(円)」の文字が目立つが、それもまた日本人に親しみ深い仏教のコンセプト、「輪廻」を思い出させる。

過去にもトラックの幌からカバンを作り、それをつなぎ合わせてまた幌を作り、それをまた、カバンに使うプロジェクトを行っていた。その時のデザインも日本のボロテキスタイルに共通するものがあったという。

インスピレーションは「問題」

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Photo by Reo Takahashi

23年間、同じビジネスの中で最前線に居続けるフライターグ。一体モチベーションはなんなのか。

『問題』が僕のインスピレーションです。問題があれば、解決がある。全てが順調だと何もすることないでしょう?だからプレッシャーもあるけれど、インスピレーションなのです。例えば、性能の面など。すでに『良い』物でも、もっと良くできるかもしれない。挑戦すれば変えられるかもしれない。

去年よりも、先週よりも、昨日より、何かしら向上していること。それがフライターグのあり方だ。どのお客様よりも自分たちの商品に批判的だというフライターグ兄弟。そのシビアさと向上心こそ、フライターグが素晴らしくありつづける秘訣なのかもしれない。

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Photo by Reo Takahashi

また、学生の頃住んでいた家の前を通るトラックにインスピレーションを受けたというマーカス。生まれ育った環境も影響のひとつなのだ。

僕たちのブランドのコンセプト自体は発展途上国的なものですよね。インドとかに存在するかもしれない。でもスイスは全くその逆です。スイスは高級な時計や薬局の製品などで有名です。日本みたいかもしれませんね。だからその文化の中で私たちのコンセプトが成功したのには誇りを感じています。でも実際、国としては環境に興味がある方です。スイスは都市にいても何十分か移動すれば自然がたくさんある。それもブランドに影響していると思います。

今後、全ての企業が目指さなければいけないところ。

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Photo by Reo Takahashi

Be inspired!でも一貫して取り上げ、考え続けている「ポスト資本主義」の世界。私たちがこのままのライフスタイルを持続することは限れた地球の資源を考えれば不可能だ。フライターグのような「持続可能な社会」に沿ったブランドがもっともっと必要になってくる。

フライタッグの大きなインパクトはそこだと思います。違う方法があると世界に示せていると思っています。ファストファッション、シーズンで変わる流行、とにかく新しいことが賞賛される今の世の中…そうではないブランドを成長させられるというのは世の中にいい例になっているんじゃないでしょうか。他の企業も少しだけでも同じ方向性になれたらいいですね。僕たちを丸々コピーして欲しいと言ってるわけではないです!でもそれぞれの形で持続可能なビジネスをやれたらいいですね。

そもそも将来的には、需要を超えた大量生産を基盤としたビジネスや、環境に大ダメージを与えるビジネス等は資源の限界を考えれば、生き延びれなくなるだろう。だからフライターグのようなコンセプトを持ったブランドが拡大していくことは必須である。世界初、化学製品や油を一切使わない「土に還るジーンズ」も開発したのもこのブランド。

私たちは環境に良い製品を作ろうとしている。でも明らかに私たちの製品だけでは環境は救えない。だからブランドを通して、コンセプトを広げることが大事だと思っています。

ポスト資本主義で生きて行く私たちへ

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Photo by Reo Takahashi

「アップサイクル」という言葉が存在する前から「アップサイクル」を始め、世界初の土に帰るジーンズも作り出したフライターグ。次は彼らから何を期待できるのか。

今は、製品をウォータープルーフにするのに自然に優しい手法で作れるコーティングを探しています。すでにウォータープルーフの商品はあるけれど、目に見えないコーティングしかありません。お客様はもっとかっこいい、違う素材の物を求めているです。だから見た目も、クオリティも、環境にも良いものを開発してようと挑戦し続けています。

フライターグの魅力は、環境に良いことだけではない。かっこいいだけでも、機能が優れているだけでもない。それら3つ全てが兼ね備わっていることだろう。マーカスが言った通り、彼らのスタイリッシュな製品とともに、会社のコンセプト、信念が世界中に広がっていけば「ポスト資本主義」のマインドを持った世界に少しづつシフトしていけるのではないだろうか。これからもフライターグの活躍にぜひ期待したい。

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