原宿の落ち葉で「堆肥」を作る。小学生との出会いから始まった、ローカルでの新しい価値の生み出す活動|都会のローカルコミュニティ、「原宿キャットストリート CATs」の活動日誌 #002

Text: Genki Nakamura

Photography: Shiori Kirigaya unless otherwise stated.

2019.6.17

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こんにちは、CATs(キャッツ)の中村元気(なかむら げんき)です。
毎度ですが、CATsは原宿の裏通りにある、個性的な店舗の立ち並ぶキャットストリートのお店の人を中心とする人たちと始めた地域コミュニティです。根底には「消費の中心地」といわれる原宿だからこそ「消費」について考え、都会だからこそ「困ったときに助け合えるような関係性」を作りたいという共通した思いがあります。

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中村元気
都会のローカルコミュニティ、「原宿キャットストリート CATs」の活動日誌 についてはこちら

私たちは土で出来ている

さて今回紹介するのは、CATsの活動の一つである、CATs Urban Compost Club。表参道にあるケヤキ並木が秋から冬にかけて落とす落ち葉と、キャットストリートにある小池精米店さんにいただく米ぬかを使って土(堆肥、コンポスト)作ってます。作った土はみんなが歩くキャットストリートにある花壇にも使われているんですよ!知ってた?

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Photography: CATs Urban Compost Club

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見渡して見ると、私たちの生活の中には土からできた様々な生産物が溢れています。一番わかりやすいもので言えば野菜ですよね。あとは牛や豚だって土に生える草や野菜から作られる飼料を食べています。他には、Tシャツやシャツ、ジーンズだってコットンからできていますよね。あとは麻とか、シルクだって元々は蚕が桑の葉を食べているはずです。まだまだありますね、家の柱や内装、家具に至るまで木が使われています。コンクリート打ち抜きの家具すら置いてないミニマリストだってコーヒーや紅茶くらい飲むでしょう?

今上に書いたものでさえ、私たちの土とのつながりの一部でしかなく、私たちは土がないと生きていけないんですね。とっても大事な存在なんです。大事だからって作るところから始める?っていう疑問をお持ちの皆様もいると思うので、ここからは土を作ろうと思った理由と始めたキッカケについてお話しします。

NYのアーバンファーミングに惹かれて

CATsを始めるもっと前の話ですが、偶然記事でNYのビルの屋上で行われているアーバンファームの写真を見て、こいつらは街のど真ん中でなんて気持ちのいい空間を作っているのだろうと思った記憶があります。

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Photography: gracelinks

よくよく調べていくとブルックリン農園と言う、もともとブルックリン海軍工廠(アメリカ海軍が1966年まで使っていた造船所で、現在は民間企業及び商業活動エリアとなっている)の、約6000平方メートルに及ぶ屋上を農園にしているところで、農業もやれば、養蜂もするし、鶏も飼っていて卵も取れるんだそう。こんな空間を原宿にも作れたらどんなにいいだろうと妄想していました。

Patagonia Provisionsに触発されて

もう一つは、クリーンアップでもたくさんのスタッフが参加してくれているアウトドアウェアブランドPatagoniaの、食品ラインPatagonia Provisionsのコンセプトムービー『Unbroken Ground(未知の領域)』を見たときにこれは素晴らしいと思った記憶があります。土壌の質の大切さやコンポストを伝えているこのムービーから、土壌を豊かにすることで環境の好循環を生む環境再生型農業-REGENERATIVE FARMINGと言う考え方にとてもワクワクし、この考えに共感して街でできることは何だろうとぼんやりと考えていました。 作物を育てることばかりに目がいきがちですが、土がいかに私たちの生活と密接な存在で、とっても貴重なものだと、街で生活しながら気づけたことは自分の中で非常に大きかったと思います。

※動画が見られない方はこちら

クリーンアップでの出会いがきっかけに

先に書いた理由以外にも本当にいろんな人と話す中でこういう活動をやりたいという気持ちはずっとありましたが機会がありませんでした。ですが、この活動を始めるのに最も重要な出会いがちょうど2年前の夏にありました。

ひなこさん(SKAPに参加する小学生)

前回の記事で書いた原宿キャットストリートでのクリーンアップに参加したいという地域の小学生がいると聞き、もちろん大歓迎だったのですが、「みんなに話したいことがあるから時間を取ってほしい」とPatagoniaのスタッフの方にお願いをされていて、どんな話をしてくれるのかわからないままその時間になったことを覚えています。

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左がひなこさん

彼女の名前はひなこさん。彼女は、地域の小学生が原宿という街のいろいろな課題を解決するためのアイディアを考えるプログラム、SKAP(Social Kids Action Project)という活動に参加していて、地域のお店のみんなに同活動への参加を呼びかけるために来てくれたことがわかりました。最初に出会った時のアイディアは「渋谷を変える1本の木」という、自分の名前のついた木を植えることで、街にもっと緑を増やして、街にいる人たちの交流を促すというものでした。その第一歩として、以前からキャットストリートの一部に植わっているりんごの木をストリート全体に範囲を広げ、名前をアップルストリートに変えることへの協力を求めたのです。その提案はその場では盛り上がりましたが、その後、実のなる木を公共の場に植えてはいけないという渋谷区のルールがあることが分かり、提案の実現は断念。ということで、その時だけで彼女と再会するのはもう少し後の話です。ちなみに地域のりんごを育てるのにも、作った堆肥を使っています。

出会ったのは真夏で、次に会ったのは秋頃でした。それは、「交流しようよ!イベントで」という、子どもから大人まで楽しく交流できるイベントを開催するというアイディアの中で、「落ち葉拾い大会」をするので地域のみんなに集まってほしいと話をもらった時でした。コンポストは、「拾った落ち葉はどうするの?」ということを話す中で出てきたアイディアでした。

コンポストをやると決まったのは、落ち葉拾いの2週間前で、無事拾った落ち葉を置かせてもらったり、地域の保育園にコンポストボックスを設置させてもらったりなど、本当にたくさんの方に協力していただき、なんとかスタートできました。

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左からひなこさん、SKAPを立ち上げた植野真由子さん

原宿でアップサイクルな物作りをする意味

原宿で堆肥を作っている理由は、今まで無駄になっているものを新しい価値として再構築したいからです。いろいろ調べていくと、表参道に落ちるケヤキの落ち葉を毎年秋になると大きな清掃車や人の手で掃除しているんですけど、東京都は約100万円もの税金をを落ち葉を片付けるためにだけ使っているそうで、とっても無駄なお金と労力だなと思っています。(掃除してくれている人は悪くないですよ。)

もう一つ、今原宿はどんな街でしょう。何かを売ったり、消費するだけな気がしていて、かつてファッションのカルチャーが盛り上がった時代、非常のたくさんのクリエイターがこの街で物作りをして新しいものを作り出して、新しいカルチャーが生まれていった街のエネルギーはどこに行ってしまったんだろうと。全然違う形ではあるんだけど、もっとこの街で生み出せるものを生み出したいと思っています。

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原宿に新しいシーンを作り出し、都市生活者のライフスタイルを変える

新しいものを生み出して行きたいっていうことと同時に、新しいシーンを生み出していいきたいと思っています。今まで誰か原宿で肥料を作れると思っていましたか?原宿で野菜を作ろうと思った人はいましたか?土いじりや畑仕事をしようとなんて思いましたか?そういう新しいシーンをみんなで共有しながら新しい原宿のカルチャーを生み出し、原宿で過ごすみんなのライフスタイルに影響を与えたいと思っています。

かつて原宿で服を選びながら、みんなと一緒の格好なんてくそくらえと思ってけど、原宿で土いじりしてるってのも、みんなと全然違ってめちゃくちゃかっこよくない?

今回の連載で紹介した、原宿キャットストリートで出会った人①

ひなこさん

渋谷区の小学校に通うダンス好きな女の子。2017年からSocial Kids Action Projectに参加し、『渋谷をかえる1本の木』『交流しようよ!イベントで』『タイムトラビル』を提案。それぞれの実現に向けて奮闘中。

今回の連載で紹介した、原宿キャットストリートで出会った人②

植野真由子(うえの まゆこ)さん

Kids Experience Designer。渋谷区非常勤職員。4姉妹の母。
2017年、前職トヨタ自動車㈱を退職し、小学生が街の課題を見つけ本気の解決策を提案する「Social Kids Action Project」を立ち上げる。
2018年、小学生が子どもだからこそ知っている遊びや楽しみを紹介する「こどもあそびまっぷ」を立ち上げる。
子ども達の真剣なまなざしと満足げな笑顔のために、ちょっと背伸びした体験の場を提供します!

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SKAP(Social Kids Action Project)

Website

経験を広げ、自ら考え行動できる子どもへ

子どもたちが自分の住む街の課題を知り、解決策を話し合い、発表することで、大人の世界の出来事に感じていたことを自分事として捉えることができるようになります。経験を広げ、自ら考え行動できる子どもを育てることで、子どもならではの社会参加を促進します!

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Photography: Social Kids Action Project

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渋谷をかえる1本の木』より

中村元気(Genki Nakamura)

Instagram

1992年、埼玉県生まれ。 原宿のキャットストリートという通り沿いで地域活動 CATsを始める。地域に関わる様々なレイヤーの人達と居心地のいい街を作るために日々活動中。消費の中心地だからこそ、クリーンアップなどお金では手に入らない人間関係を作る活動や、表参道の落ち葉を使ったコンポストなど生産側になりゼロから価値を生み出すアクションを実験的に行う。それ以外の活動には都市型屋上農業や、地域のみんなで行うキャンプや山登りなどがある。また、2018年には地域のゴミ問題の根本解決を目指すために「0 waste=ゴミ・無駄のない」ライフスタイルの提案を行う530weekという活動を立ち上げ、5/30にイベントを開催した。

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