「終身雇用」は過去の産物。辞めることを前提とした“ポジティブな就活”が今必要な理由

2017.6.2

Share
Tweet
 

「パラレルキャリア」という単語を聞いたことがあるだろうか?これは経営学の父ピーター・ドラッカー氏が、1999年に発表した著書「明日を支配するもの」の中で提唱した言葉。2017年に就活や転職活動を行っている人は知っていて損はないコンセプトだろう。

パラレルキャリアとは本業と別に情熱を持って取り組める活動をすること。執筆や写真、またはボランティア活動でもいい。仕事とは違う分野に挑戦することで、仕事もプライベートも充実させるという考えだ。ちなみに何が副業と違うかというと、パラレルキャリアは収入を目的としていないというところ。副業の場合、自分の興味に関係なく経済的な理由で仕事を掛け持ちすることもある。それに比べてパラレルキャリア はやりがいのあることならどれだけ稼げているかは関係ないのだ。しかし、パラレル(平行的)というぐらいなので、本職と同じぐらい真剣に取り組むことが重要となってくる。(参照元:Living in More Than One World

このコンセプト自体は上記で述べた通り、1999年から存在する。ではなぜ今、注目すべきなのか。それは一つの会社で定年まで働くことを前提とした終身雇用のスタイルが日本で古い考えとなってきているから。不景気のせいで、たとえ大企業でも現実的に終身雇用が保証されていなくなってきていることや、AIやITを中心とする第4次産業革命により、「フリーランス」や、プロジェクトごとに違うフリーランサーや企業に頼む「アライアンス」など多様な働き方が生まれてきているのが影響している。(参照元:経済産業省

width="100%"
Photo by ijmaki

世界でも日本の「仕事一番の精神」は有名な話。不当な残業、社畜化や過労死など仕事環境に対する問題は山積みである。事実、毎年3万人前後の自殺者がおりその中でも2千数百人が「勤務労働」を原因としている。(参照元:日経ビジネス生きるために働いているはずが、仕事のために死んでいく人々の存在。日本の働き方には改革が必要なことは明らかだ。パラレルキャリアで既存の社会のシステムを解決することはできない。しかし人々の仕事への態度を変えるきっかけにはなるかもしれない。

パラレルキャリアのいいところは、仕事外でもネットワークが広がり、人間として視野が広がること。そういった刺激は人生に充実感を与え、個人の自信へも繋がる。これらは本職のパフォーマンスにポジティブに影響するだろう。また、今の仕事が上手くいかなくても、「私には他の選択肢がある」と知れれば本職に関して悩みすぎず、いい距離が保てる。転職しなければならない時や退職後はそれまでにパラレルキャリアの活動から培った経験やネットワークが役立つだろう。ただ、あまりパラレルキャリアに熱中しすぎると、本職に支障をきたしかねないので、上手くバランスをとることは必要だ。

大手企業が面接を開始し、本格化しはじめた今年の就活。「一つの会社に入って、その会社に人生を捧げる人生設計」に違和感を感じている人は、「一生面倒見てくれる会社」を基準にするのでなく、その仕事がなくなっても幸せな人生設計が立てられるような会社選びをするのもありなのかもしれない。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

Share
Tweet
★ここを分記する

series

Creative Village