イギリスで「無意識的な人種差別」を受けてきた私が、日本に住む人たちにも考えてもらいたいこと

Text: Ruru Ruriko

2018.5.11

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こんにちは、いくつかの媒体でライターをしているルルです。

みなさんカジュアルレイシズムって聞いたことあるでしょうか?簡単にいうと日常生活の中にあるサッと流されてしまいがちな人種差別のこと。今回はBe inspired!の「もし私が日本人じゃなかったら?“彼女がドイツ、ベルリンで出会った『日本人好き』の人々に抱いた疑問。”」の記事を読んで私も自分の体験を書きたいなと思いました。

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日本にも少なくない、悪気のない差別

日本は治安が良くて外国人観光客も訪れやすい国と言われることが多いと思いますが、みなさんは日本に人種差別があると思いますか?人種差別というと一般的に白人から有色人種へを思い浮かべる人が多いでしょうが、もちろんその反対や白人から白人へ、アジア人からアジア人へなども存在します。例えば、残念ながら日本のネット上でよく見かける韓国人や中国人への悪口。日本に住んでいる外国人から日本は差別が多いと言われたことは何度かあります。

例えば、友人の一人は不動産屋に行ったら「外国人で入居可能な物件はこちらです」と言われたそう。一番多いのは「ベルリン〜」の記事にあったように悪気がない差別。例えばアジア人に肌が黄色いとコメントするのがタブーなように白人に肌が白い、白人だから可愛いなどとコメントするのも基本的にタブーだし、悪気がなくても電車などで外国人がいるとジロジロ見てしまうのもやられたらいい気はしないですよね。外国人ではないですが、日本生まれ育ちの“ハーフ”の友人で、日本語で話してるのにいつまでも英語で返された、“ハーフ”だから可愛いとコメントされる、というのも良く聞きます。外国人が嫌いなわけではなくても、彼らを“外国人”というカテゴリーで見てしまっていませんか?

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私は高校を卒業後そのままイギリスの大学へ進学し、4年半を過ごしました。カジュアルレイシズムは私が過ごした4年半の最初から最後まで日常的にあったし、何年したって私は慣れなかったし嫌だった。友達では「国に帰れ!」と怒鳴られたり、中指を立てられた、なんて人もちらほらいますが、私は4年半の中一度もそのような怖い思いしたり、暴力的なレイシズム(人種差別)にあったことはないです。留学といっても、アメリカやカナダなどは国が違うし、同じイギリスでも地域、ましてや大学、出会った人によって体験は違うので、これは私の個人の体験として読んでください。

アジア人は「別世界の人」?

私は最初の一年はロンドンに住んでいましたが、あと残りはボーンマスというロンドンから3時間ほど離れた海辺の街に住んでいました。国際的なロンドンとは違って90%は白人のイギリス人が占めている街。学部にアジア人は私一人、私以外の留学生は全員ヨーロッパ人でした(一応中国系とインド系の生徒が二人いたけれど二人ともイギリスで生まれ育っていた)。大学初日、私が教室に入った瞬間に5秒くらい会話が止まり、ハローと挨拶してみたものの皆無言…。これは割とメンタルにきた(笑)結局一年目は他の留学生と仲良くしていたのですが、イギリス人が私たちに話しかける時、私ではなくヨーロッパ人の友達を見て話すことがほとんどだった。アジア人は英語が話せない、下手というイメージが強いので、最初から話しかけない、という態度はすごく多かった。それで話を聞き終わって、私が意見を言ったらびっくりしたようにやっとこっちを見てきたり。他の国に旅行したときも、そういったアジア人は別世界の人、みたいな壁はすごく感じた。

日本人だからって、日本の全部を知ってるわけじゃない

「ベルリン〜」の記事にもあったように日本好きからのレイシズムもあった。私の大学の先生は、日本好きで、授業中日本に関係することだと全部みんなの前で「ルルは日本人だからこれ知ってるよね?どう思う?」と聞いてきた。日本人だからって日本の全部を知ってるわけじゃないのに。

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作品(芸大だったので)を作るのにも、日本風にしなよと勧められたり。授業中、他にも発言してない人はいたのに、「ルルは大人しいわね、日本人っぽい」と言われた。中国語を勉強しているイギリス人は日本人も漢字で一緒でしょ、と勉強中の中国語でメッセージ送ってきたり、「この歌手知ってる?」と中国人歌手について聞いてきた。とても仲良くて、いつも私のことを可愛いと言ってくれている友達でさえも、「アジア人って目細いよね」と笑いながらツリ目のポーズをしてきたし、「アジア人のことを美しいと思ったことはなかったけど、あなたは可愛いと思う」と言われたことは何度もある。アジア人の女性、特に日本の女の子は簡単に落とせる、エロい、おとなしく言うことを聞く、なんてイメージも一般的にもたれているので、街を歩いていたら 「Beautiful Asian girl!(きれいなアジア人の子!)」と声をかけられたり、男性からは日本人だとわかった途端に、「Kawaii~!」と言いながら触ってこようとされたことも何度もある。

一時は本当にそれが嫌で、日本人だと人に言うのが嫌だった。日本人である前に私として見て欲しいとすごく願っていた。日本人っぽいと言われるのが嫌でメイクも濃くして、向こうの子が着ているような服装にしてみたり。でもそのうちそれも馬鹿らしくなったし、大学にもイギリスにも慣れて英語ではっきり意見を言えるようになってからは服もメイクも人に合わせなくなった。

国籍や人種に関係なく、「その人」として接したい

残念ながら見た目で、人種で、判断される風潮はそんな近い未来には解決されないと思う。だからこそ私は好きなように、それが日本人っぽい見た目であってもそうでなくても、ちゃんと自分の意見を持って、アジア人の日本人の女の子のステレオタイプを壊していけたらなと思うし、ほかの人のことも、国籍や人種に関係なくちゃんとその人として見たいなと思ってる。

Ruru Ruriko

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※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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