「メンタルヘルス問題は異常ではない」著名人が自身の過去を振り返って、子どもたちに伝えたいこと #MyYoungerSelf|「丼」じゃなくて「#」で読み解く、現代社会 #038

Text: NEUT編集部

Cover photography: Gage Skidmore

2017.7.18

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うつ病をはじめとするメンタルヘルスの病の認知が上がり、自分もうつ病ではないかと検診を受けたり、そこでうつ病だと診断されたりする人の数が増えている。

だがあなたは子どもの頃、不安な気持ちや気分の落ち込みにどのように対処していただろうか。その状態を打ち明けたり、「精神疾患」と診断されることに恐さを感じていなかっただろうか。著名人が「精神疾患や学習障害を患うことは異常ではない」と人々に訴えかけるキャンペーンが5月から6月にかけて行われた。

メンタルヘルス問題を抱えている子どもを救うため、立ち上がったセレブたち

#MyYoungerSelf(幼かった頃の私)を使ったハッシュタグ・アクティビズムは、5月のメンタルヘルス啓発月間に合わせて、アメリカの国家規模の非営利機関「Child Mind Institute」(子どもの精神学会)が始めたものだ。

このキャンペーンは、子どもの頃に精神疾患や学習障害を患ったことのある著名人が、自身の経験を話したり、そのような問題に偏見を持つべきではないと訴えたりし、多大なインパクトを与えた。

その背景には、アメリカの子どもの5人に1人が精神障害・学習障害を抱えているというデータがある。日本では全人口の40人に1人が精神疾患の治療のために医療機関を利用しており、多くの子どもが同様の問題を抱えていると考えられる。(参照元:Child Mind Institute, 日本精神神経学会

トミー・ヒルフィガー(ファッションデザイナー)

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日本でも人気なカジュアルプレッピーブランドのトミーヒルフィガーのデザイナーである彼は、「失読症」を抱えていた。彼が自分の症状について話すのを恥ずかしがっていた過去を振り返って人々に呼びかけたいのは、もし自分に何か問題を感じたら信頼できる大人に話すべきだということだ。

エマ・ストーン(俳優)

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『ラ・ラ・ランド』や『アメイジング・スパイダーマン』などの人気映画に出演した彼女は、「パニック障害」を過去に患い「不安神経症」を抱えている。彼女は誰しも何らかの不安を抱えることがあり、傷つきやすい人や物事を深く考えすぎてしまう人であることには何も問題がないと訴えている。

レナ・ダナム(俳優、作家、脚本家、プロデューサー、ディレクター)

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自身が制作・出演したテレビドラマ『ガールズ』、著書『Not That Kind of Girl(ありがちな女じゃない)』で有名な彼女は、「強迫性障害」と「不安神経症」を抱えている。彼女が過去の自分に言いたいのは、肘を擦りむいたときに助けを求めることを恥ずかしがる必要がないのと同じで、不安を感じたときに家族や友人に助けを求めたりすることを恥ずかしがる必要はないし、同じような思いをしている子どもは自分だけではないということだ。

マイケル・フェルプス(水泳選手)

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オリンピックや世界選手権で金メダルを合計23個も獲得し、“水の怪物”とも呼ばれる彼は、「ADHD」を抱えている。彼が人々に伝えたいのは、自分の抱えている症状を人に話したり助けを求めていいのだとわかったとき、人生が大きく変わったということだ。また、落ち着きがなく教師から期待されていなかったが、自分を信じ続けたことが成果につながったと話している。

その他の著名人のストーリーはこちらから。

このキャンペーンには多くの著名人が参加しているが、その意義はなんだろうか?精神疾患や学習障害が誰にでも起こりうる事実なだけでなく、それらを抱えていても自分自身の名をつけたファッションブランドを立ち上げたり、俳優や監督、オリンピック選手になったりすることができると世界に知らしめられるのだ。

このハッシュタグ・アクティビズムを始めた子どもの精神学会は、人々が彼らの投稿を共有したり自らのエピソードを書き綴り、ムーブメントが生き続けることを望んでいる。精神疾患などに対するタブー意識が残っている日本でも、本キャンペーンが広まることで人々の持つ偏見をなくすきっかけになるのかもしれない。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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