「いま必要なルールとはどういうものなのか」次世代のクリエイターが、既存の価値観に縛られない生き方を考える大型カンファレンス「trialog summit」が渋谷で開催

2019.9.10

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9月15日(日)、渋谷で「既存のものに取ってかわる新しいもの」を意味するオルタナティブを考える大型カンファレンスが開催される。
「Alt.Rules オルタナティブなルール/ルールのオルタナティブ」をテーマに、4つのトークセッションと1つのミュージックセッションから成る「trialog summit」(トライアログサミット)だ。

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当イベントは「本当に欲しい未来とは何か?」を合言葉に、コンテンツ・レーベルblkswn(ブラックスワン)の若林恵(わかばやし けい)が代表を務め、ソニーをパートナーに迎えた、実験的な対話のプラットフォーム「trialog(トライアログ)」プロジェクトにおける、初の大型カンファレンスである。

当日は「オルタナティブ」という言葉にふさわしい、新たな時代のスタンダードを作るクリエイターたちをゲストに迎え、「情報」「アイデンティティ」「会社」「見た目」という、今までの当たり前が大きく変わりつつある4つのキーワードを紐解く、4つのトークセッションが行われる。

NEUTが企画から携わった本イベントのメインコンテンツであるトークセッションには、NEUTでも取材を重ねてきたharu.(HIGH(er) magazine編集長)や陳暁夏代(DIGDOG llc.代表)ほか、上出遼平(テレビ東京『ハイパーハードボイルドグルメリポート』 ディレクター)、Shun Watanabe(スタイリスト)、佐久間裕美子(文筆家)、篠田真貴子(元ほぼ日 CFO)、若林恵(黒鳥社コンテンツ・ディレクター)、そしてNEUT編集長・JUNの登壇が決定しており、これからの社会を生きるうえで求められるスタンスや新たな価値基準など、彼らが世間に対して抱く想いが赤裸々に掘り下げられる予定だ。

カンファレンスの名の通り、イベント内では質疑応答の時間も多く作られるということで、ゲストに対してインタラクティブに質問を投げかけることが出来る。世代も業種も多種多様なクリエイターたちに、自らの疑問や想いを正面からぶつけることの出来る数少ないチャンスをぜひ逃さないようにしたい。

渋谷という新たなカルチャーが生み出され続ける地で、明日からのマインドセットを大きく変えてしまうかもしれない一日を過ごしてみてはいかがだろうか。

trialog座長・黒鳥社コンテンツディレクター若林恵氏から今回のイベントに対してメッセージが届いたので、合わせて読んでみてほしい。

おっさんおばはんはそこにはもういないのだから

文・若林恵

SONYと黒鳥社のコラボによる「trialog」は、バックグラウンドの異なる三者が集い、「ほんとうに欲しい未来はなにか?」を語り合うトークイベントシリーズだ。今年で2年目、計7回開催された。

当代きっての鬼才ゲームクリエイターのデイヴィッド・オライリー、上海の気鋭の写真家・アートフォトパブリッシャーのシャオぺン・ユアン、電子音楽の先端を走るワンオートリクス・ポイント・ネヴァーから、文化人類学者の松村圭一郎さん、音楽家のtofubeatsさんや中村佳穂さん、写真界のレジェンドの森山大道さんなど、分野の異なるユニークな方々に登壇いただき、毎回ユニークな議論が行われた。

回を重ねるなかで見えてきたのは、若いお客さんの反応の鋭さだ。熱心にメモを取り、ハッとするような質問を繰り出す彼らの切実さを受けて、登壇する側もいっそう前のめりになり、ことばにも熱がこもる。そこで改めて、「ほんとうに欲しい未来はなにか?」というお題の重たさに思いいたることとなる。自分みたいなおっさん(71年生まれ)の「ほんとうに欲しい未来」なんて、実際のところどうでもいいな、と。苦笑。

いや、実際のところ、すでにして狭まった可能性と、自由な選択をもはや許さない現実が重くのしかかってしまっているおっさんには、「ほんとうに欲しい未来」なんていうお題はすでにしてあまり意味がない。それはせいぜい「こうだったらありがたいかもしれない老後」くらいのことしか意味しない。老後に必要とされる2000万円とやらをなんとかしないとな、とか。

もちろん、その間にやるべきことはやりたいものだが、それもまた自分の人生の話でしかない。「trialog」で語りたい「ほんとうに欲しい未来」は、そういうことではなくて、本来的には「社会」の話だ。10年後、20年後、あるいは50年後、100年後、この社会はどういう社会であって欲しいと願うのか。いまこの瞬間この社会でふんぞり返っているおっさんおばはんはそこにはもういない。とすれば、まだ見ぬ社会は、若者たちのものだ。

いま「ほんとうに欲しい未来」を語るべきは若者だ。優先されるべきは、いまここにいるおっさんおばはんの願いではなく、いずれその社会で成功したり失敗したり、泣いたり笑ったりすることになる、彼・彼女らの願いであるべきだ。おっさんおばはんのそこでの仕事は、彼ら・彼女らの声にきちんと耳を傾け、おっさんおばはんの見識において、その願いを鍛え、豊かなものにしてくことではないのか。「trialog」が回を重ねるごとに感じるようになったのは、そういうことだ。

今年に入って、お客さんを30歳以下と限定し、生真面目でいて遊び心のある20代の編集長が率いるメディア「NEUT Magazine」のサポートを得るなど、「trialog」をぐっと若者方面へとシフトさせたことにはそうした背景がある。それはおっさんである自分が、彼らのスコープを通して「未来のすがた」を学ぶプロセスでもあったと思う。

9月15日に開催するtrialog初のカンファレンスは、そうした思いが凝縮されたイベントになることを願ってプログラムを組んだ。「メディア」「ファッション」「会社」「アイデンティティ」というお題のもと、それぞれに対して、「ほんとうに欲しいそれは何か?」という問いが振り当てられる。語るのは若きメディア編集長やTVディレクター、スタイリストやモデル、起業家やラッパーなどだ。彼ら・彼女らの願いを通して、来場者の皆さんには、いまの現実と未来への距離を推し量り、いまここにある現実を見つめなおすきっかけを探してもらえたらと思う。

ことしからはトークセッションだけではなく、ミュージックセッションと題した音楽パートも増設した。わたしたちの言語は、それが政治的なものであるか、経済的なものであるかの二択しかないところで、とてつもなく貧しくなっている。そうしたなか、「政治的な意味」や「経済的な意味」から、ときに身を引き離し、逃走し、非言語の言語をもって集うことの大切さをいま改めて強く感じている。

「意味」に回収されてしまわないこと。答えなどないと知ること。わからないものをわからないまま大切にしておくこと。文化のことばは、政治は経済のことばとは、真逆のことを人に求める。その力に身を委ねることの尊さを知ることを、いま、この貧しい社会は決定的に欠いている。

ミュージックセッションのゲストとして登場する betcover!!と、会場VJ+DJを担当するtokyovitaminには、そうした欠落を埋めてくれることを願って、今回のカンファレンスへの参加を打診した。

若林恵
trialog座長・黒鳥社コンテンツディレクター

NEUT読者30名様限定!trialog summitご招待券

trialog summit(トライアログサミット)

WebsitePeatix

日時:2019年9月15日(日)13:00-20:00(12:30受付開始)

会場:渋谷ヒカリエ 9階 ホールB
〒150-8510 東京都渋谷区渋谷2-21-1 9階 ホールB
http://www.hikarie.jp/access/
定員: 一般(年齢制限なし)30名
一般(30歳以下限定)75名
学生(要学生証提示、30歳以下限定)75名
参加費:一般 3000円/学生 1500円
主催:trialog project事務局
企画協力:NEUT Magazine
パートナー:ソニー株式会社

*当日受付にてお名刺を1枚頂戴いたします。学生の方はご記帳をお願いさせていただきます。
*チケット購入後のキャンセルは不可となります。チケットを譲渡される場合はこちらをご確認ねがいます。

タイムテーブル
12:30 受付開始
13:00-13:10 オープニングトーク
13:10-14:00 トークセッション① 「News ほんとうに欲しい情報はなにか」
〈haru.×上出遼平×平山潤〉
14:00-14:50 トークセッション② 「Fashion ほんとうに欲しい見た目はなにか」
〈Shun Watanabe×佐久間裕美子×ラブリ〉
14:50-15:05 ラップアップセッション
15:05-15:30 Future Showcase by Sony
15:30-16:00 休憩
16:00-16:50 トークセッション③ 「Company ほんとうに欲しい会社はなにか」
〈酒向萌実×對馬哲平×篠田真貴子〉
16:50-17:40 トークセッション④ 「Identity ほんとうに欲しいアイデンティティはなにか」
〈陳暁 夏代×若林恵×Dos Monos(TAITAN MAN)〉
17:40-18:00 ラップアップセッション
18:00-18:20 休憩
18:20-18:50 ミュージックセッション betcover!!
18:50-20:00 懇親会
20:00  終了

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