食べ残しに賞味期限切れ。「美味しくなかった」という理由でゴミ箱に食べ物を捨てた経験はないだろうか?
日本で年間に捨てられている食糧は1800万トン。一人あたりに換算すると「おにぎりを1日5個」捨てていることになる。一方世界では、9人に1人が食糧不足のために今この瞬間も生死の境を彷徨っている。
大量の食糧廃棄と、深刻な食糧不足が地球上で同時に進行する矛盾。「他人のことは我関せず」の日本人に対し、ついに「食べ物の逆襲」が始まる。
食卓に青カビソーセージはいかが?
食事中には目を背けたくなるようなエキセントリックな写真たち。しかし、これまで知らなかった食べ物の末路に、不思議と目が釘付けになってしまう人は多いのではないだろうか。これらはすべて、写真家Klaus Pichlerの「One Third」という作品の一部である。
食べ物を粗末にしている!!と世界各地から大批判の声を頂戴しそうだが、彼が作品を通して伝えたいことは、まさに「食べ物を粗末にしている人間に対する忠告」である。食べられる状態のまま捨てられた食べ物たちは、カビ塗れになり異臭を放つ。まるでその様は、食べ物がゾンビに姿を変えて人間を襲おうとしているかのようだ。
豊かになるほど低下する「食べ物の価値」
Klaus Pichlerは世界の食糧問題に対し「消費社会に生きる人々の浪費が、食べ物の価値を低下させている」と意見を唱える。
アメリカでも日本でも、スーパーマーケットは大量の食品で溢れている。嗜好品のチーズを買う時、食後のデザートにケーキを買う時、「食べ物の末路」まで考えて購入する人が何人いるだろう。先進国における飽食の環境で、「本当に必要な食べ物なのか」を考えずに購入し、口に合わなかったり賞味期限が切れてしまったら、迷わずゴミ箱に食べ物を捨てる。
果たしてこれは、本当の豊かさと呼べるだろうか。
世界でいちばん食べ物を無駄にしている国、と聞くと「アメリカ?」と答えたくなる。しかし、実はアメリカよりも日本の方が一人あたりが1日に捨てている食べ物の量が多いのだ。
日本は食糧のうち40%以上を外国からの輸入に頼っている。しかし、その大半を廃棄していることになる。輸出国側がこの事実を知ったら呆れるに違いない。恐ろしいのは、日本が「世界No. 1食糧浪費国」であることを、国民のほとんどが知らないということだ。
私たちが何も考えずに捨てているおにぎりが、ある日カビの生えたアート作品となって再び目の前に現れないことを祈る。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。