“安定志向”が遠ざける「成功」への道

2016.11.2

Share
Tweet

モデルとして多くの人から脚光を浴び、安定した収入を得ていた彼が、突如仕事を辞め、いきなり世界一周の旅に飛び出した。なぜ彼は、偉大なる栄光を捨て、新たな道に踏み出そうとしたのだろうか。

そこには、彼なりの「リスク」との向き合い方が関係している。

「税金を払いながらテレビの前にいるのはご免だった」

width="100%"
Photo by MX Models Forum

世界中を旅する傍ら、その各地で「MOM,I’M FINE(ママ、僕は元気だよ!)」というメッセージをInstagramに投稿し、話題となっている27歳の男性がいる。

ベルギーで人気モデルとして活動していたジョナサンだ。しかし、彼は現在無職。自分の足で世界の地を踏んでみようと思い立ち、モデルという職業を手放してしまったからである。そして、それだけではなく、旅の資金を集めるため車などのお金になりそうなものはすべて売り払ってしまったという。もちろん、華やかな生活を捨てたジョナサンに、彼の母は大反対。そんな母を安心させるために考え出した彼なりの親孝行が「MOM,I’M FINE(ママ、僕は元気だよ!)」という写真を投稿することだった。

width="100%"
Photo by momimfine

しかし、なぜここまでして彼は旅に出ようと思ったのか。その理由をアメリカのメディアのインタビューに対しこのように語っている。「とにかく旅に出たいと思ったからさ。とにかくやりたいと思ったことはやったほうがいいんだよ。みんな、旅行は好きでしょ?好きならあとは一歩踏み出す勇気があればいいだけさ」。「僕たちは、税金を払い続けながらテレビの前に座るためだけに生まれてきたわけじゃないからね」。

彼はすべてを手放すというリスクを受け入れ、自分の意思で自分の人生を切り開いた。これをきっかけにまた一人、自分のようにすべてを捨てて冒険に出る人が出てこればいいと彼は思っているという。

売り上げ100万円の「じゃがいもビジネス」

また、アメリカにも自分の気持ちを信じてビジネスまで成功させてしまった男がいる。アメリカ・テキサス州に暮らすアレックス・クレイグだ。アレックスは、元々はアプリの開発者であったのだが、とあることをきっかけに違う仕事をすることとなった。それは「じゃがいもにメッセージを書いて人々に贈る」という突拍子もないサービスだ。アレックスがこのアイデアを思い付いたのは、たまたま彼女と食事をしていたときだ。そこにあったじゃがいもを見て「このじゃがいもにメッセージを書いて売ったらいいビジネスになるのではないか」とひらめいたそうだ。

しかし、その場にいた彼女は大反対。周りの人たちからもバカげたアイデアであると嘲笑された。それでもアレックスは諦めなかった。このサービスを「ポテト郵便」と名づけ、開始してみたところ、なんと2日目には2,000ドル(約20万円)の注文が入ったのだ。

そして今では月1万ドル(100万円)ほどの売り上げがあるという。SNSを通じて「じゃがいもが送られてきた!」という投稿があり、広まっていったらしい。誰から見ても「失敗しそう……」と思えるこのアイデア。

彼も100パーセント成功するとは思えなかっただろうし、その中で安定した仕事を手放すリスクを受け入れることは大きな決断であったはずだ。しかし、なにが成功するかは誰にも分からない。やってみて初めてスタートラインに立つことができるのだ。

IBMのCEOが話す「成長」と「安らぎ」の関係性

width="100%"
Photo by George Nott

踏み出した人たちは、少なからずリスクに直面したことがあるはずだ。その出来事に遭遇したとき、彼らはどのようにしてリスクと向き合ったのか。これについて、IBMの会長・社長兼CEOのジニ・ロメッティが、大変興味深い講和を発表している。そのエピソードが披露されたのは、ヒューストンで開かれた『Grace Hopper Celebration for Women in Computing』というイベントの場である。

そこでジニは今まで語ったことのない極めて個人的なエピソードを披露した。それは、彼女が幼い頃に自分と母を置いて家を出た父がいるという大変辛い過去だ。しかし、当時、同じ辛さを味わったジニの母は、一切辛い様子を見せることなく普段通り家事や仕事をこなし、自分が運命の犠牲者と見られることを許さなかったという。この母の姿からジニは、「リスクを受け入れて大きな夢を抱き、絶対に他の誰かに自分の可能性を委ねるな」ということを学んだという。そして、IBMの会長となることを上司に提案された日、この教訓が彼女を後押しした。

ジニは自分に自信が持てず昇進の返事をためらった。しかしその時、あの頃の母の姿が浮かび、上司からの提案を受け入れることにした。ジニは当時の決意をこう語る。

提案を受け入れることは、自分にとってリスクを抱えることでもありましたが、成長と心の安らぎは同時には得られないのだと感じました。それは、どんな人でもどんな国でもどんな企業でも、同じです。自分が成長するのはどんな時か、考えてみれば分かるでしょう。それはリスクをとって新たな物事にチャレンジする時なのです

「なりたい職業」を聞かれてハッとする

width="100%"
Photo by momimfine

今の安定した生活を捨て、違う未来を求めようとする人たち。彼らが「自分らしく生きている」ことで成功しているのは、新しいことに踏み出す際、「リスクを恐れない」のではなく、「リスクを恐れながらもそれを承知して受け入れている」からかもしれない。「将来の夢はなに?」と聞かれて、欧米の若年層は「理想の生き方」を答え、日本の若年層は「なりたい職業」を答えるそうだ。このように、日本では「夢=職業」となっているため、多くの人が現実的な側面ばかりを気にしてしまい、興味のあることがあっても、諦めざるを得なくなっている。しかし、「自分らしく」生きている人の多くは、現実的なリスクは気にしてはいないように思う。むしろ、「自分らしく生きるにはどうしたらいいのか」を優先し、それに伴うリスクを受け入れているのではないだろうか。
あなたは今、「自分らしく」生きているか。自分に問いただしてみて欲しい。

via. Instagram, Bored Panda, USA TODAY, Nothing To Do With Arbroath, livedoor NEWS, インターネットもぐもぐ

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

Share
Tweet
★ここを分記する

series

Creative Village