働くことが大好きだと思われがちな日本人であるが、どうやらそうでもないという事実が判明した。アメリカの人事コンサルティング会社「KeneXa High Performance Institute」が28ヵ国の社員100名以上の企業・団体に所属する社員を対象に調査した「組織の成功に貢献しようとするモチベーションの高さランキング」において、日本人の「仕事に対するやる気度」はなんと最下位であったのだ。
やる気の度数は「従業員エンゲージメント指数(%)」によって表され、順位がつけられる。世界最高はインドで77%、以下、デンマーク67%、メキシコ63%と続く。アメリカは59%で5位、中位には50%前後のヨーロッパが名を連ね、日本は31%でダントツのペケ。(参照元:DIAMOND online)そんな仕事をやる気のない日本人が見習うべきなのは陽気なイメージの強いメキシコ人だった。
「反省会を一切しない」のが “メキシコ流”
同調査の順位の中で意外なことに上位に名を連ねた国、メキシコ。果たしてどのような点でメキシコと日本は違うのか。その手がかりを掴むため「職場環境」に注目した。まずメキシコでは、いい意味で家庭と職場のボーダーラインがない。職場に子どもを連れてくることは当たり前であるし、重要な会議にはなぜか奥さん同伴という人も珍しくないそうだ。家族を大切にする国民性で、社員の家族の誕生会も人事が一括で管理して、会社全体で一緒に祝うという。そのため、毎月なにかしらのイベントが社内で開催され、多くのメキシコ人はサプライズの企画をしたり、誕生日プレゼントを用意することを会社の仲間と楽しんでいるのだ。
またメキシコ人は性格的に繊細な人が多く、怒られることが苦手だという。怒られることがあれば本人も周りもへこみ、労働効率が悪くなるため、上司は部下をとにかく褒めることから始めるそうだ。反省はさせず、来期に向けた会議でも「褒めること」しかしない。もちろんお酒が入ったからといって饒舌になって部下や後輩に仕事談義をしだす上司もいない。さらには役職や立場に関係なく、いつでも相手を敬う姿勢が取られているため、自分より下の立場の者が意見をしてきても反論から入る上司もいない。どちらかというときちんと耳を傾けてくれるそうだ。(参照元:東洋経済ONLINE)
労働時間は世界第1位。メキシコ人の「明日やるね方式」とは
このような環境下で仕事は果たして成り立つのか。答えは「YES」。仕事はきちんと回っている。そもそもメキシコ人はとても勤勉で、多くの企業が朝は9時から始まって夜遅くまで働くのが主流なそうで、実際にメキシコ人の労働時間は世界第1位。(参照元:世界ランキング)特にミーティングは朝に行われることが多く、7時からの朝食ミーティングも当たり前。祝日も年7日と、日本の半分以下だ。(参照元:山本労務)そんな状況下でもやる気が低下しないのがこの国。なぜなら、「やるときはやる」がメキシコ流だからだ。例えばワールドカップの試合の日などは仕事をさっさと切り上げて帰宅をする。だが、それを巻き返す時間は計算済みであるという。
それにメリハリだってついている。大事な商談では上司は最初だけ出てきて、あとは部下に任せ、さっさと帰ってしまう。これは最初に上司が場を締めることによってハードルを一気に高くし、そのレベルから交渉を開始できるようにするメキシコなりの計算なのだ。
また、メキシコには「mañana(マニャーニャ)方式」というものが存在する。「マニャーニャ」とは直訳すると「明日やるね」という意味。これは要するに仕事を翌日に回すことで、今日やるよりも確実に早く終わらせることができるという考え方だ。この「mañana(マニャーニャ)方式」の裏側にあるのは「何のために必要か?」、「誰のメリットになるのか?」、「社会的にどうなるのか?」というチェックリスト。無計画なままでとにかくやるよりもタスクを細分化し整理してから必ず次の日に終わらせるこの方式。「明日まで待てないほど急な仕事はない」ということだ。(参照元:lifehacker)メキシコにおいて「明日やるね」は先を見越した返事なのかもしれない。
メキシコ、それは“幸せ”に溢れた国
メキシコ人は仕事へのやる気度が高いだけではなく、プライベートの充実を高いようだ。国民の幸福度では世界第8位を誇り(日本は28位、参照元:THE HUFFINGTONPOST)、夫や妻を愛する国ランキングでは1位である。(日本は28位、参照元:Globature)まさに幸せに溢れた国なのだ。職場においては女性だって輝いている。女性が取締役を務める大企業は46%。(参照元:メキシコ投資推進グループ)それに対し、日本の上場企業の女性役員数は全体のたったの2.8%である。(参照元:東洋経済ONLINE)人生を楽しみ、家族との時間を楽しみ、仕事をも楽しむ。そんなメキシコ人の生き方はなんだかとても羨ましく映る。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。