「パイナップルはおもてなしのフルーツだ」とどこかで聞いたことがある。調べてみると確かにそうで、古くからブラジルなどの国でパーティー会場の入り口には、歓迎、友情、おもてなしの象徴として「パイナップルを丸々置いて飾っておく」という風習があったようだ。(参照元:learn2grow)
一方、ハワイでは「王位のフルーツ」とも称されるパイナップルだが、2017年になって今度は全世界の動物を救う「神的なフルーツ」へ昇格しようとしているのだとか。
パイナップルのおかげで、革製品はもう要らなくなる。
さまざまな種類の動物を乗せ、彼らの命を救った「ノアの方舟」ではないが、今パイナップルの捨てられてしまう“葉の部分”も「多くの動物の命を救う存在」になろうとしている。
カバンや靴、ジャケットなどに使用される動物のレザーのオルタナティブとして、パイナップルの葉の繊維から生成された“ビーガンレザー”が発明されたのだ。その名も「Piñatex(ピニャテックス)」。
この素材をデザインしたのは、スペイン人の女性、カルメン・ヒホサ(Carmen Hijosa)さん。革産業で15年も働いてきた彼女は、革の製造所を管理するために仕事でフィリピンに訪れる機会が多々あったそうだ。しかしフィリピンへ訪れるたびに、多くの動物を殺してまで作られるレザーは「なんて持続可能ではないんだ」と実感したという。そして彼女は革の業界に精通しているひとりの作り手だからこそ、レザーのオルタナティブを生み出す責任があると感じPiñatexの開発に精を出した。(参照元:Crane)
フィリピンの現地にあるもので「動物の革の代替品」を作りたいと思い、現地を調査していたときに彼女がわかったこと。それは、パイナップルの捨てられる葉っぱや茎の繊維から袋や布などの製品が作られていることだったという。(参照元:Crane)
動物を殺してまでレザーを身に纏う意味は本当にあるのか?
その技術を応用し、約7年の開発を経てついに動物の革の替わりとなるPiñatexが完成した。結果、カルメンさんは、フィリピンで雇用を創出し、動物を一切殺さず、パイナップルの無駄な部分から生成されるビーガンレザーを販売するというサスティナブルなビジネスモデルを生み出したのだ。袋や家具などあらゆるものに使用できるほど、丈夫で持続可能な素材であるPiñatexは、革だけでなくポリエステルなどの石油系の繊維のオルタナティブにもなりうると彼女は確信している。(参照元:Crane)
普段あまり気にせずに消耗される革製品。実に革の産業だけで皮革製品のために殺される動物の数は、全世界で年間10億頭を超えるという。(参照元:PETA)
そんななか、プーマやカンペールなどの靴のブランドもPiñatexで試作品を作っており、企業もビーガンレザーに関心を示し始めている。動物を殺し、自然を破壊してまで、おしゃれすることが本当に大切か今一度深く考えみてほしい。もしあなたが「革製品は要らない」と感じた時、限りなくレザーに近い「パイナップルの葉っぱ」が、あなたを“もてなして”くれるに違いない。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。