日本のスタートアップ界に“春の知らせ”を伝えたのは、今年で3回目の東京開催となる「Slush Tokyo(前Slush Asia)」だ。本イベントを一言で表現するならば「起業とテクノロジーの祭典」。北欧フィンランドで2008年から始まった世界に羽ばたく若者のチャレンジを応援する世界最大級のスタートアップイベントだ。
3月29~30日の2日間、東京ビッグサイトにて行われた本イベント。今年は過去記録を更新し、なんと世界中から5000人もの人が訪れた。そして、500社ものスタートアップ、200人の投資家、250人のジャーナリストも参加した。
日本は、巨大な市場、素晴らしい才能、テクノロジーの発達全てを持っている。 シリコンバレーや投資家は日本を、何か素晴らしいことの起こる前触れで溢れている国だと気づくだろう
そう言い放ったのは、UberやBlue Bottle Coffeeなどに投資をしているエンジェル投資家 / 起業家のSteve Jang氏。
「起業」や「スタートアップ」という言葉を、まだまだ他人事に感じてしまう日本の若者は少なくはないかもしれない。しかし、本イベントの参加を通して、「スタートアップ・ムーブメント」が日本で起こっていることを実感することができた。今回はBe inspired!が今年のSlush Tokyoで出会った「キラリと光る社会起業家」を3社ピックアップしてお届けする。
①誇り高き日本茶を世界へ伝える「NODOKA」
2016年にニューヨークで創設されたNODOKAは、日本の高品質なオーガニックのお茶を海外に提供するECのスタートアップだ。代表は東京で生まれ育ったSuil Hong氏。
彼は「伝統的な茶農家」と「世界の国々」を結ぶこと。そして、大きなブランドと卸売業者が支配する日本茶の市場の中で、小さな日本の生産者が競争できるよう支援することに使命をもち会社を立ち上げた。
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②あなたの外食が社会貢献を加速させる「Gochiso」
コンセプトは「Give Thanks(感謝)」。2016年にPhilip Nguyen氏によって大阪で創設されたGochisoは、人々をつなぎ、出会いと食事を楽しみながら、同時に社会貢献を可能にするソーシャルダイニングプラットフォームだ。彼らはレストランとNPO団体をつなぎ合わせるプラットフォームを作り、今までよりも格段にチャリティディナーを身近な存在へと変化させたのだ。食事会に参加したり、登録されている飲食店にグループで予約をするだけで、最大35%もの飲食代がNPOへ寄付される。
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③排泄でお悩みの方の負担を軽減する「DFree」
「私、うんこ漏らしたこと、あるんです」とインパクトの強い自らの経験をウェブサイトで公表している男が存在する。2015年にトリプル・ダブリュー・ジャパン株式会社を創設した中西敦士氏だ。同社は、 排泄のトラブルや悩みを軽減するソリューション「DFree」を企画・開発・販売している。
「家を出る前にわかっていれば、漏らすことはなかった」。そんなことがないように「DFree」は、排泄のタイミングを自分で気づくよりも前に検知し、知らせてくれるスーパースマートなスマホアプリなのだ。現在、トイレへの移動が困難な方々や介護分野での活用が期待されている。このサービスが普及すれば、介護業界における排泄ケアの在り方が変わるかもしれない。
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「小さくも情熱がある企業」に社会を変えるチャンスを与えるSlush Tokyo
たかが3社、されど3社。Be inspired!が厳選したキャラの濃い「ソーシャルグッドなスタートアップ」はどうだっただろうか?
今回のSlush Tokyoでは、スタートアップ80社によるピッチコンテストが開催されたり、投資家とスタートアップの架け橋となるようなマッチングシステムが導入されたり、日本に「国際的な人材」と「サステナブルなビジネスモデル」が育まれる土壌を作り出す可能性を大いに秘めたイベントとなっていたのが印象的だ。毎年11月にフィンランド・ヘルシンキで行われる本国の「Slush」や来年のSlush Tokyoにもぜひ注目していきたい。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。