今年のアカデミー賞で「800人前の棄てられる食事」を救ったアクティビスト・オスカー俳優

2017.4.5

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日本でも注目された今年のアカデミー賞授賞式。その晩の豪華な夕食会で余ってしまった食事を、大ヒット映画『スラムドッグ$ミリオネア』に出演したインド出身の俳優*1フリーダ・ピントーが、ハリウッド近郊に住む800人のお腹をすかせた人々に提供した。

フリーダ・ピントーはインド出身の俳優で、2009年『スラムドッグ$ミリオネア』に主人公の恋人役として出演し、英国アカデミー賞主演女優賞にノミネートされている。

彼女は現在までもチャリティー活動に参加しており、それはHIV・エイズの分野から、恵まれない子供や若者とその親や家族のサポート、災害救助、教育、環境、健康、人権、貧困、女性、経済・ビジネス援助までの多岐に渡る。(参照元:Look to the Stars

(*1)俳優:本記事では「女優」ではなく「俳優」と記述しているが、女性の俳優を「女優」と区別するのは性差別的ではないかという考え方から、区別する必要のないときは性別の区別なく「俳優」と記す風潮に倣った。これは「看護婦」ではなく「看護師」と呼ぶなどの流れと似ている。英語圏でも女優を意味する「actress」ではなく、俳優という意味の「actor」が性別の区別なく使われることがある。

そんな彼女が今年のアカデミー賞の時期に行なった活動は、晩餐会で余った豪華な食事を、オスカーの会場からLGBTQ向けなどのシェルターへ配ることだった。

これらのシェルターのある地区は皮肉にも、アカデミー賞で6部門を受賞した『ラ・ラ・ランド』の撮影地からあまり離れていないという。豪華絢爛なアカデミー賞の授賞式の会場と、食事にありつけない人々の通うシェルターが近いところにあるなんて、どのくらいのセレブたちが知っていたのだろうか。

オスカー像の形をしたサーモンや牛肉、チキンレッグ、カナッペ、キャビアの乗ったベイクドポテト、サラダなどオスカーたちの食べなかった豪華な食事は、フリーダらのおかげで、廃棄されることなく800人もの空腹の人々に提供された。(参照元:Konbini, The Independent

DFID- UK Department for International Development
少女の権利を訴える若者たちのイベントにて
Photo by DFID- UK Department for International Development

フリーダと活動を共にしたコピア(Copia)という企業は、「食事にありつけない人」と「食事を余らせてしまった人」をつなぐ同名のアプリを運営している。家庭で余った食事だけでなく、食品事業で使い切れなかった食べ物も、非営利団体を通して食事を必要としている人に届けられるのだ。

世界ではコピアと同じような食品ロスをなくす目的のアプリが多数開発され、満足な食事にありつけない人や、食べられずに捨てられてしまう食品を減らすことができている。だが、日本ではどうだろうか?

2004年に環境分野でノーベル平和賞を受賞したケニアのワンガリ・マータイ氏が世界に広めた“もったいない”という言葉を使う国でありながら、大量の食品ロスを出している日本。日本の著名人も、フリーダがしたように自分の知名度を使いながら、その「もったいない文化」を牽引していくべきではないだろうか。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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