カルト*1といえば、日本人なら「オウム真理教」を思い浮かべるだろうか?彼らの起こした「地下鉄サリン事件」や「松本サリン事件」のような凶悪事件は、20年以上経った現在でも人々の印象に強く残っている。だが、残念ながら世界には彼らのような信者の人生や社会を破壊する行為を行なうカルトが他にも存在するのだ。
そんな「カルトの実態」を教えてくれるオンライン動画を、インスピレーション溢れるプレゼンテーションで有名な「TED Talks」のオンライン学習ツール「TED-Ed」が先日公開した。
(*1)カルトには、ある特定の対象を熱狂的に崇拝するという意味もあり、必ずしもネガティブな意味ではない。だが、ここでは極端な思想を信仰することや、その集団という意味の「カルト」を使っている。
アメリカで「カルト研究」の権威を持つジャンジャ・ラリック氏が監修した、TED-Edの動画「人はどうしてカルトに入るのか?(Why do people join cults?)」によると、カルトとは、大まかにいうと「カリスマ性のあるリーダーによって取りまとめられた、共通の極端な思想に傾倒するグループやムーブメント」のことを指し、そのごく一部は凶悪な犯罪や虐殺を起こすのだ。程度こそさまざまでも、カルトは信者をコントロールし、リーダーに従い続けさせるのが特徴だという。
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仲がいいから断りにくい…。典型的な勧誘されがちな状況とは?
動画ではカルトの勧誘は親しい人物を通じて行われることが多く、断るのが難しいという事実を伝えている。また、彼らは「新しい土地にやってきた人」や、「家族や職を失った人」を狙っているため、そんな状況のときは注意が必要だと教えてくれている。
さらに動画では、1955年から1978年まで存在したアメリカの悪名高いカルトの「People’s Temple」(人民寺院と訳される)を例に、カルトの存在の恐ろしさを伝えている。
初めは政治家を含む人々からの支持も得ていた同集団だったが、信者に対する洗脳や虐待の事実が暴かれ、集団は数百人の信者を連れてガーナに拠点を移すが、そこでも信者への強制労働やレイプ、毒殺が発覚し、最終的には信者と幹部の多くが集団で自殺する異様で悲劇的な結末となった。(参照元:TED-Ed, Alternative Considerations of Jonestown and Peoples Temple)
これらTED-Edの動画はオンライン教材として使用できるように作られており、ウェブサイト上には、レクチャーテーマのより深い内容を知ることのできる読み物やミニテスト、ディスカッションボードも用意されている。これを使って「カルトの恐ろしさ」のような、世の中に存在する少しニッチな問題についても、短いアニメーションを通じて楽しみながら学んでみてもいいかもしれない。動画全編を見たい方はこちら。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。