小学生の頃、休みに入る前に名前が呼ばれる“皆勤賞”を一生懸命目指していた人も少なくないだろう。学校に毎日出席した人を表彰することは生徒の登校に対する意欲を掻き立てる要素にもなる素敵な制度だ、何ら悪いことではない。と、イギリスのある母親の考え方を耳にするまではそんな風に思っていた。
皆勤賞は子どもに不公平
とあるイギリス人女性は息子を皆勤賞の授賞式に出席させなかった。なぜなら、皆勤賞は体が弱い子、精神的に苦しんでいる子に対して公平なものではないからだ。
この主張の背景には彼女の長男には重度の障害があるということがあった。それを踏まえて彼女は、体が弱いことや精神的に弱いことは“運”であって、子どもが自身で選べることではない、それに対して賞を与えるべきではないと主張している。
皆勤賞を与えることで、「行けなかった子ども」に負のイメージを与えかねないということだ。(参照元:UPWORTHY)
皆勤賞を設けることをやめた市がある
日本でも実際に皆勤賞を設けていない市がある。
休まず登校した子どもたちを表彰することは、子どもたちにとって大きな誇りと励みになるものと考えます。
一方、本市には様々な立場の子どもがいます。学校に行くことができず不登校である子ども、自身の努力ではどうにもならない病気や障がい等のある子どもなど、学校に行きたくても学校を休まざるを得ない子どもたちが本市にはたくさんいます。そうした立場の子どもたちや保護者は、市が皆勤賞を贈ることで複雑な心情になるものと考えます。
また、インフルエンザなど感染症に罹患した子どもや、けが及び病気により安静を要する子どもたちが皆勤賞のために無理して学校に行き、他の子どもや自分自身の健康に影響を及ぼすことも考えられます。
このような理由から、市としての皆勤賞の設置は難しいと考えており、各家庭で大いに賞賛していただきたいと思いますので、ご理解のほどよろしくお願いします。
(引用元:出雲市市長ポスト)
皆勤賞を設置するか否かについての議論は遠い海の向こう側だけでの話ではない。日本にも既にこういう考え方が存在しているのだ。
「学校に行けない」から頑張っていないのか?
日本でも、夏休み明けの子どもの自殺数増加や、時間外労働を大幅に超えての自殺が問題になっている。心が疲れてしまって、命を失ってしまうくらいなら無理をせずに休んでほしい。
もちろん、毎日学校に行くことは素晴らしいことであるし、皆勤賞は何も生徒に「休んではいけない」と教えているわけでもなく、圧力をかけているわけではないだろう。しかし、学校に毎日行ける子に賞が与えられる裏側で、行きたくても毎日行けない子どもたちがいることを忘れてはいけない。
そして、1番大事なことは、体が弱かったり、精神的な面で辛いと感じている人に対して、無理して学校に行く必要はないということをみんなが理解することではないだろうか。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。