あなたは、買い物する時どんな基準で商品を選んでいるだろうか?もしあなたの気に入っている商品を販売する企業が、不正を働いたり環境に悪影響を及ぼす事業に資金提供したりしていたらどうするだろう。
企業や商品作りにおける考え方に賛同できない場合、その企業やブランドの商品を「ボイコット(不買運動)」するという方法がある。これは買い物が「投票」に例えられるように、消費者の力で信頼や賛同のできない企業の商品にお金を出すのをやめ(票を入れるのをやめ)、企業の経営を成り立たなくさせ社会をより良くする(より良い企業に投票する)というもの。
そこであなたがボイコットしたいとき、またはボイコットとは関係なく単純に人や環境に良い商品が欲しいときに、参考となる商品カタログをBe inspired!が作成することを決意。その名も「GOOD GOODS CATALOG(グットグッズカタログ)」。
オランダ発100%“奴隷フリー”を目指すチョコレート
スーパーやコンビニに並ぶ美味しいチョコレートの裏に隠された悲しい現実を知っているだろうか。チョコレートの原材料であるカカオの主な生産地としてアフリカがあり、アフリカでは今もなお労働の搾取によって多くの人が苦しめられているのだ。(参照元:世界奴隷指標)
この現状に対して、オランダに生産過程で絶対に労働の搾取に関わらないという信念を掲げているチョコレート会社がある。その会社は、Tony’s Chocolonely(トニーズチョコロンリー)といい、ジャーナリストであったTeun van de Keuken(テェゥン・ファン・カェゥクン)さんによってつくられた。
ジャーナリストとして活動していたテェゥン(英語圏ではトニー)さんは西アフリカのカカオ生産国で子どもを奴隷として買い取る人身売買が行われている事実を知った。
気軽に買っていたスーパーやコンビニのチョコレートのほとんどが児童労働の上に成り立っていたのだ。このことにショックを受けたテェゥンさんはまず世界的に有名なチョコレート会社たちに訴えた。しかし彼らは全員テェゥンさんを無視したのだった。
そこで彼は児童奴隷の廃止活動を始め、ついには児童奴隷によって栽培されたカカオが原料のチョコレートを食べた「チョコレート犯人」として自身を告訴してしまった。この訴えは不起訴となったものの、その後も複数のチョコレート会社に児童労働によって栽培されたカカオの使用を取り止めるように持ちかけるなど積極的に廃止活動を行った。
そんななか、フェアトレードでさえ、実際には名ばかりだという事実を知り、児童労働の禁止とカカオ農園で働く労働者たちに適切な賃金を払うことを誓い、自ら児童奴隷を一切使わないチョコレート会社を立ち上げた。
表面だけのフェアトレード
開発途上国の生産者をサポートするために、フェアトレードというものが存在する。フェアトレードとは公平な貿易のことであり、開発途上国の原料や製品を適正な価格で継続的に購入し、立場の弱い開発途上国の生産者や労働者の自立や経済的なサポートをする仕組みである。(参照元:Fairtrade Label Japan)
また、国際フェアトレード認証というものがあり、生産者の労働条件や生活に必要な最低限の賃金の支払いなど、製品がいくつかの基準に従い認証を受けている事を保証している。
しかし、このような組織と仕組みがあるにも関わらず、未だ労働の搾取は行われているのだ。フェアトレードで扱われている主な製品の中にカカオがあり、フェアトレードを行っているというカカオ農園は数多くあるが、実際はその仕組みが機能しておらず、奴隷を使用してその労働を搾取しているケースもある。最低賃金が決まっているにも関わらず、企業や現地の有力者による不正によって生産者たちに妥当な賃金が手渡されていないかったり、安い賃金で働く子どもたちを結局は長時間働かせてしまっているのだ。
“奴隷フリー”のための特別レシピ
チョコレート農家から直接チョコレートを購入しているTony’s Chocolonely。同業者が参考にするべき自信のルールが5つあるという。
①公平な賃金を払う
農家が貧困に陥らないだけの公平な賃金を払う。
②チョコレートビーンズを追う
サプライチェーンをしっかりと地図化し、修復が必要な部分にはすぐに対応する。
③長期間の契約を農家とする
最低でも5年間契約を農家とする。長期的なプランを農家の状況を考慮して立てる。地元のビジネスに投資する。
④農家同士のつながりを斡旋する
農家団体のつながりを強くする。スケールメリットを活かす。
⑤量より質
量より質を優先する。農家の人々を応援し企業側がモチベーションを上げさせる。
フェアトレード認証されている商品だからといって自分は適切なものを購入していて社会貢献をしているという感覚でいたとしても、それは残念ながら奴隷として扱われている子どもたちを助けているという確証はないのだ。まず、その商品にはどんな原料が使われ、それらはどのような過程で生産されているのかということを自分でよく調べる習慣をもち、実態を理解することが大切なのではないだろうか。そしてTony’s Chocolonelyのように、他の企業や団体に頼るのではなく、自ら行動して児童奴隷撲滅を訴え続ける会社がもっと増えるべきなのかもしれない。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。