フェアトレード、ダイレクトトレード、オーガニック、ベジタリアン、ビーガン、ゼロウェイスト、昆虫食、未来食…。東京の街に日々増えていく、お腹をただ満たすだけではない「思想の詰まった飲食店」。
「海外からビーガンの友達が日本に来ていて、ビーガンメニューのあるレストランを知りたい」、「サードウェーブの先を行くコーヒーが飲みたい」、「フードロスがないレストランに行きたい」、「無農薬野菜が食べたい」、「友達や恋人と健康にいい食事をしたい」などなど。そんなニーズに答える連載です。
「食べることはお腹を満たすだけじゃない。思想も一緒にいただきます」。その名も『TOKYO GOOD FOOD』。フーディーなBe inspired!編集部が東京で出会える、社会に、環境に、健康に、あなたに、兎に角「GOODなFOOD」を気まぐれでお届けします!
それでは第13回目の『TOKYO GOOD FOOD』行ってみましょう!
WHERE IN TOKYO
今回紹介するのは2014年5月3日にオープンした、渋谷と恵比寿の間くらいに佇む「GOOD MEALS SHOP 渋谷本店」。TOKYO FAMILY RESTAURANTの姉妹店と知っている人もいるかもしれない。
「なるべく、できるだけ」を合言葉に、ストイック過ぎず、健康で美味しい料理やお酒が堪能できるGOOD MEALS SHOPを運営するFLYING CIRCUS代表の三浦さんに、お店のオススメメニューや、お店のコンセプトを伺いました。
WHAT’S GOOD
ーお店で一番オススメの品はなんですか?
5種ソースのクリスピーチキンナゲットです。
ーその理由はなんですか?
お店のコンセプトを表現する上でもとても重要なメニューだからです。
特別ではない、誰もが食べたことがあるチキンナゲットを丁寧に一から手作りしています。チキンナゲットは鶏胸肉とモモ肉を合わせて手ごねし、ケチャップやマヨネーズなどももちろん店舗で自家製しています。
オープン当初“チキンナゲット”というありふれたメニューであるにもかかわらず、英国の情報誌「MONOCLE」でスターディッシュとして紹介して頂いて、GOOD MEALS SHOPのアイデンティティに少なからず共感してくれる方達ががいるんだなと、勇気をもらった1品でもあります。
ー他にもオススメありますか?
オープン当初からフォーカスしている「クラフトジン」です。
その土地ならではのボタニカル(草根木皮)を使用して造られる、少量生産ならではの個性豊かな味わいを楽しむという部分で、GOOD MEALS SHOPのアイデンティティとの親和性も高く、現在進行形の世界的なフードカルチャーとして特に力を入れて紹介をしてきているメニューです。
日本屈指の25カ国250種類以上のクラフトジンをラインナップしているほか、セミナーの開催、焼酎や泡盛などの酒造メーカーによる国産クラフトジンの開発サポートも行っています。
CONCEPT & PHILOSOPHY
ーお店のコンセプトを教えてもらえますか?
「なるべくカラダに良いものを、できるだけ手作りで」というコンセプトのもと、ハウスメイドとハンドクラフトをキーワードにお店作りを進めました。
“なるべく”や“できるだけ”といった言葉を入れているのにはもちろん理由があるのですが、大前提として、食事の時間はなにより楽しい時間であって欲しいということ。
美味しくて安心して食べられる食事を提供することと同じくらい、ある意味ではそれ以上に、楽しい食事の時間を提供することこそが大切だと思っています。
食の安全への関心が、東日本大震災をきっかけにますます高まりはじめた頃、自分自身も食に携わる仕事をさせて頂いている中で、或いはひとりの都市生活者として、「これからの飲食店とは?」といったことをあらためて考えはじめていました。
添加物や保存料、香料や化学調味料、固定種とF1種、白砂糖って何が体に悪いの?玄米は本当に体に良いの?豆腐に使用される凝固剤や消泡剤ってなに?ソーセージやハムに添加される亜硝酸塩は野菜にも含まれてる?
溢れる情報の中で、知識が増えればその分疑問も膨らむような時間を過ごしていたある日、
友人からもらったチョコレートのパッケージに大きく書かれた文字が目にとまりました。
“70% オーガニック”
食の安全を語る上で、これは絶対に正しいとか100%こうじゃなきゃいけないと言い切るのはちょっと危険だなと、同じ食事がすべての人の体に合うわけじゃないし、そもそも不安やストレスが一番体に悪い。そういったことを感じ始めていたので、なんか凄くしっくりきたというか、完璧であることはできなくても正直であることならすぐにでもはじめられると思うようになりました。
何より食事は楽しい時間であるべきだし、肩の力を抜いて、できることから始めてみようと、このチョコレートがGOOD MEALS SHOP誕生の大きなインスピレーションになったことは間違いありません。
(※2006年に開業した系列店「TOKYO FAMILY RESTAURANT」は、ワールドフードトラベルをテーマに30カ国以上の国と地域からセレクトした食事やビールを提供するお店なのですが、TOKYO FAMILY RESTAURANTがある意味自分達なりの「Think Globally, Act Locally」を表現してきたお店だとすれば、GOOD MEALS SHOPはこれからの10年で「Think Locally, Act Globally」を実現していく為のプロジェクト。自分達らしく、自分達のままで、少しずつ世界へ向けて発信していきたいなと考えています。)
CHANGE SOCIETY
ーGOOD MEALS SHOPは、どのような影響を日本社会に与えたいですか?
あたりまえの基準を変えること、そのキッカケを作ること。どう意識を変えるかというよりは、意識をするキッカケになれたらなと考えています。
何より食事は楽しい時間であるべき。
三浦さんのこの純粋な思いが印象的だ。6年前の東日本大震災後、食の安全性を疑ったり、放射能汚染された作物じゃないか不安になったり、そして気にしすぎて逆にストレスが溜まったり…。
“食にこだわること”があだとなり、楽しく食事ができていない人もいるのではないだろうか。
もちろん100%オーガニックで安全なものがいいに決まっている。しかし、そこに執着しすぎて疲れてしまうのであれば、70%オーガニックという完璧じゃない生活を目指すことも、一つの生き方の選択肢としてある。
少し肩の力を抜いて、好きな人、大切な人と手作りのご飯を食べて、お酒を飲んだら、きっと楽しいよ。三浦さんの話を聞いていると、そんな当たり前のことを再認識することができた。
どこの国の肉で、どこの部位かもわからない、安くて手軽に食べられるファストフードのナゲットしか食べたことがない人は、お店で手作りされたGOOD MEALS SHOPをナゲットを一度食べに行ってみてほしい。笑顔になれる、味と時間があなたを待っている。
来週の『TOKYO GOOD FOOD』もお楽しみに!
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。