The wish to be the helpful person that can’t find the exit by Natsuko Yamane|MATTER OF CORONA #108

2020.6.16

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コロナ危機のなか、アクションを起こしている人が世界中にたくさんいます。そんな人々へのサポートの気持ちを込めて始めたNEUT Magazineの緊急新連載「MATTER OF CORONA(マター・オブ・コロナ)」ではイラスト、グラフィック、写真、映像、音楽、詩など作品のフォーマットは問わず、国内外も問わず、知名度も問わず、たくさんの人のアクションを一つずつ紹介していきます。

#MATTEROFCORONA #LETSREADNEUTATHOME #STAYHOME

Natsuko Yamane

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顔が思い浮かぶ大切な人たちが、苦しんでいる、辛く悲しい思いをしている、そう思うと胸がつまっていてもたってもいられないのに、思い浮かぶ自分にできるかもしれないことは浅はかすぎて無力を痛感する。

祈るしかできないのか、いやもっと考えろ、空回りでもいいから思い考え続けろ、自分との対話は乱れている。

弱くて感情先行が過ぎる自分に苛立ちながら、それでも確実にある想いをほんの少しでもいいから、いつでも信じられる大きく優しく世界一おもしろいあの人や私に大切なことを教えてくれた酔っぱらうとキス魔になるあの子や弱さを見せることだってできる強さを持ったあの人や、たくさんの愛と混じり気のない自分の言葉を持つあの人や、文化に明るく独自のユーモアとスタイルを確立させている大人っぽいあの人、そして、社会を見るということを教え、大切な友人を与えてくれた場所、人生で最も大きな価値を持つことになった3ヶ月という時間、船が港から出続けること自体、それらの役に立たせることができれば、ほんの少しでいいから、そうできれば、少なくとも私が少しは救われるのにと、自己中心的なことを考える。

企画書を作ってみる。なんのノウハウもない思いつきとしか言えない文字列にどんな意味があるのかわからない。音を立ててパソコンを閉じる。
誰かのアドバイスが欲しくて電話帳を上から下まで何度も見直しては、このアドレスの先にいる誰かもまた今違う困難の渦中にいるに違いないことを思い出す。

役に立ちたいという自分勝手な願いが行き先を見つけられなくて変な音を出している。

コロナウィルスと責任感を持たない嘘に慣れた政権が奪い去っていくものは、時間が経たないと見えてこない。
こうしたものは音もなくただ静かに倒れ、そして二度と立ち上がらないかも知れない。そう思うと1分1秒をただ過ごしている自分が憎らしい。

しくしく泣こうが聞き分けなくわめこうがそれだけでは何も変えられないなんてことにはとうの昔に気づいているはずなのに、相変わらず子どもじみた仕草を繰り返しているだけの私はいつまでも大人になれない。

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