「コロナ禍の若者、セックスどうしてた?」若者3人に聞いた、多種多様なセックスへの価値観|2周年記念特集MATTER OF CORONA

Photography: Sara Hirayama unless otherwise stated.

Text: Rino Nakashima, Hinako, Sara Hirayama

2020.11.10

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MATTER OF CORONA

2020年10月でNEUT Magazineは2周年を迎えた。
2020年を振り返えるとやはり「新型コロナウイルス」は避けられないキーワード。そこで全ての人に大きな影響を与えたこの「MATTER OF CORONA(コロナに関すること)」について今年最初で最後の特集を組むことにした。

コロナに直面し、人との接触を自粛しなければならない特殊な環境のなかで「孤独のなかの自分とどう向き合うか」は、多くの人にとって大きなテーマだっただろう。そこで本特集では「自分とのリレーションシップ」を等身大の視点から多角的に見つめ直す。

今回は初の試みとして、読者と一緒に特集を制作した。NEUTで集めた19〜25歳の18名がそれぞれのパーソナルな経験からコロナ禍で関心を持った6つのテーマ《SEX》《MUSIC》《MEDIA》《FOOD》《LGBTQ+》《WORK》を、1チーム3人の6チームに分かれて、NEUT編集部の監修のもとそれぞれ企画・取材・執筆した。

▶︎特集ページ

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第1弾のトピックは、「SEX」

新型コロナの影響で自粛生活が始まってからもう半年以上が経つ。自粛生活のなかみんなはどのように人と心や身体の繋がりを保っているのかー気になるのは、「コロナ禍の若者、セックスどうしてた?」。

いつ終わるか分からない自粛生活のなかで、これから先私たちはどのように人と繋がり続けていくのか。若者3人のセックスの話を聞いて、これからの「繋がり方」を考える。

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今回東京で取材を受けてくれた3人一緒に

タニモトツカサ

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ーコロナにおける外出自粛令が発表されたとき、セックスをする特定のパートナーはいた?(恋人、セフレ、なんでも!)

僕は彼女と付き合わせてもらっているので、「特定のパートナー」は彼女になります。

ー自粛中はどれくらいの頻度で、どこでセックスしてた?

彼女は今は都内に住んでいるのですが、8月末までは地方に住んでいたので、1ヶ月に2回ぐらいの頻度で会うプチ遠距離でした。なので、元から物理的に遠いという理由もあり、そこまで頻度高くセックスができない状況でした。

緊急事態宣言によって、1ヶ月半に1回しか会えない状況が続きました。お互いのムード、会うときの予定、生理のタイミングなどの影響もあって、「会う=セックスをする」と限らないので、よく覚えていないですが、3ヶ月以上セックスをしていない時期があった気がします。
場所に関しては、基本的には自宅になります。

ー自粛で体の温もりを感じられずいつもに増して孤独を感じたという思いはやっぱりあった?

プチ遠距離に慣れていたので、正直なところ、そこまで「孤独だ…」とは感じませんでした。孤独よりかは、単純に会いに行きたいときに会いにいけないことにイライラと寂しさを感じることはありました。特に緊急事態宣言の頃は、お互いの予定が合っても、コロナの影響でさすがに会うべきではないという時期が続いて、先が見えず、「一体いつ会えるんだろう?」と思っていました。

ーSTAY HOMEが宣言されてパートナーとの関係に変化はあった?(関係の変化でも、セックスの変化でも、なんでも!)

コロナによって、根本的な関係の変化はなかったですが、コロナのおかげで、お互いの肉体関係についてフラットに話すきっかけになりました。先程話した通り、プチ遠距離と自粛の影響で、3ヶ月程セックスをしない時期があったのですが、その状況により「今回もまたできなかったね」のような会話が自然に生まれることがあって、これはこれでいいなと僕は思いました。

少し余談になってしまうかもしれないですし、気のせいかもしれないですが、自粛モードが長かったからか、お互いが好きそうなトピックのコンテンツを前よりシェア・消費することが増えた気がします。例えばですが、彼女は東浩紀(あずま ひろき)氏が主宰のゲンロンカフェがとても好きで、彼女がおすすめしてくれる回を聴いたり、普通にお互いが好きなYouTuberの動画を送りあったり、そういうことをいつもよりはした気がします(笑)。

ーSTAY HOMEでストレスや鬱に苦しむ人が増えたように感じたけど、セックスをすることで自粛中に溜まったストレスを発散していたという気持ちはあった?

コロナ問わず、僕はセックスする行為がストレス発散方法だと思ったことがないので、「興味深い質問だな」と思いました。ちょっとだけ今考えたのですが、セックスは、僕のなかで、身体的に愛情を伝え合う、安心感を与え合う、気持ち良さを探し合う、双方的な行為なのかなと思います。ストレス発散方法として考えると、一方的な、自己中的な考えな印象が強くて、違和感を感じてしまいます。もし、そう捉えている人がいるのであれば、「本当に相手のこと好きなの?」って思ってしまいます(笑)。

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ーセックスをすることで心の繋がりや温かみを感じられると思う?セックスは孤独感と関係してるのかな?

個人的には、セックスによって感じられる「心の繋がり」や「温かみ」は儚い効果なのかなと思っています。もちろん、パートナーとセックスすることによってこれらのエモーションを感じれると思いますが、そもそも他のもっとディープな軸・要素によって、その「心の繋がり」と「温かみ」感を作り上げているのではないかと思います。なので、もちろんその思考経路に走ってしまうことを理解はできますが、孤独だからって、セックスをしても、いきなり孤独ではなくなることはないと思います(笑)。

ー 逆に緊急事態宣言が終わり自粛が前よりはゆるくなってきている雰囲気の今はどれくらいの頻度で、どこでセックスしてる?

僕は仕事、彼女は製作で忙しいのと、僕は性欲がとても強い方ではないので、なんだかんだ1ヶ月に1~2回の頻度になると思います。場所に関しては、コロナ問わず、僕の自宅になります。

ーあなたにとってセックスとは?

パートナーとのセックスは先程触れた通り、一種のコミュニケーション方法だと思います。具体的に説明しづらいですが、言葉でしか伝わらないこと、ボディーランゲージでしか伝わらないこと、表情でしか伝わらないことがあるなか、セックスを通じてしか伝わらない・感じられないことがあると思います。

タニモトツカサ

TwitterInstagramポッドキャスト「ラジオ屋さんごっこ」

1992年東京生まれ。4歳のときにベルギーに移住し、ヨーロッパを転々としたのち、2019年末から東京在住。現在は会社員をしながら、親友のラッパー・valkneeとデザイナー・リー子と「ラジオ屋さんごっこ」というポッドキャストを配信中。実は、第102回「ガラスの靴みたいなペニス」のテーマが「性欲」なので、是非聴いて欲しいです!

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ツジアスカ

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ーコロナにおける外出自粛令が発表されたときセックスをする特定のパートナーはいた?(恋人、セフレ、なんでも!)

いました。今もお付き合いしている恋人と、時々セフレとセックスをしてました。

ー自粛中はどれくらいの頻度で、どこでセックスしてた?

月に一度、遠距離の恋人と会って、ホテルでしていました。恋人は東京にいて、頻繁には会えない距離だったので時間を見つけて会っていました。どうしても寂しいときは、セフレにホテルで会い、セックスをしてました。

ー自粛で体の温もりを感じられずいつもに増して孤独を感じたという思いはやっぱりあった?

すごく孤独でした。隣に温度がないことが、私を一人きりにさせたし、誰かと交わることができないから、自分の存在が不透明になった気分でした。

ーSTAY HOMEが宣言されてパートナーとの関係に変化はあった?(関係の変化でも、セックスの変化でも、なんでも!)

変化はありました。恋人と会えなくなったことで、セフレを作ったし、恋人も了承してくれて今までより開放的な関係になりました。セックスは楽しむものでもあるし、私にとっては趣味の一つなので、セフレを作りました。その分恋人と会ったときは、愛情がすごく増しました。大事な宝物って感じ。離れているからさらに関係を良く保つためにベストなアンサーを2人で探し続けることができたし、その過程で仲が深まりました。

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ーSTAY HOMEでストレスや鬱に苦しむ人が増えたように感じたけど、セックスをすることで自粛中に溜まったストレスを発散していたという気持ちはあった?

すごくありました。セックスは、体温の交換だし、自分自身を許して解放される瞬間だから普段抑圧されてる部分を剥き出しにすることができました。セックスしてなかったら、もっと鬱になってたと思います。セックスにより生のコミュニケーションが取れたから、布越しのコミュニケーションを我慢できるようになりました。一枚布を隔て、2メートルの距離を保つことでしか生きられなくなったこと。距離を保つことが正しいとされてるこの時代に、あえて身体に触れること。リスクを含めた触れ合いは、互いの覚悟や気持ちを読み取るのに不可欠だと思いました。セックスによるコミュニケーションを取ることは、自分のメンタルヘルスの安定に大切なものでした。

ーセックスをすることで心の繋がりや温かみを感じられると思う?セックスは孤独感と関係してるのかな?

セックスで心の繋がりは確かになると思います。セックスでしか繋がりを感じられないのは悲しいことだけど、お互いに恥部を見せ合って求め合い重なり合うことでより繋がりが強くなる。「一人きりではない」ということが明確に分かるコミュニケーション。孤独を払拭し、身体を重ね合うことで自分の輪郭が明確になるから、そういう意味でも孤独感とは凄く関係してるんじゃないかと思います。

ー逆に緊急事態宣言が終わり自粛が前よりはゆるくなってきている雰囲気の今は、どれくらいの頻度で、どこでセックスしてる?

2週間に一度、ホテルで恋人とセックスしてます。恋人と前よりも頻繁に会えるようになったので、自然とセフレは必要なくなりました。しかし、前よりはゆるくなったといっても、恋人の会社はコロナに対してかなり厳しめに対応しているので注意してます。距離的に離れてても、テレビ電話でセックスしたり、なるべく身体のコミュニケーションも取れるようにしています。

ーあなたにとってセックスとは?

セックスは性の肯定であり、生の肯定だと思う。生きることの温かみや身体の温もりを教えてくれ、自分の存在を明確化してくれるもの。自身の性とも向き合わせてくれる。快楽と共に、笑いながらお互いの恥部を見せ合い一つに溶け合う行為はとても美しいと思います。私にとってなくてはならないもの。とても大切なコミュニケーション。
セックスは私にとって「昨日の夕飯何食べた?」と同じレベル。昨日の夕飯が美味しかったよ、昨日のセックス素敵だったね。そんなふうに一つのテーブルの上で語り合えるもの。あなたはどんなセックスが好き?私はこんなセックスが好き。宗教も政治もセックスも同じ土俵だと思ってるんです。人間にとってなくてはならないものだから、健やかに、のびのびと語り合いたいです。

ツジアスカ

TwitterInstagramnoteInstagram交換日記「マスクの内側」

詩人・ライターとして活動中。SEX ZINE 2にて「デーティング」に関する文章掲載。「マスクの内側」と題した交換日記をInstagramで展開中。noteにて不定期連載。文章の依頼はInstagramのDMまで。

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Sara Hirayama

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ーコロナにおける外出自粛令が発表されたとき、セックスをする特定のパートナーはいた?(恋人、セフレ、なんでも!)

いわゆるコロナ破局の後は特定のパートナーはいなかったけど、新しく出会った人たちとはセックスしてた。

ー自粛中はどれくらいの頻度で、どこでセックスしてた?

月に1, 2回、相手の家で。

ー自粛で体の温もりを感じられずいつもに増して孤独を感じたという思いはやっぱりあった?

コロナ渦の真っ只中にほぼ毎日会っていた彼氏と別れたのでその直後は多少あった(自粛が理由ではないと思うけど)。普段からそこまで人肌が恋しくなるタイプではないのと、自粛中でも人と出会う機会があったので、コロナだからといって特に孤独感が増すことはなかったと思う。

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ーSTAY HOMEが宣言されてパートナーとの関係に変化はあった?(関係の変化でも、セックスの変化でも、なんでも!)

自粛によってお互いが自分と向き合う時間が増えたせいなのか、付き合っていた彼氏といろいろ話し合うきっかけになり、見事にコロナ破局(笑)。

ーSTAY HOMEでストレスや鬱に苦しむ人が増えたように感じたけど、セックスをすることで自粛中に溜まったストレスを発散していたという気持ちはあった?

そもそもセックスをストレス発散方法として捉えたことがない。自粛中はわりとアクティブにスケボーしてたからそこまでストレスは溜まらなかった(笑)。

ーセックスをすることで心の繋がりや温かみを感じられると思う?セックスは孤独感と関係してるのかな?

セックスによる心の繋がりは相手によって感じるときもあったりなかったり。
孤独感から生まれるセックスはそこまで気持ちいいものではないし、後悔することがほとんどになるんじゃないかな。

ー逆に緊急事態宣言が終わり自粛が前よりはゆるくなってきている雰囲気の今は、どれくらいの頻度で、どこでセックスしてる?

あまり自粛中と変わらない。月に1, 2回、相手の家だったりホテルだったり。

ーあなたにとってセックスとは?

信頼の延長戦にあるコミュニケーション方法の一つだと思う。初めて会う人でも、長い付き合いの人でも、自分が「信用できるぞ」と思える人とならカジュアルに楽しめるもの。また、セックスをすることによって相手がどんな人なのかをより深く知るチャンスにもなると思っている。

Sara Hirayama

TwitterInstagram

2000年生まれ。中学卒業後に単身で渡米、高校3年間をアメリカで過ごす。現在は、写真やコラージュなどの制作、東京を中心にスケボー浸けの日々を送る。

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セックスの捉え方は人それぞれ。人と繋がるうえで、セックスに重きを置く人もいればそうではない人もいる。そのなかでも3人に共通していたのは、セックスをコミュニケーションとして捉えようとしていたこと。若者のセックスは“タブーなこと”とされ語られることが少ないが、いつかこんなふうにみんながオープンに話せる社会になればいいなと思う。

《SEX》チームメンバー

Rino Nakashima
2000年生まれ。性教育プロデューサー。性で傷つく人を減らすため、性教育に関心を持ってもらうためのきっかけづくりを行う。
Instagram: @rinooooo0830

Hinako
ミレニアムガール。アラビア語を学ぶアーティスト。1年の半分は海外で過ごしているが、正真正銘純日本人。スイスとアメリカに在住歴あり。
Instagram: @hinako0611

Sara Hirayama
2000年生まれ。中学卒業後に単身で渡米、高校3年間をアメリカで過ごす。現在は、写真やコラージュなどの制作、東京を中心にスケボー浸けの日々を送る。
Instagram: @sarahhirayama

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