「幸せな家族」、と聞くとどんな家族が思い浮かぶだろうか?
「お父さん、お母さん、子どもたち & わんちゃん」?
でも今、一番幸せな家族はアメリカの、「お父さん、お父さん、子どもたち & わんちゃん」の家族なのだ。
スウェーデンのファッション、出版、アートなど様々な事業を行っているファッションハウスAcne Studios(アクネ ストゥディオズ)がファッションラインの新コレクションの顔として選んだのが2014年にインスタグラムで有名になった、ゲイカップルのコーデイル・ルイス&ケイレブ・アンソニーとその子どもたち。
クリエイティブディレクターであるジョニー・ヨハンソン氏はメンバー全員が家族のようなAcne Studiosのことを想い、「現代の家族の形」についてよく考えるようになったという。
そんなとき、出会ったのがコーデイルとケイレブのカップル。二人のアフリカ系アメリカ人のゲイカップルという既存の家族の形ではない家族が子育てをしている、そして彼らが誰よりも幸せそうなのが、コレクションのテーマにぴったりだと確信したそうだ。
家族全員がお揃いのボーダー服を来ているのはヨハンソン氏のこだわり。
家族全員にお揃いの、いわば制服みたいな服をきてもらうことで家族の形にはいろいろあっても、愛と子どもたちに最高の人生を与えたいという親の想いはみんな一緒で「普通」の家族なんてない、「すべての家族が普通だから」ということを伝えたいんだ。
ジョニー・ヨハンソン
「父、母、子ども」という家族構造がこれまで一般的だとされてきた。でもゲイカップルの両親、シングルマザー/ファーザー、友人同士などこれからはいろいろな家族の形を受け入れていくべきなのではないだろうか。
インスタに写真をあげるのは有名になりたいからじゃない。希望を与えるためだ。
今回「現代の家族の形」をテーマにしたコレクションの顔となったコーデイル&ケイレブとその子どもたち。彼らの存在が世に知れたのはインスタグラムがきっかけ。2014年にBuzzFeedの記事で彼らの日常の光景を写した写真が紹介され、瞬く間に100万アクセスを集めた。
二人の見た目が美しいことも要因ではあるだろうが、二人のアフリカ系アメリカ人のゲイカップルがこれまでメディアにほとんど露出していなかった事実も関係しているだろう。
「男らしさ」が特に文化的に重要とされているアフリカ系コミュニティのなかで、娘の髪をとかしたり、家族のために料理を作ったりする男性の姿は大きな意味を持つ。
「自分たちが有名になるために子どもを使っている」という批判を受けたこともあるという二人だが、インスタグラムに写真を載せるのには理由がある。同じようにアフリカ系コミュニティのなかのゲイコミュニティに希望を与えるためだ。
コーデイルはティーンエージャーのとき、アフリカ系アメリカ人でゲイであるという事実のせいで受けた不平等な扱いに耐えきれず自殺を試みたこともあった。今はケイレブに出会い、幸せに暮らしているが、いつも恵まれていたわけではなかった。だから、SNSを通して「普通の家族の形ではない家族」を発信するのは“自分のコミュニティへの義務”だと言う。
「普通じゃない家族の形」が「普通」になりつつあるのが現代。Acne Stuidosのようにファッションを使ってそのメッセージを広げる会社や、コーデイルとケイレブのようにSNSで発信している人もいる。私たちも従来の考えは投げ捨て、すべての家族の形を暖かく見守るような社会作りに向かって進んでいくべきだ。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。