「無条件で子どもを愛してあげて」。10歳のドラッグクイーンと母に学ぶ“自分らしく生きることの大事さ”

Text: Noemi Minami

2017.11.24

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弱冠10歳にして、ニューヨークのセクシュアルマイノリティのためのプライド・パレードの常連であり、スターでもある、Desmond(デズモンド)。

2015年のパレードで独特のファッションを身にまとい優雅に踊りながらマーチする姿を参加者が録画し、インターネットにアップしたことがきっかけで一躍有名になった。

欧米のメディアはデズモンドを「10歳のドラッグクイーン」と褒め称える。(ちなみに本人は「クイーン」は大人みたいだから「ドラッグキッド」と呼ばれるのが好きなそう)

今回Be inspired!はそんなデズモンドと、デズモンドを全面的にサポートをしているお母さんに「自分らしくいることの大切さ」について話を聞いた。

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Shot for Hardy Magazine, Joey Gray, Editor
Photographer: Jackson Brady
Custom Couture: Machine Dazzle

デズモンド

ーどうしてプライド・パレードに行くのが好きなの?

自分らしくいられて、まわりの人もみんなそんな感じなのが好き。自分が好きなものをなんでも着れて、自己表現できる。みんながLGBTQコミュニティをサポートできるチャンスでもある。それに自分らしくマーチすれば、自分らしくいる勇気がない人や、好きな服を着れない人に勇気を与えらえるかもしれないでしょ。

ーLGBTQの人に対していじわるな人もいるよね。自分のセクシュアリティにオープンでいることでこわいと感じたことはある?

自分のセクシュアリティについて学校で話すのは好きじゃない。めんどくさいかも。でも、こわいと思ったことはないし、これからも思うことはないと思う。みんな嫌い合うんじゃなくて愛し合うことを学ぶべき。

ーLGBTQの人に対していじわるな人に言いたいことはある?

なんにもないよ。注目をするのにも値しない存在。自分のことを好きな人と、友達にしか自分のエネルギーは使わない。ポジティブでいたいからね。

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Photography by Danielle Levitt
Fashion by Kathryn Paldos
Producer: Stephanie Porto
Hair: Amy Farid
Make up: Mark Edio
Set design: Lauren Nikrooz

ー自分らしくいることが難しくてできない人にアドバイスはある?

そんなに悩まなくてもいいんだよ、誰も一人じゃないから。自分と似たような人が世界にはたくさんいる。手を伸ばせば、友達もできるしサポートももらえるよ。LGBTQの人を守ってくれる団体もあるしね。自分らしくいないと、寂しくて落ち込んじゃうよ。

もし誰かが…もしかしたら親が君に自分らしくいちゃいけないって言ってくるんだったら、気にしすぎたらだめ。絶対にいつか、自由に自分らしくいられて、好きな服が着れる日がくるから。君のまわりの世界は常に変わっていくんだよ。明日何が起こるかなんて誰にもわからないでしょ。明るい未来だけに集中して。君に何かをしちゃだめって言ってくる人は一生君ほど勇気があって、美しくて、素晴らしい人間にはなれない。他人に何を言われてもそれはその人の意見にしかすぎないから。覚えててね、大切なのは君の意見なんだよ。

もし自分らしくいることがこわいなら、君のことを止めているのはそのこわいという気持ちなだけであって、それを乗り越える力が君にはあると自分に言い聞かせてあげて。自分らしくいれば自信と愛が生まれるよ。

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Photography by Danielle Levitt
Fashion by Kathryn Paldos
Producer: Stephanie Porto
Hair: Amy Farid
Make up: Mark Edio
Set design: Lauren Nikrooz

デズモンドのお母さん

ーデズモンドを全面的にサポートしているよね。保守的な人からしたら、親がLGBTQでいることを応援すると、子どもたちが「ストレートであるべきではない」ということを助長しているって思われるかもしれない。(この考え方はナンセンスだけど、差別的意識がある人がよく言うことだよね)そういう意見を持っている人たちに言いたいことはある?

そういう親には何を言っても意味がないと思う。親や子どもにいじわるなことを言ったり、脅したりするような人は、本人たちが惨めな人生を送っていて、他人に惨めな思いをさせるのを楽しんでいるだけだから。まるで彼らは、「嫌な気持ち」に中毒しているみたい。愛や受け入れる心、オープンマインドのメッセージをの方がよっぽど力があると思う。もし私が自分の子どもにとってベストなことをしてあげてるって感じれていて、子どもが目標のために頑張れているなら、誰になんと言われようと私の意志は変わらない。

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ーLGBTQの人の両親で、受け入れるのに時間がかかっている人たちにアドバイスはある?

子どもの声を聞いてあげて。小さい頃は、子どもって好きなようにものを言うでしょ。何が好きか、何が欲しいのか、何が食べたいのか、 何色が好きなのか、お部屋はどんな風にしたいのかとかね。もしあなたの息子がドレスを着て自己表現したいなら、許してあげて。子どもは小さい頃いろいろな実験をしながら育つんだから、自然なこと。もしあなたに抵抗があるなら、せめてお家の中だけでもそうさせてあげて。だってそれでマイナスなことある?あなたが恥ずかしいと思っても、乗り越えるべき。大切なのはあなたの子どもが幸せかどうかだから。条件なしで愛していると、子どもに見せてあげて。もし子どもが自分らしくいることに対して罰を与えれば、子どもたちの深い傷となる。簡単に忘れられることではない。

それに、不適切だったり他人を傷つけているわけではなかったりするのであれば、子どもがやりたいことは全部応援するべきだと思う。デズモンドがもっと小さかった頃、いつもタオルを体に巻いてドレスを作るのが好きだった。シャツを頭に巻いてカツラごっこなんかもしてた。自転車を教えたり、スポーツもさせようとしたけどデズモンドは大っ嫌いだったみたい。結局いつもドレスを作ったり、ダンスをすることを選んだわ。だから好きなようにさせることにしたの。一時的な興味かもしれないし、そうじゃないかもしれない。それがデズモンドの好きなことで、楽しんでいることだったの。最初は少し抵抗が私にもあったけど、少しずつ大丈夫になっていった。時間と共にどんどん楽になっていったよ。

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性的マイノリティに対する根深い差別意識はまだまだ世界中に存在する。デズモンドたちが住んでいるアメリカよりも日本の方がさらに自分の性に対してオープンになることは難しいかもしれない。しかし、10歳の小さなドラッグクイーンのまっすぐな言葉とお母さんの言葉に真実があるとは思わないだろうか。

「自分らしくいること」、それは全ての人に与えられるべき権利なのだ。

Desmond is Amazing

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※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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