これまであなたの人生にアートはどんな影響を与えてきただろうか?映画、音楽、写真、絵…アートは様々な形で存在し、私たちの日常を豊かにしてくれる。あるいは、人生を変えてくることだってあるだろう。
Be inspired!では環境や人権、貧困などあらゆる「社会問題」を独自の形で表現、発信するアーティストに焦点を当てた新連載『GOOD ART GALLERY』で、まだ日本ではあまり取り上げられていない国内外の社会派アーティストを紹介していきたい。アートだからこそ、ときには美しく、ときには面白おかしく、そしてときにはショッキングに人の心に届くものがある。
壁への落書きでアートを覚えた少年が、世界を旅するアーティストに
第1回目の今回紹介するのは、LAを拠点に世界を旅して、地元の文化やアートに影響を受けながら作品を作り続けているアーティスト、Corban Lundborg(コーバン・ランドボーグ)。
彼は子どもの頃に壁にスプレーで落書きすることからアートを始め、空軍に所属していたときに派遣されて韓国に行ったことから世界を旅するようになったという。最近では、アフリカを旅しているなかで気づいたプラスチックゴミの問題から、プラスチックゴミに苦しめられている動物たちを描いた、環境問題を啓発する作品「BAGGED」(袋詰め)を制作した。
ーあなたは誰?
コーバン・ランドボーグ。カリフォルニア州のロサンゼルスを拠点にしてるアーティスト。
ーどんなアートを作っているの?
いろんな素材を使って作ってるけど、アクリル絵の具を使って描くのが1番好き。いくつかのプロジェクトを同時に進めてることも多い。作ってるなかで1番知られてるプロジェクトは、ストリートカルチャーにインスパイアされた、抽象的だけど現実的な女性のポートレートのシリーズで、2年以上取り組んでる。
ーどうしてアートを始めたの?
子どもの頃からグラフィティを描いてて(壁に落書きしてて)、18歳のときに行った韓国でタトゥーを学んだ。そのあと、絵を描いたり旅したりするためにタトゥーするのはやめた。
ーアートを通してどんなことを世界に伝えたい?
メインでやってるアート以外にも、プロジェクトをいくつかやってる。環境問題がきっかけとなったものもあれば、政治的な動機で作ったものもあるし、世界にただ素晴らしいものを見せたくて作ったものもある。常に情熱と目的を持って周りの人をインスパイアしたいと思ってるんだ。
ー作品「BAGGED」(袋詰め)を作ろうと思ったきっかけは?
「BAGGED」の絵のシリーズを描き始めたのは、アフリカを旅して戻ってきてから。アフリカの多くの国で街中でも自然溢れるところでもプラスチックゴミが散乱しているのを見て、落ち着かなかった。世界が協力して、地球全体が健やかになって欲しいと思ってる。
ー社会のなかのアートの役割ってなんだと思う?
短い答えだけど、アートは人に何かを教えたり、考えを具体化したりできるプラットホームだと思う。
ーアーティストになっていなかったら何をしていたと思う?
お金を稼ぐ手段を見つけて、冒険してると思う。
ー同世代の子に今一番伝えたいことは?
とにかく外に出て、でも借金はしないで、自分のまわりの人を愛して。
ーあなたの人生のモットーは?
旧約聖書の『伝道の書』(『コヘレトの言葉』とも呼ばれる)*1。
ー各地を旅してるみたいだけど、日本に来ることはあると思う?
日本にまた戻りたいと思ってる。今までに2回も訪れてて、行ったのは東京と沖縄。
(*1)人生における虚無感などが描かれている
さてアーティストになれるのはどんな人だろうか?それは学校で美術を専攻した人だけではもちろんない。名が知られているアーティストには、有名な芸大の出身の者がいれば、独学で学んだ者や、誰からも学ばず生まれ持った才能を発揮している者もいる。そんな才能で「仕事中の暇つぶし」で描いていた落書きを本業にした者もいるそうだ。
つまり彼らの経歴なんてさまざまだ。だからこそ、アーティストに人生のストーリーや心の内を聞いてみると、予想もしなかった答えやエピソードを知ることができるかもしれない。
コーバンの場合は、日本では特に好意的に見られていないストリートアートでアートを始め、空軍で韓国に行ったことが旅するきっかけとなったように。彼の人生のストーリーには、あなたの心に響いたものがあっただろうか。
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※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。