「日本は先進国のなかで唯一HIV感染も含むSTD(性病・性感染症)総感染者数が上昇傾向にある」と聞いて、驚く人も多いのではないだろうか?
その主な原因は、コンドームの使用意識の薄れにあるといわれている。(参照元:北陸先端科学技術大学院大学)「ピルを飲めばコンドームをしなくても大丈夫」、そう勘違いしてしまう人も多いなかで「避妊」だけがコンドームを使用すべき理由ではない。日本においてこれらは「医療機器」に分類されており、「STD感染防止」のために役立っているのである。
あなたは、買い物するときどんな基準で商品を選んでいるだろうか。もしあなたの気に入っている商品を販売する企業が、不正を働いたり環境に悪影響を及ぼす事業に資金提供したりしていたらどうするだろう。
企業や商品作りにおける考え方に賛同できない場合、その企業やブランドの商品を「ボイコット(不買運動)」するという方法がある。これは買い物が「投票」に例えられるように、消費者の力で信頼や賛同のできない企業の商品にお金を出すのをやめ(票を入れるのをやめ)、企業の経営を成り立たなくさせ社会をより良くする(より良い企業に投票する)というもの。
そこであなたがボイコットしたいとき、またはボイコットとは関係なく単純に人や環境に良い商品が欲しいときに、参考となる商品カタログをBe inspired!が作成することを決意。その名も「GOOD GOODS CATALOG(グッド グッズ カタログ)」。
今回Bi読者にオススメしたいのは、オーガニック・フェアトレードコンドームを販売するセクシャルヘルスケアブランド「Sustain」(サステイン)。
このコンドームを作ったのは、女性起業家であるMeika Hollender(ミカ・ホランダー)。父親には、公益のために存在する会社に与えられる認証「B Corporation」も取得した、エコな洗剤やおむつで有名なアメリカの衛生用品ブランド「Seventh Generation」(セブンス・ジェネレーション)の共同代表者であるジェフリー氏を持つ。そんな彼女は、化学物質不使用が当たり前の環境で育ち、自然派ブランドの先駆けとなるブランドを作った父のマインドを引き継いでいるのだ。
彼女が日頃より疑問を感じていたのは、女性の声が反映されたセクシャルヘルスケア用品の少なさだった。アメリカのコンドーム購買者の約4割は女性。潤滑剤における割合に関していうともっと高い。業界においてこれらは周知の事実なのにもかかわらず、コンドームのデザインは男性向けのものが圧倒的に多い。
さらにアメリカでは、リプロダクティブ・ヘルスケア(=性と生食に関する健康・権利)にアクセスできていない女性が、アメリカ人口の15%にあたるおよそ2,000万人を超える。こういった理由から、ミカは28歳で起業、父とともに3億円の資金を調達して、“男性向け”に作られた従来のコンドームには入っていないような原材料やデザインのセクシャルヘルスケア用品を開発した。
サステインのコンドームは、発がん性があるとされている「ニトロソアミン」や「パラベン」、「グルテン」フリーで作られており、NON GMO(非遺伝子組み換え)の素材を使用している。またパッケージに関しても、持続可能性に配慮した森林の管理をしていることを認証する「FSC認定」、安全性や製品適格性を認める「FDA認証」も取得しているといったこだわり商品だ。10枚入り(約1,360円)、40枚入り(約5,700円)、144枚入り(16,400円)があり、定期購買もできる。
こちらはサステインの潤滑油。原材料には主にオーガニックアロエベラを使用し、肌に優しい。発がん性や体調不良の原因として疑われている「石油」「シリコン」「パラベン」「グリセリン」「グルテン」すべてフリー。感染症への感染や肌のトラブルにもかかわるphバランス(水素イオン濃度指数)にも考慮し、もっとも一般的な膣感染症である細菌性膣炎の心配も軽減する。市販の潤滑油には、動物性のものが使用されている場合もあるが、サステインの潤滑油であればビーガンの人も安心だ。1個(約1,480円)と定期購入(月額15%OFF)で販売している。
また、サステインが取り組んでいるのは製品の成分面にこだわることだけではない。税金を含めた利益の10%は、米国の低所得女性のリプロダクティブ・ヘルスや家族計画をサポートする団体への寄付に。創立から2年経った現在、これらの商品は、自然食品を扱う大手スーパーマーケットのホールフーズ200店、ターゲット200店を含めた全米4,000店で販売されており、今後は8,000店舗での取り扱いを目指すのだという。
日本には性をオープンに語ることに対するタブーがあり、コンドームは「避妊するもの」「性を楽しむ際の道具」という、ネガティブなイメージが定着している。それだからか話題にも上がりにくいうえに、こういった性にまつわる商品を意識をする人も少ない。だから製品の安全性や健康面への配慮を議論しにくいのではないか。
また、性に対しオープンなイメージのある欧米でも、イタリアなどのカトリック文化が根幹を成しており、ローマ教会が神意に反するという理由から(カトリックでは避妊は宗教的な罪としている)コンドームの使用が罪とされた。以来、コンドームを避妊のためではなく、感染症予防のためであると広めなければカトリック教徒に使用してもらえないことから、医療機器として発達し、イメージが定着してきた。
しかし前述したように、実際のところコンドームは感染症を防ぐための「医療機器」なのだ。サステインでも、「出生コントロールは基本的な健康管理」としている。
だから、健康のために使用するという健全かつポジティブな理由で、性別に関係なく手に取りやすいセクシュアルヘルスケア用品が、日本でもっと増えてもいいのではないだろうか?
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。