胸には“SEX”と小さくプリント。健全な性教育を受ける権利を追求する「いやらしいTシャツ屋」とは|GOOD WARDROBE #007

Text: Shiori Kirigaya

Photography: ©Badass Prints

2018.1.19

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「いつも興奮してるの」「クリトリスを触って」「淫ら」「強気でかっこいい」「オーガズムに達したふりをしないで」なんて書かれたTシャツのセレクション。とあるブランドが、そんな思わずドキッとしてしまうような文句を多用するのには、明確な目的があったのだという。

「服をただ着るのではなく、マニフェスト(宣言)として着よう」というモットーを持つBe inspired!の編集部がセレクトしたブランドの詰まった「人や環境、社会に優しく主張のあるWARDROBE(衣装箪笥)」を作り上げる連載『GOOD WARDROBE』。今回紹介するのは、スペイン・バルセロナ発のセックス・ポジティブを謳うブランド「Badass Prints(バッドアス・プリンツ)」。同ブランドの創始者であるカーラさんに話を聞いた。

Photo by 撮影者
「オーガズムに達したふりをしないで」

ーBadass Prints*1の商品の特徴は?

ブランドではジェンダー、セクシュアリティ、そしてアイデンティティに関する問題を扱ってる。ウェブサイトに載せてる商品は全部コットン100%で作ってて、デザインはスクリーンプリントで施してる。それから小規模で生産しているよ。

私たちのブランドの哲学は以下。

私たちはセクシュアリティについて話すことをタブーではなくし、予防だけではなく快楽にも焦点を当てる健康的な性教育を受けられる権利があると信じています。

私たちはまた、ジェンダー・アイデンティティ、性的指向、人種、社会階層、経済的地位を問わない包括的なフェミニズムを信じています。

私たちのゴールは、これらのメッセージを商品を通して楽しくてカジュアルなトーンで広めることです。

(*1)Badassは「強気でかっこいい」というような意味のスラング

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「セックス」

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「淫ら」

ーどうしてBadass Printsを始めようと思った?

えっと、最初はただ遊びで作っていたの。私には暇な時間があったから何か新しいプロジェクトを始めたいと思っていて、そのとき特に興味を持っていたセックス・ポジティブなフェミニズムとそのほかのBadass Printsを特徴づけるコンセプト、そしてスクリーンプリントの技術を混ぜてなにかできないかと考えた。それまでの5年くらいは、手でプリントする方法でいろいろなコンセプトや素材を試してきたから。

初めはバルセロナのデザインマーケットに商品をいくつか持って行ってみたんだけど、人の反応がよかったからもっと作ってみようというモチベーションになったの。それで少しずつ友だちが商品を身につけた写真を撮ったり、プリントした商品を増やしたりして、ウェブサイトを作ることにした。ウェブサイトを始動させたときには、雑誌やインフルエンサーなどのインターネット上で知り合ったいろんな人に助けてもらえたし、友だちや家族にも支えてもらったからプロジェクトを続けられたんだと思う。

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「クリトリスを触って」

ー身につけるものはどうやって選ぶべきだと思う?

私は、何を着るかは人のアイデンティティを表現するものだと思っていて、それで自分を表現するのはすごく大切なことだと思ってる。それはメッセージが書かれているTシャツを着ることでも、特定の素材でできている服を着ることでも表現できるから。素材だってポリエステル製のものとオーガニックコットン製のものとでは違うし。

それから、どんなものを買うかに注意を払わなきゃいけないと思う。ファストファッションをサポートしちゃだめだし。ファッションは自分のアイデンティティを表現するものだっていうとき、ただ有名なものとかトレンドのものを買うっていう選択はないと思う。私はInditex*2のような大きなブランドのものは極力買わないようにしていて、ヴィンテージの服が好きだから、買えるときにはそういうのを選んでる。

(*2)ファストファッションブランドZARAを傘下に持つ企業

ーBadass Printsの商品は日本でも買える?

Badass Printsの商品はウェブサイトで閲覧できるし、購入できます。世界へ発送できるようになっていて、すでに日本から買ってくれた人もいるよ!

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「いつも興奮してるの」

彼女たちのブランドの商品を目にしたとき、「なんて卑猥なブランドなの」という印象を受ける人もいるかもしれない。だが、そう突き放さずにBadass Printsが目指しているものに目を向けてほしい。「女性はセックスに対してポジティブでいるべきではない」といわれることがあるが、それはどうしてなのか。そこにあるジェンダー規範の問題にも、同ブランドは改めて焦点を当てているのだ。

Badass Prints

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※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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