フェアトレード、ダイレクトトレード、オーガニック、ベジタリアン、ビーガン、ゼロウェイスト、昆虫食、未来食…。東京の街に日々増えていく、お腹をただ満たすだけではない「思想の詰まった飲食店」。
「海外からビーガンの友達が日本に来ていて、ビーガンメニューのあるレストランを知りたい」、「サードウェーブの先を行くコーヒーが飲みたい」、「フードロスがないレストランに行きたい」、「無農薬野菜が食べたい」、「友達や恋人と健康にいい食事をしたい」などなど。そんなニーズに答える連載です。
「食べることはお腹を満たすだけじゃない。思想も一緒にいただきます」。その名も『TOKYO GOOD FOOD』。フーディーなBe inspired!編集部が東京で出会える、社会に、環境に、健康に、あなたに、兎に角「GOODなFOOD」をウィークリーでお届けします！
それでは第9回目の『TOKYO GOOD FOOD』行ってみましょう！
WHERE IN TOKYO
今回は、2013年に外苑前にオープンした世界の朝ごはんが食べられる「WORLD BREAKFAST ALLDAY（ワールド・ブレックファスト・オールデイ）」。「ただおいしい朝ごはんが食べられるお店ではないんです」と語る代表の木村さんにお店のオススメの料理やコンセプトを伺いました。
WHAT’S GOOD
ーお店で一番オススメの品はなんですか？
イギリスの朝ごはん（フル・ブレックファスト）です。
Photo by WORLD BREAKFAST ALLDAY
イギリスの小説家サマセット・モームが「イギリスで美味しい食事がしたければ、1日に3回朝ごはんを食べればいい」という言葉を残したほど美味しくて充実した朝ごはんです。もとは貴族が食べていた朝ごはんでしたが、産業革命の頃に1日を通して忙しく働かなければいけなかった労働者向けの朝ごはんとして一般に定着しました。当時の衛生状態が良くなかったため、トマトを含めて全ての食材に火を通すことが伝統的に残っています。イギリスに限らず、朝ごはんからその国の食文化や歴史を垣間見ることができると思っています。
CONCEPT & PHILOSOPHY
ーお店のテーマやコンセプトを教えてもらえますか？
コンセプトは「朝ごはんを通して世界を知る」です。
実は「朝ごはんを出したい」というより、お客さんに朝ごはんを通して、様々な国に興味を持ち、楽しんでもらいながら他国を知ってもらいたいと思い、このお店を始めました。
食べ物は味や、匂いも楽しめます。ここにもしメキシコの情報が書かれていても、それはただの情報になってしまう。でも、メキシコの朝ごはんだと「おいしいね」とか「辛いね」とか、コミュニケーションを取りながら、味覚、嗅覚、視覚など五感を使ってその国を体験できます。その体験をきっかけに、メキシコに興味をもってもらい、もっとメキシコを知ってもらえたら嬉しいですね。
Photo by WORLD BREAKFAST ALLDAY
ーお店ができた経緯を教えてもらえますか？
この店をつくった経緯は、もともとゲストハウスをやっていたからです。その時に、アメリカ、フランスのような大きな国からだけではなく、マダガスカルなどの小さな国からも宿泊客が泊まりに来てくれていました。国の大小関係なく、住んだことのない国のことについてあまり知らないことは多いです。でも、自分の国のことを誰かに教えようとするとき、自分にとっては当たり前で、何が他国と違うことなのかわからないから、何から話していいかわからないこともあります。
外国人だからってコミュニケーション能力が高いわけではないし、初対面の人と話すのが苦手な人もいます。でも、知らない国の人が僕のゲストハウスに来てくれてるから、いろんな国のことを知りたいなと思っていました。そんな時に、たまたま食事の話になり、その国で食べているものの話は料理人じゃなくても話がはずむことがわかりました。聞いている方も「そんなもの食てるんだ〜」と新しい発見があって楽しいし、その国らしさが伝わってきます。食を通したコミュニケーションは誰とでもできて面白いと思いました。
さらに、朝ごはんの紹介をしてくれた人がいました。朝ごはんって、毎日同じものを食べるものだから素朴だけど、その国の文化が凝縮されているように思います。そこにも面白さを感じ、いろんな国のお客さんと朝ごはんの話をしてストックしていくようになりました。
その僕が感じた面白さをお店に詰め込んで、実際にそのメニューを再現して食べてもらったら、その国について知ってもらえるのかなって思ったんです。ただ美味しいものを出すっていう普通の飲食店とは全く違うスタンスだけど、今の世の中には受け入れてもらえるかなと思ったんです。
CHANGE SOCIETY
ーWORLD BREAKFAST ALLDAYを通してどのように人々の意識を変えたいですか？また、社会や地球に貢献していますか？
“社会を変える”とかそんな大きいなことはできていないです。
WORLD BREAKFAST ALLDAYは、ただの朝ごはんを出すのではなく、朝ごはんの背後にある国の特性や自分が面白いと思っていることに共感してもらうための空間なんです。だから、ただの飲食店とはスタンスが違います。
現代社会に何ができるか細かく計算してお店をやっているわけではないけれど、グローバル化が進む世の中で、いろんな国の人と接する機会も増えるでしょう。そんななか、いろんな国の価値観に共感したり、知ることが重要になってくるから、WORLD BREAKFAST ALLDAYで朝ごはんを食べることで、異文化を理解するきっかけになればいいなと思っています。
あなたは海外の人に日本の朝ごはんについて聞かれたら、うまく語れるだろうか？日本の朝ごはんを知ることで、世界の朝ごはんとのコントラストが見えてくる。そんな朝ごはんの楽しみ方もあるのかもしれない。
朝、起きたらお腹が空いている。だから、朝ごはんを食べるのではなく、たまには自分の知らない国を知るために朝ごはんを食べるのもいいかもしれない。そんな「ただの飲食店とはスタンスが違う」WORLD BREAKFAST ALLDAYの朝ごはんを食べに、次の休みの日や、近くに行った際に行ってみてはどうだろうか。
来週の『TOKYO GOOD FOOD』もお楽しみに！
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。
