女性が道端を1人で歩いていると、知らない男性にしつこく声をかけられたり、集団に遠くから大声でからかわれたりした経験が1度はあるのではないだろうか。
英語圏ではこの道端の性的ヤジ、すなわちストリート・ハラスメントを演劇のブーイングの名称からとって「キャット・コーリング」と呼ぶ。
「危険」というほどでもないから今まで流してきたけれど、不愉快な体験をしたことのある女性は日本にもたくさんいるのではないだろうか?
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これは「NYCの街を女性が1人で歩く時のリアリティ」を隠しカメラで撮影したものだ。街を歩きつづけたところ、ビデオの中の女性はなんと10時間で100以上のヤジを飛ばされた。ウィンクや、口笛は含まれていない数でこれだ。
世界中には、このなんとなく流しがちだけれども不愉快な「キャット・コーリング」と、様々な形で戦おうとしている人たちがいる。
私のTシャツ見ればわかるでしょ?
まずは、キャット・コーリングにファッションで立ち向かうブランドを紹介したい。アメリカ、フィラデルフィアを拠点にフェミニストなメッセージを、服を通して発信するブランドが存在する。その名もフェミニスト・アパレル。
“お前に微笑めと言われる筋合いはない”
“キャット・コーリングにはキャットたちと立ち向かおう”
ゆるくて可愛いデザインだが、そのメッセージは切実だ。実際問題、この服を着ることでハラスメントが止むかどうかはわからないが、周りの人へのアウェアネス向上をキュートにポジティブにできるではないだろうか。
道端でヤジってきたやつにはピンを立てます。
「こいつは1キロいくらだ!?」
「君のためなら死ねるよ、おデブちゃん」
「この美味しそうなサンドイッチ見てみろよ」
これは中東、レバノンで女性が日常的にうけるストリート・ハラスメントの一例だ。レバノンに逃げ込んだシリアからの難民女性はその社会的地位から、更にひどい扱いをうけるそう。
そこで立ち上がったのが、3人の女性。彼女たちはHarrass Trackerというアプリを開発した。女性がキャット・コーリングをされたら、この地図ベースのアプリにピンを落とし、体験をシェアする。そうすることによって、視覚的に、キャット・コーリングがどれだけ日常に当たり前のように存在するかを明らかにする。
もはやイギリスでは違法です。
2016年、7月。イギリス、ノッティンガムシャー州が英国で初めてキャット・コーリングを犯罪とみなすと各メディアで報道された。
ノッティンガムシャー州はキャット・コーリングを「人種差別」や「セクシュアル・マイノリティー」に対する差別と同じように、女性に対する「ヘイトクライム」と深刻に位置づけ、厳しく規制していくようだ。
「女性にウィンクをするのが犯罪」というのは過激すぎはしないかと反対意見も出ているが、女性が安心して道を歩けるような環境づくりのため努力を警察は惜しまないそうだ。(参照元:BBC)
痴漢大国、日本
日本に住むわたしたちにとってこれは全く他人事ではない。特に都市の満員電車での痴漢は悪名高い。
警察署の痴漢に対する調査は2011年の「電車内の痴漢撲滅に向けた取組みに関する報告書」が最後なため、公式なデータは限られている。それでもその年の報告によると、16歳以上の女性2,221人に対して行った調査で、痴漢の被害にあった女性の27%しか犯人に対してなんらかの行動を起こしていないことが分かった。73%の女性は、我慢するか逃げるという選択肢を選んだそうだ。
同時に、調査対象の女性のうち42.6%の人が日々痴漢されるのではないかという不安を覚えながら暮らしている。
これは日本に限らないが、キャットコーリングや痴漢など、なんとなく女性側が公にするのは「恥ずかしい」と社会に思わされてしまっているのがストリートハラスメントが終わらない原因のひとつなのかもしれない。
世界中のアクションを起こしている人から勇気をもらい、自分自身、そして他の女性のためにも、今後不愉快な思いをした時は、安全な限りは一歩止まってみてはどうだろうか。結局女性軽視が根底にあるのであれば、一言だけの反抗でも相手には強いメッセージとなるかもしれない。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。