2014年からイスラム過激派組織ISISの支配下にあったイラクの北部に位置する都市モースルの東側が、2017年1月に解放された。アメリカ軍の助けを受け、イラク軍がISISと何週間にも渡り多くの犠牲者を出しながら戦闘した結果だ。いまだに人口が集中している西側は奪還できていないという。(参照元:The New York Times)
アルカイダとISISを専門とするThe New York Timesの特派員Rukmini Callimachi。彼女は解放された部分のモースルの街で、現地のある男性がISISからの「暴力の言葉」を「愛の言葉」に塗り替えるという心温まる光景を目にし、ツイッターでシェアしてくれた。
1. All over liberated areas of Mosul, 1 of the 1st things people are doing is painting over ISIS graffiti. Some are being artistic about it: pic.twitter.com/Rkmj9rZf4Z
— Rukmini Callimachi (@rcallimachi) 2017年4月15日
1.モースルの解放された地域で人々が最初に行ったのは、ISISのグラフィティを消す事。ものによってはとても芸術的。
2. Today I noticed this man across the street, carefully stenciling a message on this freshly painted wall. So we stopped to talk to him: pic.twitter.com/K4HLVGQzXx
— Rukmini Callimachi (@rcallimachi) 2017年4月15日
2.今日ある男性の存在に気がついた。ペイントされたばっかりの壁に大事そうに文字を書いていたので話を聞いてみた。
3. His name is Sadoun Dhanoun, 39. He's been hired by a senior citizen group to paint over ISIS' graffiti preaching hate. He chose magenta: pic.twitter.com/e46DVlO7e1
— Rukmini Callimachi (@rcallimachi) 2017年4月15日
3.彼の名前はSadoun Dhanoun。39歳。地元のおじいちゃんやおばあちゃんに雇われて、ISISの憎悪のこもったグラフィティの上に何か描くように頼まれた。色は明るく鮮やかな赤紫。
4. This wall here used to be painted with a verse from scripture calling for violence against the kuffar, or infidel. Sadoun painted over it pic.twitter.com/vQKyTCFcJd
— Rukmini Callimachi (@rcallimachi) 2017年4月15日
4.もともとこの壁には非ムスリムやISISと異なる宗派の人々への暴力を煽るような聖典の一文が綴られていた。Shadounはそこに書き直した。
5. What I love is he didn't stop there. He went to an Internet cafe and Googled حكم ومقولات or "Wise sayings." Here's what he wrote down: pic.twitter.com/zJWagRKW1k
— Rukmini Callimachi (@rcallimachi) 2017年4月15日
5.素敵なのは、ただ塗りつぶしただけじゃないこと。彼はインターネットカフェで「حكم ومقولات (知性あることわざ)」を調べた。こんな感じで。
6. The one he chose for this wall says, "In life, be like a cube of sugar, so that when you are gone you leave a sweet taste." pic.twitter.com/MJIOVLSp9B
— Rukmini Callimachi (@rcallimachi) 2017年4月15日
6.その中の一つは、「人生では砂糖のようにあれ。あなたがいなくなった後には甘い後味が残るように」
7. He said he found that evocative "because ISIS left everyone with a bad taste in their mouth."
— Rukmini Callimachi (@rcallimachi) 2017年4月15日
7.彼はこのことわざを選んだ理由として「ISISがすべての人に苦い思いをさせたから」と言った。
8. He's painting at least 7 walls in this northern suburb of Mosul with donations amounting to less than $200. So there's a lot more: pic.twitter.com/iVOt1o59ny
— Rukmini Callimachi (@rcallimachi) 2017年4月15日
8.彼は2万円ちょっとの募金だけでモースルの北の郊外の7つの壁を少なくとも塗り直した。だからもっとできるに違いない。
9. He says he's almost done with this wall and he proudly posed with the quotes & his freshly painted sign. Next he plans to paint flowers pic.twitter.com/3BBHPdkNMj
— Rukmini Callimachi (@rcallimachi) 2017年4月15日
9.この壁はほとんど終わったと彼は言う。自信満々に、書いたことわざと綺麗に塗り直した壁の前でポーズしてる。次はお花を描くそう。
10. His aim is to bring back beauty. It'll be so pretty when he's done, he said, maybe drivers will be distracted. I know it made me stop pic.twitter.com/LGnszG061c
— Rukmini Callimachi (@rcallimachi) 2017年4月15日
10.彼の目標はこの街に美しさを取り戻す事。彼の仕事が全部終われば、車を運転している人々の気が散るぐらい綺麗だろうと言った。すでに私は思わず止まちゃったわ。
ISISがこの街と住民に与えた爪痕は深い。ISISの支配の元、住民は監視され、女性は身体をすべて隠すように命令され、何か少しでも彼らが作った法律に触れれば罰や拷問を受ける恐怖の中暮らしていた。食料や日常品へのアクセスも難しく、人間が人間らしく生きることは難しい状態が3年以上も続いたのだ。(参照元:BBC)そのような暮らしが人々の心にどのように影を落とすのか、想像を絶する。
しかし、Shadounと住民はそんな傷を怒りではなく、愛で癒そうとしている。計り知れない苦しみを平和で塗り直そうとしているのだ。
少しでもはやくモースル全体が、そしてISISの支配下にあるすべての人々が解放されることを祈る。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。