チェ・ゲバラといえば、“Tシャツにプリントされた革命家”というイメージだろうか。そんな「革命家」としての姿に焦点が当てられることが多い彼にも、知られざる一面があったことがわかっている。それは「写真家」としての姿だ。
東京・恵比寿で開催されている写真展「写真家チェ・ゲバラが見た世界」は、そんな彼が撮影した緊張感の漂う集会風景から、南米旅行で見た遺跡や出会った先住民たち、日本に来た際に訪れた原爆ドーム、家族のポートレート、セルフタイマーを使って撮った“自撮り写真”まで、彼の私生活や視点を垣間見られる貴重な機会となる。また、キュレーターとして参加している若手人気写真家の嶌村吉祥丸氏が撮影した現在のキューバの写真も見られるという。
ところでチェ・ゲバラ(以下チェ)は一体何をした人物だろうか。彼は1928年にアルゼンチンで生まれ、大学で医学を学び医師免許を取得し、その後フィデロ・カストロともに中南米をアメリカから解放すべく尽力し、キューバ革命を実現した人物の1人だ。1967年にボリビアで処刑されて没後50年が経った現在でも、反米的な思想を持つ人やそうでない人にも「英雄」として高い人気を誇っている。
チェの実の息子カミーロ・ゲバラ・マルチ氏(以下カミーロ氏)の全面的な協力により実現した同写真展。展示されているチェ本人が撮影した写真約240点は、ハバナ(キューバ)のチェ・ゲバラ研究所に保管されていたもので、日本で公開されるのは今回が初めてだ。
キューバに平和と平等をもたらすために戦った彼が何を見つめ、何を夢見たのか。カミーロ氏は、今回の展示をチェの「自伝」、そして彼の持っていた写真家「美的センス」という2つの見方で鑑賞して欲しいと話している。(参照元:シブヤ経済新聞)
チェが革命に携わったキューバを含む中南米地域の歴史は、残念ながら日本の一般的な高校生が習う世界史では多く扱われていない。それでもチェが人々に広く知られているのには、ポスターやTシャツなどで広まった彼の見かけに表れたカリスマ性が関係している。
そして現在開催されている写真展は、彼の持っていた多岐にわたる才能や魅力をさらに私たちに教えてくれるのだ。このような展示によって「歴史上の人物の内面の魅力」を知ることに面白さを感じられれば、歴史自体を知ることにより興味が持てるのかもしれない。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。