仕事を「頑張れば結果に繋がる」という勘違い

2016.9.8

Share
Tweet

みなさんは「仕事」に対してどんなイメージを持っているだろうか?

ジョブカフェが高校生に行った調査によると、約50%の高校生が「仕事」に対し、「つらそう、大変そう」というイメージを持っていた。

事実、関西大学名誉教授森岡氏によると、日本では毎年3万人前後の自殺者がおり、その中でも2千数百人が「勤務労働」を原因としている。(日経ビジネス)毎年2千数百人もの人が「死」を選ばなければならない程、仕事に追い込まれているという事実。異常としか言いようがない。

本来、「生きるために働いている」はずなのに、「仕事のために死ぬ」とはどういうことなのだろうか?

width="100%"
(Photo by Pingz Man)

楽しければ楽しいほど、会社の利益に繋がるという嬉しい事実。

日本の労働状況といえば、先進国の中では劣悪で有名である。長時間労働、短い休暇、職場内の障害者差別や性差別、仕事内容とは関係なく求められる上下関係のプレッシャー。日本の「和」を大切にする風潮や、我慢が美徳という国家的価値観に一部の原因はあるのかもしれない。

しかし、実際どんなに辛い思いをしても結果が出ない。日本の生産性は先進国の中でも最下位レベルなのだ。なぜなら、長時間働くことは、生産性に繋がらないから。

ラトヴィアのSNSのDraugiem.lvなどを運営するIT企業Draugiem Groupの調査によると、人間の脳は本来、エネルギーの状態が高い時間は1時間ほどで、そのあとは、低エネルギーが15分から20分ほど続く。本当に生産的な働きをしたいのなら、1時間程ごとに小さな休みを挟むのが良いそうだ。また、スウェーデンのFilimundusというアプリ開発会社では、2014年より1日6時間勤務を採用している。その結果、社員の集中力や意欲がアップし、ストレスも緩和され社内の雰囲気も良くなったという。米国のニュージャージー州にあるレザーカンパニーという企業でも、2012年に1日6時間勤務を採用したところ、従業員たちの「会社のために働きたい」というモチベーションが向上し、3年で生産性が最大15%アップしたそうだ。つまり人々が望む、ストレスの少ないワークスタイルは、会社の利益にも繋がるということなのだ。(Inno PM

「人間が人間らしくいるため」の労働条件

1999年、ILO(国際労働機関)は「ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)」を活動の主目標として掲げた。英語の「Decent:ディセント」には「ちゃんとした、きちんとした、適切な」などの意味が含まれる。よって、「ディセント・ワーク」とは、人間の尊厳と健康が損なわれないような「ちゃんとした」労働条件のことを言う。(ディセント・ワーク

日本は「働きがいのある人間らしい仕事」と訳し、2014年になって、閣議決定された「日本再生戦略」に「ディセント・ワーク」の実現を盛り込んだ。具体的には、最低賃金、雇用差別の廃止、結社の自由/団体交渉権、失業保険、十分な雇用などが確保されていることが求められる。上で述べたように、働き手にストレスが少ない方が会社の利益になるということを考慮すれば、「ディセント・ワーク」は会社側から見ても、働き手から見ても理にかなっている。

width="100%"
(Photo by Éole Wind)

あなたの「ディセント・ワーク」を見つけるために。

日本に、ILOの「ディセント・ワーク」というコンセプトを信念として掲げているリクルーメント会社が存在する。その名も、株式会社ディーセントワーク。単なる転職支援に止まらず、個人の希望にそって、起業、副業、フリーランスや在宅ワークなど様々な仕事の形を提供している。それは、収入だけでなく「働くよろこび」を個人が感じられるような仕事を見つける手伝いをしているということだ。

また、セクシュアル・マイノリティーに対して未だに差別が酷い日本社会の中で、彼らがオープンでいられるような職場を紹介するサービスも行っている。日本は、非生産的な上に、人を自殺に追い込むような酷い労働環境を人々に課し続けるわけにはいかない。どこかで、変わらなければ誰も得をしないのだ。

例えば、意味もなく「先輩が帰るまで後輩が帰れない」という文化なら、今日から変えられる。上の立場の人が「帰っていいよ」と言って、笑顔で帰してあげればいいだけだ。人のためにも、会社のためにも、今日から変えられることは変えていきたい。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

Share
Tweet
★ここを分記する

series

Creative Village