スマホをどのくらいの頻度で買い替えているだろうか?
スマホを販売する企業も、一定の期間で買い替える人や、修理に出さず買い替えた人が得をするような仕組みを作っており、「スマホが壊れたら買い換える」というのが当たり前となってしまっている。その次から次に「買い換える」という個人の選択が関連して、地球環境を悪化させてきているという。
「スマホの製造」により増えていく二酸化炭素の排出
スマホを気軽に新調している人も少なくないだろう。だが、その軽い気持ちでとってしまう行動の裏には、急速な環境破壊の存在がある。スマートフォンやノートパソコン、タブレット端末などを含む情報コミュニケーションの分野からの二酸化炭素排出量は、iPhoneが発売された2007年では1%だったのが、現在までに3倍、2040年には14倍になると予測されている。その二酸化炭素排出の85〜95%以上が新しいスマホの製造によるもの。そして機種が新しくなるほど内蔵される機能が増えているからか、その排出量が増える場合が多い。(参照元:Journal of Cleaner Production, Fast company)
また、それ以外にもスマホに使用されている鉱物をめぐる問題も忘れてはいけない。それらを資金源とする武装勢力がいることから地域内外で紛争が起きており、コンゴでの紛争では540万人以上の死者が出ている。(参照元:Fairphone, Huffpost)しかしながら、このような問題がありながら、一般的になってきた具体的な対策といえば「使えなくなった・使わなくなった機器のリサイクル」くらいだろうか。
人や環境に優しい、“DIYスマホ”という選択肢
一般的に使われているスマホに対する代替品を紹介するとしたら、オランダ生まれの「Fairphone(フェアフォン)」かもしれない。持ち主が自分で修理したり、パーツを購入して新たな機能を追加したりできる“DIYスマホ”で、現状では世界で一番環境に優しいスマホと呼べる製品だ。特徴としてはまず、「スマホ産業を変えること」そして「人と製品との関係性を築くこと」を目指している。
それから使用者の95%が「修理が簡単」だと回答しているほど、異常が起きてもドライバーを使って簡単に直せる。これで新しいものに買い換えるのと比べ、二酸化炭素の排出量を3割減らせ、従来の製品をリサイクルするよりも環境に負担をかけない。(参照元:Fairphone)また、製品の「透明性」も重視しており、鉱物資源についても人権侵害や環境破壊などにかかわっている「紛争鉱物」は使用しない方針をとるのだ。
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販売を願う人たちの声も少なくないが、現在のところ残念ながら日本で購入することができないのが、このFairphone。オランダをはじめとするヨーロッパなど地域ではシェアを伸ばしてきている。
現代の生活必需品であるスマホをどう選んでいくべきか
今までどんな理由でスマホを買い替えてきたのか、振り返ってみてほしい。「動作しなくなったから」「現在使用しているものが使いにくくて」という買い替える必要性の高い理由から、「今使っていたものが物足りなく感じるから」「ただ新しいものがほしいから」という客観的には必要性の低い理由までさまざまだろう。手軽に自分の気分次第で買い換えられる人がいるというのは、消費者が消費サイクルの最も上にいるからで、その力を使えば手にしているスマホの背景にある問題に変化をもたらす可能性を持っていることと同義なのだ。
Fairphoneのような比較的持続性の高い製品に買い換えるとしても、少なからず環境に対するコストはかかってしまうが、まずはスマホを「買い換えるのが普通」という考え方から一度離れて製品を比較することが重要ではないだろうか。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。