体に悪いのは「中身」だけではなく「外側」も。ファストフードやコンビニ食品の容器に隠された有害物質の真実

2017.5.19

Share
Tweet

「ファストフードは体によくない」。そんな言葉はもう聞き飽きたかもしれない。だが、ファストフードが危ない理由は、その原料や添加されている化学物質だけではない。

今年の2月に発表されたある論文には、「ファストフードの包み紙」に含まれる有害物質について書かれていた。

ファストフードが体によくない「本当の理由」。

ファストフードの問題点といえば、何が思い浮かぶだろうか?高カロリーで高脂肪、高コレステロールのメニューの多さ、添加物やトランス脂肪酸の使用、食品の質や製造過程などの「食品の安全性」や、食べ過ぎによる「肥満や病気のリスク」の問題は長らく指摘されてきている。

Photo by Andy
Photo by Andy

だがファストフードが危ないのは、どうやら「中身」だけではなく、「外側」である包み紙や容器などに使われている化学物質も原因となっているようだ。2017年の2月にアメリカの学術誌「Environmental Science & Technology Letters」上で発表された論文では、ハンバーガーやブリトー、菓子パンなどの包み紙に人体に悪影響を与える恐れのある化学物質が含まれていると述べられている。(参照元:Environmental Science & Technology Letters, Bloomberg

包み紙に含まれている「フッ素化合物」

同論文の研究では、マクドナルドやスターバックスを含む全米の27のファストフードチェーンで400の包み紙や紙の容器のサンプルを調べた結果、食べ物の包み紙の46%と紙の容器の20%に「PFAS」や「PFCs」と呼ばれる発ガン性物質などの有害物質と関連づけられるフッ素化合物の一種が含まれていることが判明した。

さらにテクスメクス(メキシコ風アメリカ料理)や菓子パン類のサンプルでは50%を越える割合で、またスターバックスの21のサンプルの76%、マクドナルドの31のサンプルの19%にフッ素化合物が含まれていることがわかっている。(参照元:Environmental Science & Technology Letters, The Environmental Working Group, Bloomberg, AFPBB

包装紙や容器に含まれる化学物質が人体に及ぼす影響はまだ判明していないが、私たちの口の入る食べ物が有害物質にさらされているかもしれないことを頭に入れておく必要がありそうだ。

日本人に身近な「コンビニの食品」の危険性

先ほどまでアメリカ的なファストフードの話をしてきたが、日本人により身近な“ファストフード”といえば、コンビニエンスストアの食品ではないだろうか。

おにぎりや惣菜など、比較的健康的に見える食品にも身体に悪影響を及ぼす可能性がある。それは、日持ちをさせるために使われる大量の添加物だけではなく、先ほどのファストフードと同様で、食品が入っている容器にも原因があるのだ。

width="100%"
Photo by ennero

コンビニで買うことのできる出来合いのサンドイッチの包み紙や、カップ麺の容器にも生殖などに影響を与える環境ホルモン*1が含まれているという。(参照元:Business Journal, 環境省

(*1)生命の機能維持をしている内分泌系に悪影響を及ぼす恐れのある物質

カップ麺の発泡スチロール製容器から溶出する化学物質のスチレンもプラスチック成分で、生殖機能に悪影響を与える環境ホルモンだ。また、コンビニサンドイッチなどを包んでいるラップにはフタル酸エステルやアジピン酸エステルという可塑剤が添加されているが、これらも催奇形性(奇形を出現させる性質)がある環境ホルモンである。(引用元:Business Journal

コンビニで買う食品の場合、容器のまま電子レンジで温めて食べるものが多いのではないだろうか。電子レンジは食品の水分を利用して加熱するものであるため、それで何かを温めることによる特別な成分の溶出はないとされている。だが、気をつけなければならないのは、どんな物質も摂取量や使い方により危険にもなり得るということだ。(参照元:日本プラスチック工業連盟

日本プラスチック工業連盟によると、食品に溶け出すとしてもその量は微量だというが、これに関しても気になる人はなるべくなら避けたほうがいいかもしれない。

ファストフードやコンビニの食品と子供たち

「いつでもすぐに買えて、すぐ食べられる」。そんな便利なファストフードやコンビニの食べ物は安くて手軽に買えるため、食事に高いお金を払えない若者や子供たちが利用することも少なくない。

彼らにそれらの食品の危険性を教えるだけでなく、健康的で安全な選択肢を選べるようにしていくことが必要だ。他の外食の選択肢がなければ、ファストフードやコンビニの食べ物で済ますしかなくなってしまう。

有害物質を含むラップに包まれたサンドイッチを食べても、必ずしも体に影響が出るわけではなさそうだが、食品の中身だけでなく、それが提供される際の包装紙や容器にも何が使われているのかを知ることは大変重要である。人体に悪影響があると判明しても、それがすぐに公表されるのは稀なのだから。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

Share
Tweet
★ここを分記する

series

Creative Village