15%も生産性が低下。アメリカの70%のオフィスが採用する“あるワークスタイル”

2017.1.31

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みなさんは「フリーアドレス制」をご存知だろうか?

「フリーアドレス制」はオープンオフィスを持つ会社によく見られる制度。開けた構造をしたオフィスで、机も大きく、大人数で共有できるようになっているオープンオフィスは役職に関係なく座れるのが特徴だ。そんな環境下、個々が定位置の席を持たず、毎日自由に好きな席に座るシステムが「フリーアドレス制」である。

去年の10月に新オフィスに移転したYahoo!が導入したことでも話題になった。オフィスが自由な雰囲気なのは若者には嬉しい話だろう。しかし仕事の効率の面など、実際のところはどうなのだろうか?

実は日本で始まった「フリーアドレス制」

「フリーアドレス制」を耳にするようになったのはここ最近のように感じるが、実は80年代後半から実地されていたのがこの制度。しかも、日本から始まったそうだ。ある建築会社が欧米などに比べてオフィスの面積が狭いこともあり、外出の多い営業部などの席を最小限に抑え、スペース確保をするために始まったのだとか。(参照元:筑波大学)スペース確保のために始まった制度ではあったが、新しいワークスタイルとして注目され、欧米で人気が出た。現在アメリカの企業の70%が「フリーアドレス制」を含めたオープンな体型を基本としている。(参照元:BBC Capital)また日本では、2007年からは経産省が推進する「クリエイティブ・オフィス」という面でも注目された。固定された席に縛られることなく、自由にオフィスを使い、部署を超えた交流を日常的にすることで、脳が刺激され、クリエイティブな作業に効果的だとされている。(参照元:経済産業省

オープンな雰囲気が嫌だという人はなかなかいないと思うが、懸念点も存在する。今月、英メディアBBCが発表した記事によると、「フリーアドレス制」を導入すると生産性が15%も下がる。この理由としては、周りの音が気になって集中できないこと、雑談をついつい長々としてしまうことがあげられた。(参照元:BBC)日本に限った話だと、「全社員が対等な立場で好きな席に座る」と志しても、結局上司が席を選ぶのを待つことになったり、毎日同じ席に座る人が多いために制度がそもそも成立しないことがあるそうだ。それを予想してか、現段階では日本の社会人に調査した結果「フリーアドレス制」の反対派は79.4%にもなるという。(引用元:マイナビニュース

働き方の意識改革を

若い社員が多い会社や、クリエイティブな企業が注目するこの「フリーアドレス制」。部署を超えた社内のコミュニケーションを増やす試みや、みんなが平等に好きな席を選べるという精神は素晴らしいが、生産性が下がってしまったり、日本人の上下関係の文化がせっかくのシステムを無効にしてしまったりするのなら実地するべきか疑問が残る。生産性の面を考慮すると、全スペースをオープンにするのではなく、くつろげる共有スペースもあり、一人ひとりが集中できるプライベートな空間もある、めりはりのあるオフィスが理想的なのかもしれない。これなら既存の空間を利用し、共有スペースを工夫することで低コストでの実現が可能なのではないだろうか。

また、更に大切なのは、会社全体がそして日本社会全体が「働き方」への考え方を変えることである。現状だと、上記であげた「上司が席を選ぶのを待ってしまう精神」のように、システムを導入したところで社員のメンタリティーがついてこないので、成功とはいえない。たとえばスウェーデンやアメリカで実地されている「1日6時間労働」は生産性が上がることが結果に出ている。プライベートな時間と仕事の時間にメリハリがあることで、ストレスが減り、集中力も上がるからだ。また、社員のストレスが少なければ、社内の雰囲気も必然的に良くなる。つまり、社内のコミュニケーションを円滑に、クリエイティブな活動にプラスになるような労働環境を作り、更に生産性を上げたいのであれば、残業や、意味のない上下関係、早く帰る人が罪悪感を感じなければいけないような文化から抜け出し、健康的に働けるようなマインドセットを社員全員が持つことを優先するべきなのかもしれない。

※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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