「コンプレックスを結んで★に」12人の架空の女の子にインタビューしたZINE | GOOD ART GALLERY #027

Text: Noemi Minami

Images provided: Lily Spacey

2021.4.21

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 ミュージシャン・アーティストとして活動するLily Spacey (リリースペイシー)のZINE「スーパーハイパークレイジーパワー」は、12人の架空の女の子のインタビュー集。「『こんな女の子がいてもいいよな〜!』っていう自分の願望を一人一人の女の子に託していったという感じです」と、彼女は話す。

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 ZINEに出てくるのは「なんとかなる美」や「涙腺ユル美」など、クスっと笑ってしまうような名前とユニークなストーリーを持った女の子たち。コンプレックスや人と少し違うことを理由に過去にちょっと傷ついたり、悲しんだり…それでも今は自分らしく生きることを選んだ女の子たちのように感じる。彼女たちのストーリーを読んでいるうちに、なんだか自分もコンプレックスなんて気にする必要ないんじゃないか、と思わせてくれる。
 今回NEUT Magazineは、そんな12人の女の子の生みの親・Lily Spaceyにインタビュー。12人に負けず劣らずハイパーなエネルギー全開の彼女の言葉は、ありのままの自分を受け入れるヒントになるかもしれない。

ーまず最初に簡単な自己紹介をお願いします!

やっほーこんにちは!リリースペイシーです!今は大学生で、音楽を作ったりアニメーションやイラストを描いています!プリプリエナジーフォーエバー!

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Photography: Kale Ishigami

ーこのZINEは何をきっかけで制作したんですか?

急に「本をつくりたい!」って電気がビリビリ体に走ったのがきっかけでつくりはじめました!そこから、自分にはどんな本がつくることができるかな?せっかくつくるなら自分にとって意味のあるものにしたいな、と考えた結果「架空の人間にインタビューしてみよう!」という結論に落ち着きました。もともとインタビュー記事が好きだったんです。一人の人間がどんなことを考えて、どんな行動を重ねて、今のその位置にいるのかを記事を通して知ることでその人の人生を疑似体験できる感覚があって、その感覚が自分の思考を拡張してくれるような気がして気になる人たちのインタビュー記事をたくさん読んでいました。私は人の奇想天外な逸話とかが大好きで「やばいなこの人!クレイジー!!ラブリー!」と思うたびにもっと自分もはちゃめちゃやってもいいんだ!ってどこまでも飛んでいける羽をもらったような気持ちになるんです。架空の人物だったら、自分で好きにその人の経験や思考を生み出すことができるなと思って、そしたら自分がもっともっと自由になれちゃうんじゃないかな!?ってわくわくしながら制作を進めて行きました。

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ZINEの目次ページ

ーZINEでは架空の女の子12人にインタビューをしていますが、この12人はどのようにして生まれたのですか?

「こんな女の子がいてもいいよな〜!」っていう自分の願望を一人一人の女の子に託していったという感じです。インタビュー記事ってある程度予想できちゃうんです。たとえば幼少期にみた映画に影響を受けて俳優になることを夢見て上京して貧乏生活のなかでも夢を諦めず頑張ってたらある人と出会ってそこから道が大きく開けて今大人気の俳優に!みたいな。もっと「へ??」みたいな人生の展開がみてみたい。なんなら自分もそんな人生を送りたい。そんな思いを女の子に込めました。

ー「すぐ泣いちゃう」など社会ではネガティブに見られていることも面白おかしくポジティブに描いているのが印象的で、読んでいてハッピーな気持ちになりました。それぞれキャラクターにはどんな思いを込めたのですか?

32歳の吉田エミリーは額に5つのほくろがあります。そのほくろがコンプレックスだったんですが高校1年生の文化祭のときに憧れの2個上のテニス部の部長のまさと先輩とろうかですれ違ったときに、「キミのほくろ、線で結んだら星になるね!」ってまさと先輩が話しかけてくれたんです。それをきっかけに、ほくろをコンプレックスに感じてる人のために対して結んだら星になるような位置にほくろを彫ってあげる「ほくろ彫り師」として今生きている、というお話を作りました。この本に出てくる女の子たちはみんな自分の経験やそこから感じたことをまっすぐに信じて行動しています。誰かがこういったから、とかみんなはこうしてるからっていうことを気にせず、自分の感覚を全肯定しながら生きている姿に制作している自分自身もチアアップされました。オリジナリティのある哲学を掲げて生きていると必ず何かネガティブな言葉をかけてくる人がいるけれど、この本の中の女の子にはずっとまっすぐに生きていってほしいです。

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ー「自分の願望を一人一人の女の子に託した」とありましたが、ZINEの制作を通して自分とのリレーションシップが変わったような感覚はありますか?

たぶんこの12人が今やっていることや持っている感覚はわたしが憧れているものなんだと思います。自分もこんな女の子になりたいな、と自分のZINEを読んでいて思うことがあります。自分は自分の人生を生きることしかできない。自分には自分の役割があるし、他の人には他の人の役割がある。自分は自分、他人は他人かもしれないけれど全てのものは影響し合いながら存在しているので、この12人の女の子の生き方から素敵なエッセンスを受け取りながらも自分の人生にフォーカスして生きていきたいと思うようになりました。また、もし自分の人生がこの本の記事になるとしたら読んでいてわくわくしちゃうような記事にしたいから、はちゃめちゃに生きたいな、と思いました。

ーLilyさんが制作した楽曲からも「良くても悪くてもそのままの自分をとりあえず受け入れよう」というようなメッセージを感じました。もともと自分自身についてポジティブに考えていたのですか?今のように自分を受け入れようと思ったきっかけなどがもしあれば教えてください。

やっぱり生活のなかで他人と比べてしまうことが多くてネガティブなフィーリングを自分に向けてしまうことも多かったです。でも気分が落ちるたびに「まじで自分は自分としてしか生きていくことができないから、早めに自分を受け入れちゃって、自分の好きなように自分を形成していっちゃた方が人生お得じゃん」という結論に毎回行き着くことに気がつきました。

※動画が見られない方はこちら

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ーコンプレックスを抱えて苦しんでいる子たち、ありのままの自分をなかなか受け入れられない子たちに何かアドバイスはありますか?

自分を否定するっていうことは、ありのままの自分を否定してくる人間に「それな!」って言っているようなもので、それって悔しいなって思います。たまに嫌な言葉を投げつけてくる人間がいるけれど、そんな人間に同意なんてしたくない。そんな人には「は?見る目なくない??ベーーー」ってしちゃってほしい。ありのままの自分が好きじゃなかったら、「ありのまま」に自分の好きなものをたくさん貼り付けちゃっていいと思う!メイクであったり、ファッションであったり、アティチュードであったり、人生をラブリーにするアイテムをゲットしていい感じになっちゃってほしい!

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ー改めて最後に、このZINEにはどんなメッセージを込めましたか?

このZINEの中にはまだこの世界で会ったことはないけれど、こんな子がいてもいいよな〜という女の子が12人存在しています。自分の周りを見渡して自分も将来はこんな感じになるのかな、とある程度予想できちゃう。でも周りを見渡すよりも目を閉じて自分の想像をどこまでも広げて「こんな世界に私は生きたいんだ!」って脳がスパークしたら目を開けて行動を始めたらいいと思う。私は「架空の女の子にインタビューしてみたい!」っていうスパークがあったからZINEをつくってみました。「こんなメッセージを伝えたいんだ!」というものはあんまりないけれど、みんなの人生を輝かせるスパークの根元の一部にこのZINEがなれたらうれしいです。

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スーパーハイパークレイジーパワー

「スーパーハイパークレイジーパワー」は、アーティスト・Lily Spacey(リリースペイシー)による、架空の12人の女の子へのインタビューを集めたZINE。登場するのは「ホクロ彫り師の吉田エミリー」や「ドントストップクライヤー涙腺ユル美」などユニークなストーリーを持った女の子たちばかり。「架空の女の子にインタビューしてみたい!」というスパークから生まれた。▷STORE

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Lily Spacey(リリースペイシー)

プリプリアーティスト。ピュアピュア純度100パーセントの衝動に突き動されるままに歌やアニメーション、イラストなどを制作している。青森県出身で現在慶應義塾大学環境情報学部4年生。ぷりぷりエナジーほとばしるバイブス系ガール。最近ハムスターを飼い始めたよ!丸くて食いしんぼうでかわいい!名前は「はにゃ」。卒業後は海外で生活してみたいな〜。今から準備をしよーっと!▷Twitter / Instagram / YouTube

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