カーテンを開けると明るい太陽の光が全身に降り注ぐ。朝の柔らかい光は暖かくて優しい。その優しさに甘えるも束の間、頭の片隅では、昼前には灼熱の紫外線が私を苦しめるかも、なんて不安が頭をよぎり、いそいそと日焼け止めを取り出す。
日焼け止めは皮膚の上をうすーく広く伸びていく。しかし、筆者はこの日焼け止めがどんな成分で構成され、どういう仕組みで肌を守っているかなんて考えたこともなかった。
ハワイでは日本の日焼け止めがほとんど使えない
2018年5月、ハワイで新たな法案が可決。7月4日には、知事の署名を受け成立した。2021年に施行予定のこの法案は「サンゴ礁にとって有害な合成化学物質を含む日焼け止めの使用を禁止する」というもの。日焼け止めに含まれる合成化学物質は、サンゴを白化してしまう“日焼け止め災害”を引き起こすのだ。
こうした有害物質のなかには、紫外線吸収剤として利用されているオキシベンゾンやオクチノキサートという成分も含むため、今日本で流通している日焼け止めのほとんどがハワイでは使えなくなるということ。そして、この事実は私たちが知らず知らずのうちに海を汚している可能性を示している。
オーガニック日焼け止め開発の前途多難
また、オキシベンゾンやオクチノキサートなどの合成化学物質を含む日焼け止めは、敏感肌の大人や、肌の弱い乳幼児の肌荒れを引き起こす恐れもある。一方で、自然にも人肌にも優しい、完全にオーガニックな日焼け止めの開発は難しいのも事実だ。
たとえば2015年、アメリカの人気女優Jessica Alba(ジェシカ・アルバ)のブランドである「THE HONEST COMPANY(オネストカンパニー)」が販売したミネラル由来の日焼け止めを塗った人々が、ひどい日焼けを負った事件が問題になった。これは、成分の一部である酸化亜鉛の配合量に問題があったと考えられている。
一連の騒動を受け、アメリカでは、オーガニック日焼け止めの勢いが下火になっていた。しかし、そのままでは問題は解決しない。そこで立ち上がったのが、スタートアップである「VIVE SANA(ヴィヴァ・サナ)」だ。
植物由来の優しい日焼け止め
VIVE SANAと従来のオーガニック日焼け止めを決定的に分けるものが、同社は植物由来の成分を利用しているということだ。創設者であるDaniel Signorelli(ダニエル・シニョレッリ)はこう語る。
「みんな化学物質に頼らないと肌を守れないと思っているけれど、自然界にも皮膚を日光から守るのに最適な有機成分がたくさんあるんだ。植物は人間より長く、太陽と付き合っているんだから」(引用元:FAST COMPANY)
もちろん、通常日焼け止めに入っていることが多いフタル酸エステル、パラベンおよび他の有害な毒素も含まれていないそう。さらに、VIVE SANAには、肌を日光から守るだけでなく、肌自体を補修、強化する効果も確認されている。
日焼け止め、と気軽にいうけれど、詰まるところは薬と一緒だ。どんな日焼け止めであっても肌に合う、合わないということはあるし、だからといって塗らなくても良いというわけでもない。しかし、自然と共に生きる私たちは、自覚的に他の生物との共存についても考えなくてはならない。
日に日に気温が高くなって、夏の始まりに足をつっこみ始めた今だからこそ、今後、どんな日焼け止めを使うか改めて考えてみてはどうだろう?
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。