“意識が高い”ことはクールなこと。ファストファッションの代替案を目指すカナダのフェアトレードブランド|GOOD WARDROBE #011

Text: Noemi Minami

Photography: ©People’s Product

2018.6.5

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「服をただ着るのではなく、マニフェスト(宣言)として着よう」。そんなモットーを持つBe inspired!の編集部がセレクトしたブランドの詰まった「人や環境、社会に優しく主張のあるWARDROBE(衣装箪笥)」を作り上げる連載、『GOOD WARDROBE』。

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今回紹介したいのは、「CONSCIOUS IS COOL=意識が高いのはクールなことだよ」をスローガンに掲げるカナダのフェアトレードブランドPeople’s Product(ピープルズ・プロダクト)。

同ブランドは2016年に大学時代の同級生、Eva Parrell(エヴァ・パレル)とChelsea Mazur(チェルシー・マズール)によって創設された。製品はすべて彼女たちの拠点であるカナダのトロントでデザインされ、フェアトレードに徹底し、製造過程は伝統的な手作りにこだわって、さらには地球へのダメージを最小限に抑えている。

才能あるアーティストを支援しつつ、サステイナブルなプロダクトを作ることで、消費者やほかののブランドの意識を変えようと取り組むPeople’s Productの創設者の一人、チェルシーに話をうかがった。

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チェルシーとエヴァ

ーどんな経緯で2016年にPeople’s Productを立ち上げたの?

エヴァと私はカナダのトロントにあるライアソン大学のファッションデザイン学科で知り合ったの。というか、最初の週に一緒のプロジェクトチームに入れられて、それ以来大親友!

大学在学中、エヴァはソーシャルビジネスを展開するSupa Maasai(スパ・マサイ)というマサイ族の女性のために持続可能な雇用を生み出す企業で働いていた。ケニアのアーティストと共にビーズ細工のプロジェクトに関わっていたエヴァの経験から、ファッションや製造に対しての視野が広がった。

People’s Productは純粋なファッションと人への愛から生まれたの。ファッションは社会変革を起こせる力を持っていると信じている。フェアトレードの定義をファッション業界の中から変えたいと思ってるんだ。

ーPeople’s Product(人のためのプロダクト)っていう名前の由来は?

ブランドの信念がそのまま反映されている。製造者から消費者まで、私たちは常に人を第一として考えている。ブランドはグローバルな視点で運営しているよ。作り手と買い手がつながっているってことを実感できるようなブランドにしたい。それに、包括的な名前にしたかったから、People’s Productがぴったりだと思った。

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ーフェアトレードをどうやって実現しているの?

現在はWFTO(世界フェアトレード機関)と一緒にやってる。私たちが特に関心があるのは、男女平等、公正な報酬、安全な労働環境。

こういった基準の他にも、フェアトレードって世界規模で地域の伝統工芸を復興させ、サステイナブルな雇用を生むことができるという側面がある。私たちはブランドとして、女性が職業トレーニングを受けられる団体*1と協力している。公平な雇用だけではなくて、医療や教育プログラム、ビジネストレーニングを提供している団体を選んでるの。どの団体も素晴らしいものばかりで、本当に存在していてくれて嬉しいし、一緒に働けるなんて光栄だと思ってる:)

(*1)彼女たちが提携する団体の一つにはインドの西海岸に面する都市ムンバイに位置するCreative Handicrafts(クリエイティブ・ハンディクラフツ)という縫製工場。Creative Handicraftsは1984年に創設されて以来エシカルなハンドクラフトの工場として知られており、1994年に団体として独立、2005年にフェアトレードネットワークに登録された。工場で働く女性たちの多くはスラム街出身で、貧困やDVの被害者である。有給のトレーニングを受けたうえで、裁縫の技術を学び、正社員としてCreative Handicraftsで雇われる。

ーブランドを立ち上げてから1年半ぐらいたったと思うけど、今の心境は?

最高だよ!ここ数年でいろいろな業界の問題に挑戦しているポジティブな姿勢を持った人にたくさん出会えた。ブランドを立ち上げるのって楽なことばかりじゃない。辛いこともあるし、ものすごい努力が必要。でもやっぱり自分たちのしていることが大好きだし、楽しい!これからの数年間もすごく楽しみなの。新しいプロジェクトもあるし、それをみんなに発表するのが今は待ちきれない。

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ー先進国に住む私たちにとってどうしてフェアトレードは重要だと思う?

先進国に住む私たちには「消費の仕方」によって社会に貢献できるという力を持ってる!フェアトレードのものを買えば、クオリティの高いものを買えるだけでなく、社会から取り残された地域の長期的な成長に投資していることになるから。

グローバルコミュニティの市民として、ファッション業界が生産者や環境を傷つけているという事実をちゃんと認識しなければならない。でもそれを行動に移すのって実は思ってるよりも簡単なことで、サステイナビリティを重視したブランドや信念を持ったブランドをサポートすることから始められる。

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ー「CONSCIOUS IS COOL=意識が高いのはクールなことだよ」っていうスローガンにはどういう意味を込めたか教えてくれる?

「意識の高い生き方」を“クールな選択”にしたい!それが実は誰もが望むようなライフスタイルであって、楽しいものだってみんなに気づいて欲しい。

ーブランドとしての目標は何?

サステイナブルな雇用を生むだけではなくて、コミュニティ内で素晴らしい職人をどんどん増やしていきたい。それは医療や教育の面を充実させてこそ実現可能だと思ってる。それと、ファストファッションの代替案になることが目標。人が信じられるブランドになること。私たちの洋服を着てくれている人が、見た目に満足するだけじゃなくて、心の底からいい気分になるように!

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「『意識の高い生き方』を“クールな選択”にしたい!」と、ポジティブなエネルギーに溢れたPeople’s Product。ファッションの力と消費者の力を信じる彼女たちの姿勢に、勇気付けられたり、共感したりする人も少なくないはず。なんとなく、「良いこと」は真面目で、「楽しいこと」や「かっこいいこと」とは切り離されて考られてきたが、People’s Productのようなブランドが増えれば、そのイメージも変わるのかもしれない。

People’s Product

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※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。

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