夢や恋愛や性の悩み。3人の少女の青春を描いた北欧発の青春映画『ガール・ピクチャー』|GOOD CINEMA PICKS #38

Text: Noemi Minami

2023.3.8

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 10代の金曜日は、いつだって何かが起きる予感でいっぱいだーー。
 子どもと大人のはざま、17歳から18歳に差し掛かる3人の少女、ミンミとロンコとエマの甘酸っぱい3週間を描いた北欧発の青春映画『ガール・ピクチャー』。彼女たちは3度の金曜日を迎える間に、お互いの人生を揺るがすような運命の恋をし、未知の性的快感を求め冒険する。10代はジェットコースターのようにアップダウンが激しく、多感な時期。本作は、そんなティーンエイジャーが抱える性、人間関係、自分の居場所、未来への悩みをまっすぐに映し出す。彼女たちは、「こうあるべき自分」を思い描き、つまづき、ぶつかり、失敗しながらも誰かと寄り添い、自由を獲得する方法を学んでいく。今の10代から、かつてティーンだった大人たちまでもが楽しめる、北欧発のみずみずしい青春映画が誕生した。

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 監督は、自分の声を見出していく女性作家を描いた映画『Love and Fury』(16)でデビューし、強い女性たちのストーリーを生み出し続けているアッリ・ハーパサロ。脚本は気鋭の脚本家ダニエラ・ハクリネンとイロナ・アハティが自身の経験も振り返りながら綴った。本作はノーベル平和賞を受賞した社会運動家のジェーン・アダムズにちなんで名づけられたシチズン・ジェーン・プロダクションによって製作され、第38回サンダンス映画祭ワールドシネマドラマ部門観客賞を受賞、さらに第95回アカデミー賞®国際長編映画賞部門のフィンランド代表に選出された。
 作中で描かれるのは、ティーンらしいフレッシュなミンミとエマの恋愛に、アセクシュアル(性的に他者に惹かれないセクシュアリティ。日本では恋愛感情を抱かない人も含まれることがある)の可能性があることに悩むロンコが果敢に自分自身を追求していく姿、そしてミンミとロンコの深い絆で結ばれた友情。それに加え、親との複雑な関係やティーンアスリートとしての葛藤などにも触れられる。

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 映画の原題の『Tytöt tytöt tytöt』は、フィンランド語で「女の子たち、女の子たち、 女の子たち」という意味。これは、女の子たちが何か悪いことをしたときに、見下したり、恥ずかしい思いにさせたりするために言うフレーズなのだが、それをあえて使い、新しいトーンを与えたという。

この映画は、欲望、自立、そして自分が望むような生き方を求める少女たちを蔑んだり罰したりするのではなく、彼女たちに自由を与え、自分自身や性自認を探り求めるよう励ますのです。

ーアッリ・ハーパサロ監督

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 作中に流れるドリームポップのバンド音楽や彼女たちが身にまとうそれぞれらしいレトロでキュートなファッションが、どの時代と限定しすぎることなく“ティーンな世界観”を作り出し、フィンランドで青春時代を過ごしていなくてもどこか懐かしいと感じてしまう。

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『ガール・ピクチャー』は、⼥性としての⼀歩を踏み出し始めた3⼈の少⼥の、ごくわずかな時期を切り取ったものです。ティーンエイジャーの⽣活はとても豊かで⼀瞬⼀瞬が⼤切。ごく短い期間であったとしても、本⼈たちにとっては全宇宙をも包み込むほど⼤きなことなのです。

ーアッリ・ハーパサロ監督

 自分が10代だったときに、しょっちゅうティーン映画を見てはワクワクドキドキしていた感覚を思い出した。登場人物の服装をちょっと真似したり、同じようなことに悩んだり喜んだり。『ガール・ピクチャー』は青春映画の王道を踏襲したある種クラシックな作品であると同時に、これまでメディアで幾度となく支配的に描かれてきた“異性の恋愛”を前提としていないところが既存の青春映画と一線を画すと言えるかもしれない。でもそれを“売り”とせず、前提として制作された作品なので、わざわざそこを取り上げるのも野暮なような気がするけれど。
 ティーンがちょっと昔の人も、遠い昔の人も、この映画を見ながら自分のティーン時代に思いを馳せると、楽しい記憶が蘇ったり、ちょっぴり恥ずかしい瞬間を思い出したりするかもしれない。時代や性別やセクシュアリティが違っても共感できる普遍的な思春期特有の甘酸っぱさやキラキラがこの映画に詰まっている。

NEUT読者限定の試写会を開催!

北欧発の青春映画『ガール・ピクチャー』の試写会を下北沢で4/4に開催!抽選で30名様をご招待します!

【応募方法】
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【詳細】
日程:4/4(火)
時間:19:00開場/19:30 上映開始 (上映時間:100分) 
ワンドリンク付

上映終了後、アンケートにお答えいただいた方にはMoiiのヘアバーム(2800円相当)プレゼント

場所:サンデーブランチ
世田谷区北沢2-29-2フェニキアビル 2F
https://www.sundaybrunch.co.jp/shimokitazawa/
下北沢駅から徒歩3分

 

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『ガール・ピクチャー』

4月7日(金)より新宿シネマカリテ、YEBISU GARDEN CINEMAほか全国順次ロードショー!

公式サイト

最初の金曜日。
クールでシニカルなミンミ(アーム・ミロノフ)と、素直でキュートなロンコ(エレオノーラ・カウハネン)は同じ学校に通う親友。
放課後はスムージースタンドでアルバイトしながら、恋愛やセックス、そして自分の将来についての不安や期待にまつわるおしゃべりを楽しんでいる。
そんな中「男の人と一緒にいても何も感じない自分はみんなと違うのでは?」と悩み続けていたロンコは、理想の相手との出会いを求めて、果敢にパーティーへと繰り出す。

一方、ロンコの付き添いでパーティーにやってきたミンミは、大事な試合を前に、プレッシャーに押しつぶされそうなフィギュアスケーターのエマ(リンネア・レイノ)と急接近する――。

監督:アッリ・ハーパサロ  脚本:イロナ・アハティ、ダニエラ・ハクリネン
出演:アーム・ミロノフ、エレオノーラ・カウハネン、リンネア・レイノ
2022年/フィンランド/100分/カラー/スタンダード/5.1ch/原題:Tytöt tytot tytöt/PG12/日本語字幕:松永昌子
配給:アンプラグド 
© 2022 Citizen Jane Productions, all rights reserved

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