原宿で最も“スローで居心地のいいコミュニティ”を目指して。根底にあるパンクな思想と構想|都会のローカルコミュニティ、「原宿キャットストリート CATs」の活動日誌 #006

Text: Genki Nakamura

Photography: Shiori Kirigaya unless otherwise stated.

2020.4.15

Share
Tweet

こんにちは、CATs(キャッツ)の中村元気(なかむら げんき)です。CATsは、原宿の裏通りにある、個性的な店舗の立ち並ぶキャットストリートのお店の人を中心とする人たちと始めた地域コミュニティ活動です。全ての活動の根底には「消費の中心地」といわれる原宿だからこそ「消費」について考え、都会だからこそ「困ったときに助け合えるような関係性」を作りたいという共通した思いがあります。

活動を始めた個人的なきっかけを綴った#000を含め、ここまでで6回の連載をやってきて、今やっているクリーンアップやコンポストなど活動の話は書いてみたのですが、これからも活動し続けるわけだし、いろんな人とコラボレーションしたいと思っているんです。なので、改めて最後に「CATsというコミュニティの心」について話したいと思います。

width="100%"
写真右が中村元気
都会のローカルコミュニティ、「原宿キャットストリート CATs」の活動日誌 についてはこちら

CATsのスタンスと思想

CATsというコミュニティアクションの原点はストリートの表現活動です。ストリートというのは、単なるカルチャー的な意味を超えて、思想に近いものだと思っています。地域の活動も非常にさまざまなスタンスでプロセスを踏んで実行されていると思いますが、CATsもその一つです。

例えば、グラスルーツ=草の根であることです。その地域に一番関わり、現場に近く、立場的にも決定権を持つわけではない、大多数の人間たちから始まる活動だということです。つまりは、体制側への反抗なわけですね。パンクな気持ちなわけです。自分たちの地域という認識と、場所が自分のアイデンティティであることがその根幹にあるわけです。課題や魅力は現場に落ちていることがほとんどなので、そういった思想を活動に落とし込んだ、たくさんの人が参加する表現活動なんです。ただ社会への不満を言っているだけでは前には進めないので、しっかり形にしていきたいと思っています。

width=“100%"

CATsの目指すコミュニティって?

CATsにおけるコミュニティの定義についても触れてみたいと思います。そもそもコミュニティという概念と出会ったのは、CATsを始めるより前に、TEDxKids(テデックス・キッズ)というイベントのボランティアをやっていたことがあります。そのコミュニティの雰囲気がめちゃくちゃよかったんです。何がいいかというと、まず運営している人が活動を心から楽しんでいること、次にスキルのない自分にもフラットに接してくれるような、関わる誰もが自分のできることを精一杯にして関わりたいと思えるような雰囲気があることでした。そして何よりも、「これからの世界を作っていく子ども達の未来をより良いものにする」という誰もが納得する魅力的なビジョンを持っていること自体が魅力でした。

そんな魅力的で、居心地のいい雰囲気を持つコミュニティを自分も求めていましたし、みんなも求めているんじゃないかなと思っていたことを、自分のよく知る街で実験的に始めたのが、CATsというわけなんです。誰もがストリートを形作るための大切なピースであり、関わる権利を持っていて、それがお金やスキルによって上下関係が決まるようなこともない、そんなコミュニティを作っているつもりです。だからこそCATsでは、お金より挨拶や思いやりが大事です。困っている友人を助けるのは当たり前です。コロナウイルスで街から人がいなくなれば、その店のものを買ったりしますし、普段から世間話のためだけでも、ちょっとお店に寄ったりします。そんな些細なコミュニケーションを重ねることで、少しずつ関係性を築けるようなコミュニティです。

CATsのこれからと変わらないこと

これからのCATsの展望にも触れてみようと思います。CATsというキャットストリートに根ざすコミュニティはまだまだ街にいるたくさんの人を巻き込みきれていません。本当は街に関わりのあるみんなと一緒に活動をしたいので、お互いがゆったりと対話するような時間や場を作りたいと思っています。固定の場を持つのか?クリーンアップのようにイベント的に場を持つのかはわかりません。でも、もっとそれぞれのことを知ることができたら、何だかもっと互いに優しくできそうな気がしています。その場では、堅苦しさを取り払って、一緒にご飯を食べたり、語ったり、損得勘定抜きの関係が作れたら最高なんだろうなと想像しています。意識の高い集まりじゃなくていいし、シャイな人は積極的に話しかけなくてもよくて、なんとなくいても居心地がいいことが大切です。

width=“100%"

width=“100%"

目まぐるしく変わり人が入れ替わるこのキャットストリートという街で、一番スローで居心地のいいコミュニティを目指していきたいと思います。何度もになりますが、大事なことは挨拶みたいな些細なことです。神は細部に宿るといいますが、コミュニティの真骨頂は挨拶のようなほんの些細なコミュニケーションがどれだけ頻繁に行われているかです。派手な活動やイベントなんてものは、コミュニティを形成するほんの一部でしかないんです。クリーンアップをして清々しい気持ちになったり、そこで出会った人と街で挨拶を交わしたりするような、日々の小さなことにどれだけ幸せを感じることができるかがこの活動の本質であり、ずっと変わらない価値なのだろうと思います。

今まで非常に乱雑な文章をお読みいただきありがとうございました。今後も気軽にコミュニティへ参加していただけたら嬉しいです。

CATs cleanup Vol.74 stay home & clean your local

Facebookイベントページ

大変な状況の中ですが、だからこそこのルーティーンは続けていきたいと思っています。やっぱり会うのも来るのも大変な時期ですのでそれぞれの家の前を掃除するってのはいかがでしょうか?

今度来る時に、もっと原宿を好きになりますように。

日時:4/18(土)9:00-10:00
集合場所:それぞれの家の前
持ち物:オープンマインド
参加:ZOOMでみんなをつなぎます。こちらからログイン。

width=“100%"
Photography: CATs

中村元気(なかむら げんき)

Instagram

1992年、埼玉県行田市生まれ。 原宿のキャットストリートという通り沿いで地域活動 CATsを始める。地域に関わる様々なレイヤーの人達と居心地のいい街を作るために日々活動中。消費の中心地だからこそ、クリーンアップなどお金では手に入らない人間関係を作る活動や、表参道の落ち葉を使ったコンポストなど生産側になりゼロから価値を生み出すアクションを実験的に行う。それ以外の活動には都市型屋上農業や、地域のみんなで行うキャンプや山登りなどがある。また、2018年に地域のゴミ問題の根本解決を目指すために「0 waste=ゴミ・無駄のない」ライフスタイルの提案を行う530weekという活動を立ち上げ、2019年の5月30日にイベントを開催した。パンの耳を使って作ったbread beerなどアップサイクルプロダクトなどの企画にメインに活動している。

width=“100%"

CATs

Facebook

東京の中心で昔ながらの商店街のような空気感を持つ、CAT street で働く人たちがメインのコミュニティ。商いをする人たちが、商い以外の活動を通して繋がっている。”ACT DIFFERENT” というコンセプトを掲げていて、消費の中心地、原宿で日常的に消費について考え、行動できる仕組みを作ったりもしている。

目的:
*都市の真ん中で、地域に関わる個人や店舗が有機的につながること
*地域に関わる人が、当たり前の日常に少し変化を起こすこと
*地域に関わる人が、生活に必要な物だけを選ぶライフスタイルが浸透すること

活動:
*Cleanup
*Compost
*CAFE SHIBUYAGAWA
*CAMP CLUB
*Meetup

width=“100%"
Share
Tweet
★ここを分記する

series

Creative Village