2017年、SNSがさらなる進化を遂げていったのと同時に、「若者のフェイスブック離れ」という言葉が聞かれたように特定のSNSを使わなくなった人もいれば、複数のアカウントを用途によって使いわける人も少なくないなど、人々のSNSとの付き合い方も多様化している。
だがハッシュタグは、個人がSNSに投稿をするときはもちろん、企業や団体などがキャンペーン自体の名称をハッシュタグにし、活動を広めるときに広く使われている。さらには意見を主張したり人々に議論をするよう呼びかけたりするハッシュタグ・アクティビズムも盛んだ。
今回Be inspired!では、2017年に紹介したハッシュタグ・アクティビズムから、2018年を迎える前にもう一度考えてほしいものをピックアップし、改めて紹介することにした。
①紙カップはリサイクル不可能。コーヒーをテイクアウトするなら再利用可能な選択肢を。#OceanRescue
Major high street coffee chains are testing a fully compostable and recyclable coffee cup and lid #OceanRescue pic.twitter.com/ha0Y7JtCWM
— Sky Zero (@SkyZeroOfficial) April 17, 2017
まず紹介したいのが、今すぐに紙のコーヒーカップの使用をやめようと呼びかけるハッシュタグ#OceanRescue(オーシャン・レスキュー)。
これはイギリスで衛星放送やストリーミング配信などを手がける企業スカイが「Sky Ocean Rescue(スカイ・オーシャン・レスキュー)」と名付けたキャンペーンの一貫として行われた取り組みだ。「Earth over shoot day」(地球一つで生み出せる一年分の天然資源量を使い切る日)が年々早まっているが、貴重な資源を守り、環境の破壊を抑制するには毎日の習慣から変えていくのが手っ取り早い。
②「メンタルヘルス問題は異常ではない」。著名人たちが自らの過去を子どもたちに告白。#MyYoungerSelf
#MyYoungerSelf campaign for kids' mental health. | Cool Mom Picks https://t.co/IhRXgqfops pic.twitter.com/7DH74HA7bG
— Andolina Ziolkowski (@lsnsfrmstdntmom) 2017年6月2日
次に、「メンタルヘルスの病」は誰でもかかりうることを伝えるハッシュタグ#MyYoungerSelf(幼いころの私)。
参加したのは映画『ラ・ラ・ランド』の主演エマ・ストーンやファッションデザイナーのトミー・ヒルフィガー、オリンピックや世界選手権で合計23個もの金メダルを獲得した水泳選手マイケル・フェルプスなどの面々。著名人である彼らが過去の経験を告白したことで、タブーとされてきたメンタルヘルスについてオープンにするきっかけとなった。
③「なんで生理はタブーなの?」元ホームレスのハーバード大生が始めた、生理用品を無料で配布するムーブメント。#MenstrualMovement
メンタルヘルスの次は生理に対するタブーをなくそうとする活動、#MenstrualMovement(生理ムーブメント)。
ホームレスの人たちは生理用品の支給を受けることが少なく、不衛生な代用品を使わざるをえないことを知ったハーバード大生は、その背景にある「生理に対するタブー」と人々の認識の不足に気づく。ホームレスの人たちに生理用品を配布する活動と同時に、生理についてオープンに話すことの必要性を訴えた。
④「男は泣いちゃいけないの?」“男らしさ”という古臭い常識を覆すグローバルキャンペーン。#isitokforguys
※動画が見られない方はこちら
4つめに、男性にのしかかっているジェンダー観念“男らしさ”のプレッシャーをなくしていくキャンペーン#isitokforguys(男性が〜〜してもいいの?)。
「ジェンダーレス普男子」という言葉もあったように、ジェンダー表現の多様性は比較的若者の間では広がっているが、これからさらに浸透していくべきもの。男性の多様性を否定する“男性とはこうあるべき”という考え方を壊していくことで、ほかのジェンダーの人たちも生きやすい社会を目指すというアプローチだ。
⑤日本でも日常的に起こる「ボディ・シェイミング(体型の誹謗中傷)」の危険性。#TheySaid
"Keep eating like that and you're going to be a butterball." My Dad when I was 12. Pls RT and share a body shaming comment. #TheySaid
— Sally Bergesen (@oiselle_sally) May 25, 2017
最後に、多くの人が気づいていない身近な問題「ボディ・シェイミング」(体型の誹謗中傷)を考える#TheySaid(彼らは言った)を紹介したい。
日頃耳にするような「そんなに食べると太るよ」や「もう少し痩せた方が可愛い」など、他人の体型に対してとやかく言うことも立派なボディ・シェイミング。Twitter上では「自分の体型について言及されてプレッシャーをかけられ、自分の体型を恥じる原因となった他人の一言」が#TheySaidをつけて共有された。
2018年には、どんな「ハッシュタグ・アクティビズム」が生まれるのか?
今年もあと数日で終わってしまうが、新しい年を迎える前に今年の人々の関心を呼んだハッシュタグから浮かび上がった問題を少しでも考えてみてほしい。今年変えられなかった習慣や考え方を今考え直すことで、来年をよりよく過ごせるのではないだろうか。
Be inspired!は来年もメンタルヘルス、生理、セックスなどを含む、日本や世界で話すことがタブーとされてきたトピックも積極的に考えようと呼びかけるハッシュタグ・アクティビズムを紹介し続けていくつもりだ。
※こちらはBe inspired!に掲載された記事です。2018年10月1日にBe inspired!はリニューアルし、NEUTになりました。